この週末は、九州は大分・オートポリスサーキットで全日本ロードレース第3戦が行なわれています。全日本は9月5/6日の岡山大会が台風接近のために中止となったことで、8月9/10に行われた菅生大会以来の2戦目。JSB1000クラスは2レース制で行なわれるため、きょう土曜日に決勝レース1が行なわれました。
このオートポリス大会、いつも天候に悩まされるんですが、今回も練習走行が行なわれる予定だったきのう金曜日、阿蘇の山々にびっしり雲が立ち込めてしまい、なんと終日、全クラスとも走行がキャンセル。いつもなら事前に行われるテストもなかったことから、ほとんどのライダーが土曜午前の走行が初出走。ここらへんも、レース展開のアヤを作りましたね。
公式予選、トップタイムをマークしたのは野左根航汰(ヤマハファクトリーレーシング)。約0秒5差の2番手にチームメイトの中須賀克行が続き、3番手に水野涼(MuSASHi RTハルクプロホンダ)までがフロントロー。この3人、セカンドベストタイムで決められる決勝レース2でも同じ順でフロントローを占拠。ただし野左根はベストタイムでもセカンドベストタイムでも水野に約1秒の差をつけているだけに、ニューマシンCBRは、まだまだ常勝マシンYZF-R1に水をあけられている感じですね。
決勝レース1は土曜16時過ぎにスタート。朝のうちはきれいに晴れ上がって最高の天気だったオートポリスですが、夕方に近づくにつれて雲がかかり、気温も下がっていく感じ。山の天気ということもあって、そろそろ半そでは寒いかもしれませんので、観戦予定の方は気を付けて!
決勝レース、ホールショットを決めたのは清成龍一(KeihinホンダドリームSIR)。後方に野佐根、中須賀、水野が続く展開。そのまま清成が序盤をリードするんですが、3周目には野左根がトップに浮上。野左根&中須賀のヤマハR1vs清成、水野のホンダRR-Rの4台が5番手以下を引き離してトップグループを形成。結局レースは終始、この4台がペースを作っていきます。
レース前に話を聞いたところでは、野左根はやはりこの展開を予想していました。
「オートポリスは前に出ると苦しい、後ろにつくとラクに走れる、でも前に出ないわけにはいかないので、レースはやっぱり集団になると思います。事前テストもきのうの練習走行もなかったことも、みんなセッティングを詰め切れない混戦になるんだと思うんです」と野左根。レースは、そんな予言どおりに進んでいきます。
それでも、周回を重ねるたびに、徐々にヤマハ2台が前、ホンダの2台が後ろ、という展開。トップ争いは野左根に中須賀が仕掛けて何度かトップが入れ替わるなか、そうすると3番手4番手もトップふたりと距離を詰めるんですが、それでも徐々にヤマハの2台が3番手以下との差を広げる感じになりました。
レースは中須賀と野左根の主導権争いが続く中、15周のレースの10周を過ぎたころ、もう完全に中須賀と野左根がバチバチ。レース終盤に向けてタイヤを温存する、なんてことはなくて、前に出たほうが速いのか、後ろについたほうがラスト勝負を仕掛けられるのか、の一進一退。
すると、13周目にエンジントラブルから加賀山就臣(Team KAGAYAMA)転倒、ここに後続もつっこみ、さらにもう一台。これが多重クラッシュとなったことでレースは赤旗中断となり、規定周回数を過ぎていたことからレースは成立。赤旗が出た瞬間は中須賀がギリ前にいたんですが、赤旗中断→レース成立は、1周前のポジションで順位が決定しますから、前周のゴールラインで0秒014だけ前にいた野左根が優勝! これで野左根は3連勝で、8月の菅生で転倒、左肩を負傷して2レースノーポイントとなっていた中須賀が2位、3位に水野入りました。
「勝った感覚はぜんぜんなくて、赤旗で終わって2位だと思っていたんです。レースは、中盤からずっと中須賀さんと抜きあいをして、前に出たり後ろにいたり、チェッカーの時に前にいるほうが優勝、という感じでしたね。あしたのレース2は、最後までレースして、きちんと勝ちたいです」と野左根。
これで野左根は2戦3レース連勝。今シーズンに入って中須賀の先着を許していませんが、開幕戦の2レースが中須賀のケガで、今回は赤旗という結末だっただけに、きちんと中須賀越えをした実感はないはず。
今シーズン、ヤマハだけがファクトリーチーム体制での参戦で、やはりヤマハのふたりがチャンピオン候補だとみられていましたが、このふたりの中では主導権争い、後輩のセンパイ越えつまり世代闘争が本格化しているようです。
あすのレース2、中須賀が地力を見せて野左根をねじ伏せるのか、野左根が偉大な先輩越えを果たすのか、そのへんが楽しみになってまいりました!
■全日本ロードレース第3戦 オートポリス大会
JSB1000レース1正式結果
優勝 野左根航汰 ヤマハファクトリーレーシング
2位 中須賀克行 ヤマハファクトリーレーシング
3位 水野 涼 MuSASHi RTハルクプロHONDA
4位 清成龍一 ケーヒンHONDAドリームSIR
5位 渡辺一馬 ケーヒンHONDAドリームSIR
6位 前田惠助 ヤマルーブレーシングチーム
7位 岩田 悟 Team ATJ
8位 柳川 明 will raise racing RS-ITOH
9位 濱原颯道 HONDAドリーム RT 桜井ホンダ
10位 関口太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
柴田カメラマンより写真が届きました
(柴田カメ外の)写真・文責/中村浩史