ニンジャ650、Z650と同じルーツを持つパラレルツインユニットを採用するミドルスポーツクルーザーがバルカンS。軽量でスリムな車体を活かした走りと独特のパルス感はこのバイクならではの魅力。今回は2020年モデルに改めて試乗してみたぞ!

カワサキ「バルカンS」試乗インプレ&解説(太田安治)

ネイキッド感覚でスポーツ走行も楽しめる!

画像: Kawasaki VULCAN S 総排気量:649cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 2020年モデルの発売日:2020年1月15日 メーカー希望小売価格:税込85万8000円

Kawasaki VULCAN S

総排気量:649cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
2020年モデルの発売日:2020年1月15日 
メーカー希望小売価格:税込85万8000円

直進安定性優先の低く長い車体と、低回転域での鼓動感と粘り強さを強調したエンジン特性でユルユルとクルージングを楽しむ…。クルーザーやアメリカンと呼ばれるオートバイはそんなシーンを連想させるが、バルカンSに関してはだいぶ様相が異なる。

跨がると上体はほぼ直立で、ネイキッドモデルのハンドル幅を広げた感覚。ステップ位置は前寄りだが、脚が伸び切ることはなく、ブレーキングからコーナリングまでライダーが積極的に操作できるうえ、ギャップ通過時もライダーと車体の一体感が損なわれない。平均的日本人の体格に合った設定だ。

画像1: カワサキ「バルカンS」試乗インプレ&解説(太田安治)

ハンドリングは安定指向だが、大型クルーザーようなモッサリ感や低速域でのハンドル切れ込みはない。左右にクイックに切り返しても反応の遅れや揺り戻しはなく、素直に向きが変わって旋回中の安定性も高い。

タイヤの接地感も掴みやすいので、ステップが早めに接地することさえ頭に入れておけば峠道も楽しく堪能できる。このあたりは前18/後17インチの大径ホイールや、31度という起こし気味のキャスター角、ダンピングを効かせた前後サスペンション、そしてスポーティーな走りを折り込んだフレーム剛性バランスなど、クルーザーの常識にとらわれずに車体を作り込んであるおかげだ。

画像2: カワサキ「バルカンS」試乗インプレ&解説(太田安治)

並列2気筒のエンジンはニンジャ650/Z650用と同系列。本来は中回転以上でパワーが盛り上がる特性だが、バルカンS用は吸排気系とECU設定が異なり、クランクマスも増量。スロットル操作に対する優しい反応と低中回転域での力強さが際立っている。スロットルを大きめに開閉しても唐突な挙動は出ず、滑りやすい路面やタイトターンの続く場所でも気楽に走れてしまう。

ただ、穏やかな特性ながら中回転域のパンチと高回転の伸びは犠牲になっておらず、7000回転前後を使えばロードスポーツ的な鋭い反応を見せる。6速・100km/hでは約4800回転。

ステップやハンドルに出る振動はまろやかで、ビートの効いたサウンドと共に2気筒エンジンの「らしさ」があり、鼓動を感じながらクルージングできる。ただし風圧をダイレクトに受けるので、高速道路を制限速度一杯で走るより、80〜100km/h程度で流すような走りが心地いい。

画像3: カワサキ「バルカンS」試乗インプレ&解説(太田安治)

街乗りから長距離まで幅広く使え、峠道ではスポーツ性も見せる。バルカンSはまさに「スポーツクルーザー」だ。

カワサキ「バルカンS」主なスペックと価格

全長×全幅×全高2310×855×1090mm
ホイールベース1575mm
最低地上高130mm
シート高705mm
車両重量229kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量649cc
ボア×ストローク83.0×60.0mm
圧縮比10.8
最高出力45kW(61PS)/7500rpm
最大トルク63N・m(6.4kgf・m)/6600rpm
燃料タンク容量14L
変速機形式6速リターン
キャスター角31.0゜
トレール量120mm
タイヤサイズ(前・後)120/70R18M/C 59H・160/60R17M/C 69H
ブレーキ形式(前・後)300mmシングルディスク・250mmシングルディスク
メーカー希望小売価格85万8000円(税込)

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