※最近、各地で二輪車の事故が多発しています。自粛要請の解除を受け、オートバイで出かける機会も増えると思いますが、運転の際は余裕をもって、交通ルールとマナーを守った運転を心がけましょう。また、長期間運転しなかったバイクの点検も忘れずに行うようにしてください。
利尻か礼文か…決め手は「礼文林道」
稚内港からのフェリーで向かったのは礼文島。隣にある利尻島と、どちらに行こうか迷ったんだが、礼文島には「礼文林道」というのがあって、そこからの景色が素晴らしいと聞いて、礼文に決めた!
さっそく、アフリカツインに振り分けバッグを搭載し、そこに着替えと撮影機材をぶち込む。持てるだけの機材をカメラバッグにぶち込んで、荷造り完成!
どう? 完全なるツーリングスタイルでしょ?
この荷物、中身のほとんどがカメラ機材とは、誰も思うまい。
そしてフェリーへ。お値段約9000円、所要時間3時間の船旅だ。
ん? 3時間もかかるの?
今回乗船した10時出航のこの便だけ、なぜだか3時間かかるのが不思議だったが、それは途中で利尻島に立ち寄るからだった。なるほど。
そう聞くと利尻島にも寄ってみたい気もするが、もうチケットは買ってしまった。また次回である。
今回のこのフェリーは新造船らしく、船の中はとてもきれい。雑魚寝できるこの2等船室も快適だ。
今度こそ…と天気予報を念入りに見たのだけれど…
出発前に念入りに天気予報と睨めっこして、朝も稚内を出る時にはいい天気だった。利尻島を経由した時も、風が強かったけれども天気は良かった。
ところがまたしてもだ。
ドヨーン。
曇ってるじゃねーか!
もう、テンションだだ下がりである。このところの天気予報は本当にあてにならないなぁ。とはいえ、今回この旅において、天気に翻弄されるという意味では、まだほんの序の口でしかなかった…。
気を取り直し、下見を兼ねて島を巡ってみることにする。まずはお目当ての礼文林道だ。
この礼文島はバイクでは一周できない。島の西側に道路がないからだ。また、島の中央部分にもほぼほぼ道がない。その中において、島の南側ではあるが、中央部分を南北に走るのが礼文林道である。
この礼文林道、島を巡るハイキングコースの一部にもなっていて、休日はハイカーが多いらしい。そんな中本当にバイクで走っていいのか? ちょっと半信半疑だったが、その入り口はGoogle先生に尋ねたらすぐに見つかった。
入り口には駐車車両がいて、その横に腕章をつけた人が立っている。巡回観察員だ。この島ではこういった方々が多く見回っていて、以後あちこちで見かける事になる。
ここバイクで走っても大丈夫ですか?
「大丈夫ですよ」
二つ返事だった。そうなんだ。走っていいんだ。という事で早速入ってみることにする。
初探索! いざ礼文林道へ
この礼文林道、走り初めは本州の林道と変わりない、鬱蒼とした森の中をクネクネと上がっていく道だ。さっきの観察員さんの車が巡回するためなのか、道は狭いがとても走りやすい。時折ハイカーとすれ違うが、そこは想定済みなのでゆっくり走ることに。
すると展望が開け、右も左も海が見える、何とも素晴らしい見晴らしの場所にやってきた。
これで天気がよければなぁ…と自分の不幸を呪ってみるが、どうしようもない。
しかし! 天は我を見放さなかった!
気がつけばさっきまで雲に隠れていた利尻富士が見えているではないか!
高い雲はまだ居座っているが、これはもしかして晴れるのではないのか? と思って待っていたら、予想通り晴れた!
ここは、もしかしてかなりの絶景なんでないかい?
両脇に海を従えながら、木のない大草原の中を駆け抜ける。この景色は凄い!
すると、前からカウルのついたCB1300がやってきた。軽く会釈して止まった彼。ヘルメットを脱ぐと、頭から湯気が立っていた。そりゃそうだ。こんなダート道をオンロードバイクで来るなんて。
でも来たくなる気持ちはわかる。こんな絶景だもの!
「この先の礼文滝行きました?」
こう聞かれてハッとした。ちょうど今止まっているところは、約2キロの登山道を歩いた先に礼文滝がある、アクセスポイントだった。
いや、行ってないです。歩くの面倒なんで。
重い機材を背負って歩きたくない、というのが本音だ。
「ですよねー」
彼はくったくなく笑った。そして礼文滝の標識を眺めた。
あれは歩いていくな。そう思いながら、荷物をまとめて先を急いだ。
美しい夕暮れ。勢いで日没ショットを狙うが、思わぬ邪魔が…
すでに時間は17時を回っていた。宿のチェックインは18時なので、まだ時間はあるものの、どうしても寄ってみたい場所があった。それは島の北部の西側。何としても日が沈む前に、そこのダートを走っておきたい。場所はGoogle マップで確認済みだ。
島の最北端、スコトン岬に行きたい誘惑にかられながらもその手前を西に曲がり、港町へ。そのまま海沿いを走ると、あった!
予想通り!
これぞ礼文と言わんばかりの迫力だ。
何でも、聞けば礼文島にくるバイクは小さいバイクが多いらしい。島を一周できないからなんだろうけれど、でもアフリカツインとこの景色はどうだ! 似合うじゃないか!
思いつきとはいえ、来てよかった。
そうこうしているうちに宿の時間が来たので、後ろ髪を引かれる思い出で退散。礼文はハイシーズンだからなのか、宿の値段がどこもビックリするほど高い。そんな中、一泊2食付きで1万円という宿があったので、そこを予約しておいたのだ。
部屋に入って荷物を広げる。男の一人部屋なんてこんなもんだ。許せ(笑)
「食事はどうされます?」
何時からですか?
「6時半からです」
日が沈むのが何時でしたっけ?
「7時半ですね。スコトン岬で夕日ご覧になるなら、さっと食べてから行かれるといいですよ。バイクなら10分程度で着きますから」
そうします!
とは言ったものの、出てきた食事を見て、心が大きく揺らぐ。
カニー!
半身とはいえ、カニー!
そしてエビー!
でーっかいボタンエビ! しかも直前まで生きてたピチピチのやつ!
…すみません。飲んじゃいました(汗)。
スコトン岬の夕日よりも、コッチの誘惑に負けちゃいました。
もう今日はバイク乗れません…。
でも!
仕事は放棄してないよ。こう見えてちゃんとやるんだから。
ほら!!
スコトン岬には行けなかったけど、スコトン岬に沈む夕日はしっかり撮ったのだ。これはちょっと歩いた先の高台で写した夕日。
まるで金曜ロードショーだ。って言っても、若い人にはわからないね(笑)
この夜、たまたまテレビ東京の「出川哲郎の充電させてもらえませんか」で礼文島をやる、と聞き、おっ、と思いテレビをつけた。礼文に温泉あるんダァ。どこだろう?
でもよくよくみると、これ礼文じゃない! 伊豆編だ!
ひょっとしたら東京では礼文編を放送しているのかもしれないが、ここ礼文では伊豆編の放送。そう、テレビ番組の放送は首都圏と地方でタイムラグがあるのだ。
残念! というわけでそのまま布団に入って寝てしまった。夜の10時のことでした。
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳
【次回予告】 絶景のみならず、エビカニまで堪能してご満悦の三橋淳。しかし、イイコトばかりは続かない。天候は相変わらず苦戦続きで…次回「くもり空の向こう」をお楽しみに!