■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:松川 忍 ■車両協力:UEMATSU https:www.uematsu.co.jp/ 、小泉利雄 ■衣装協力:KADOYA https:ekadoya.com/
YAMAHA「RZ250」楽しい世界へと、私たちを導く。
日曜日の早朝、RZ250にまたがった。車体の左下をのぞきこんでガソリンコックをオフからオンにする。この次に出てきたRZ250Rから負圧コックになるから、この動作はなくなった。
そのままキャブレターのスターターバルブを開く。メインスイッチをオンにし、右のステップをたたんでキックペダルに足をかける。
体重をのせなくてもあっけなく踏みおろせるところからフライホイールの軽さがわかる。オノマトペにすると濁点がつく排気音があたりにちらばって、遅れて白い煙がただよった。
2ストロークエンジンとしては何も特別ではなく、いたって普通の流れと状態。だけど、スタータースイッチだけで済んでしまう4ストロークエンジンと電子制御の燃料噴射装置の現代においては、こんな当たり前のことでも機械とのつながりを感じさせる。
活動的になる前のシンとした街の中へ。あらためて初代RZのコンパクトさは印象的だ。パイプのハンドルは幅が狭く、手前のしぼりもあって、すぐあとの80年代前半に登場するそれほど低くないセパレートハンドルと変わらない感じ。
燃料タンクもぎゅっと太ももではさめて体と密着。夏になりきれない生暖かい空気の中を突き進むと、このオートバイが名車といわれてきたのがよくわかった。
名車の所以は、希少性だったり、エポックメイキングだったり、スタイリングだったりいろいろな要素があるけれど、結局のところは、乗る人の心をどれだけ動かせたかだと思う。
運転していると、ガソリンではなく心の中で楽しさがオーバーフローした。そして、よく出来たオートバイだと感心した。
それは今回乗らせていただいた車両が、これまで何度も乗ってきたRZの中でも最良と断言できる状態だったというのもある。
思ったように軽快に動かすことができて、コーナーは小さく曲がれる自由自在のフットワーク。柔らかいけれど沈み込んでいくとコシがあり、軽薄に戻ってこない伸び側のダンピング。
たぶんこれはサスペンションにオーバーホール以上の手が入っていると思う。節度があり、タイヤにちゃんと荷重がかかり、思いどおりに曲がれて気持ちいい。エンジンはとにかく滑らかだ。
40年ほど時間が経過している機種とは思えない。少なくとも持っているポテンシャルを十分に発揮している状態なのは間違いない。
(ミスター・バイクBG8月号より抜粋。以下、RZ250の歴代モデル解説などは本誌8月号でお楽しみ下さい)
YAMAHA RZ250 ディテール
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