SYM「DRG BT」試乗インプレ&解説(太田安治)
独創のスタイリングと快活な走りが魅力!
スクーター大国、台湾の中でも1954年創業で長い歴史を持つのがSYM。50ccから465ccまで約20機種のスクーターをラインアップし、世界90カ国以上に輸出するグローバルメーカーだ。
そんなSYMがアジア地域で需要の多い150ccクラスに投入し、地元台湾では発売と同時に大ヒットしているスポーツスクーターが「DRG BT」だ。
車名のDRGはドラゴン(龍)が由来だけに車体デザインはワイルド。モノショックのリアサスユニットを水平に近い角度でマウントすることでスッキリさせたリア周り、跳ね上げたテールセクションが目を惹く。とはいえ、158ccエンジンのスクーターなので乗り味はどうだろう…と考えていたが、そんな不安は走り出した瞬間に解消された。動力性能もハンドリングも、既存の同クラスモデルとは次元の違うスポーティさを見せつけられたからだ。
自動遠心クラッチが繋がり始めるのは約4000回転。動き出しに唐突感はなく、スルスルと速度を乗せ、低速域でのスピードコントロールはやりやすい。そこからスロットルを一気に開けると、7000回転台を保ってグイグイ加速。ゼロ発進から70㎞/hあたりまでの力強さは特筆もので、250ccスクーターと同等以上の速さを誇る。
CVTの弱点であるスロットル操作に対するレスポンスの遅れも感じない。70km/hを超えると徐々に加速が鈍るが、流れが速い幹線道路でも十分リード可能。余裕あり、とは言わないが、都市高速を使う通勤通学なら充分な動力性能を備えている。
さらに感心させられたのがハンドリング。スクーターはエンジン搭載位置の関係でリアが重くなってフロントタイヤの接地感が希薄になりがちだが、DRG BTの前後車重配分はほぼ50:50。接地感は通常のロードスポーツモデルと大差なく、コーナー立ち上がりのフル加速でもフロントのグリップ状態が明確に伝わってくる。
メインフレームはアンダーボーン形状だが剛性は充分で、前後サスペンションのスプリング/減衰力の設定もスポーツ指向。バンクさせたままのブレーキングやフルバンク中にも車体がグニャつくことがなく、想定ラインをピタリとトレースできる。
車重132kg、全長1990mmと、125cc並みに軽量コンパクトな車体に、スポーティなエンジンで機動力は抜群。個性的なデザインと併せ、ひと味違うスクーターを求める人にお薦めする。
SYM「DRG BT」主なスペックと価格
全長x全幅x全高:1990×735×1130mm
ホイールベース:1380mm
最低地上高:137mm
シート高:803mm
車両重量:132kg
エンジン形式:水冷4ストSOHC2バルブ単気筒
総排気量:158cc
ボアxストローク:59×57.8mm
圧縮比:11.2
最高出力:14.85PS/8500rpm
最大トルク:1.57kg-m/5500rpm
燃料供給方式:FI
燃料タンク容量:7.45L
変速機形式:CVT
ブレーキ前・後:φ260mmディスク・φ230mmディスク
タイヤサイズ前・後:120/70-13・130/70-13
メーカー希望小売価格:税込44万9900円