JP250最強はCBR250RR
全日本ロードレースに「併催」という形で開催されているMFJカップ、JP250クラス。JPとはジャパン・プロダクション=250ccの市販モデルをベースに戦う、国際ライセンスと国内ライセンスの混走プロダクションレース。つまり市販250ccスポーツバイク最強決定戦! ホンダCBR250RR、ヤマハYZF-R25、そしてカワサキNinja250が鎬を削っている。
2016年にスタートして5年目このクラスは、いまCBR250RRが最強! ちなみに250RRは2017年デビューで、それ以前はCBR250R=単気筒モデルということで300ccキット装着が認められていて、そのオープニングシーズンの16年は、カワサキNinja250にタイトルを持っていかれてしまった。
しかし、17年に250RRがデビューするや、それから3年連続してJP250を制覇。18-19年は笠井悠太(国際/TEAM TECH.2&YSS)が2連覇し、2020年開幕戦も笠井が優勝しているのだ。
岡山大会の中止で、2戦目となった今回のオートポリス大会では、V2チャンピオン笠井が公式予選終盤に転倒を喫し、中村龍之介(国際/ENDLESS TEAM SHANTI)が初ポールポジションを獲得。そこから予選8番手までCBR勢が続いた。
メインストレートが長く、コース終盤セクションが登り区間の続くオートポリスは、やはり250RRが有利なようで、決勝レースでも笠井と中村、そして女子ライダーである片山千彩都(国際/GOSHI RACING)の3台が順位を入れ替えながらバチバチのトップ争いを展開。
フィニッシュラインでは、笠井が片山を0秒107だけ抑えて2連勝を飾ってみせた。
MFJカップ オートポリス大会 JP250クラス正式決勝結果
①笠井悠太 TEAM TEC2 & YSS CBR250RR
②片山千彩都 GOSHI RACING CBR250RR
③中村龍之介 ENDLESS TEAM SHANTI CBR250RR
④石井千優 千葉北ポケバイユースTeam N-PLAN CBR250RR
⑤梶山采千夏 GOSHI RACING CBR250RR
⑥古賀大造 TEC2 & Burning DA CBR250RR
⑦山浦正司郎 TEAM WITH 87 KYUSYU Ninja250R
⑧笠井杏樹 TEC2 & K0 Racing CBR250RR
⑨田中敬秀 YUEエムズホーム7C&WAKO’S+NTR CBR250RR
⑩舩津重人 takatoracom R.T CBR250RR
そしてカワサキが4気筒を投入!
さて、オートポリスと250ccといえば、つい先だってメディア向けの発表試乗会が行なわれたカワサキNinja ZX-25R。250ccに約20年ぶりにリボーンした4気筒エンジン搭載モデルで、実はこのZX-25Rが2気筒CBR最強のJP250クラスに出場できるのか、という議論が巻き起こっているのだ。
誰もが考えるに、2気筒と4気筒じゃ勝負にならないよ――って性能差を考えての参戦慎重論が少なくないのは当たり前。今回のオートポリス大会でも、現在のエントラントやチームに話を聞いたところ、やはり慎重派が多数だった。
2気筒と4気筒では戦闘力が違いすぎる?というポイントでは、本誌テスター太田安治がこう解説する。オータはデビューしたばかりのZX-25Rのオートポリス試乗会にも参加し、ZX-25Rデビュー前には、現行モデルNinja250と、旧4気筒モデルZXR250を比較テストしている。
「もちろん性能差があるのは当たり前。でも低~中回転域では2気筒勢の方が力があるから、たとえばブン回して乗るわけじゃない街乗りでは低回転トルクのある2気筒勢の方が乗りやすいよ。けれど、ずっと10000rpmオーバーまでブン回せるサーキットでは、やっぱり4気筒が有利。ミニサーキットでは超高回転まで上げづらいから2気筒が速いだろうけれど、全日本が開催されるようなサーキットでは4気筒の方が速いと思う」(太田安治)
ちなみにまだZX-25Rでサーキットを走ってはいない私ナカムラも、コースの大小で優劣がつく、に一票。ヨーイドンするでしょ、50mまでは2気筒勢が先行して徐々に追いついた4気筒が、100m以上先でぶっちぎる、ってイメージ。桶川スポーツランドではNinja250の方が速いし、筑波2000はもちろん、筑波1000でもZX-25Rの方が速いかなぁ。
もちろん、JP250とはいえ、レギュレーションを遵守したモディファイを施したうえでレース出場マシンを作るわけだから、4気筒にはハンディを課して2気筒勢と混走する、って手もあると思う。
たとえば2気筒勢は、現在のレギュレーションで「ライダー込みの最低車両重量」が200kgと規定されているから、4気筒勢はこれを300kgにする、とかね。
さらに出力規制も課して、11000rpmオーバーあたりからパワーバンドに入るZX-25Rを、回転リミット13000rpmにしちゃうとか。それでもセッティングが煮詰まって徐々に4気筒勢がスピードを増してくるはずだから、アジア選手権AP250と同じように、1勝すると回転数制限を更新、500rpmずつ下げるとか、5kgずつウェイトハンデを積んでいくとか――ね。
実は今、JP250は年々エントリーが減っているのだ。理由はいろいろあるだろうけれど、CBR250RR一強で性能競争になっているとか、CBRに対抗するためにR25やNinja勢はさらにチューニングやメンテナンスをこまめにすることでコストが上がるとか。
それでも、まだ5年しかたっていない新しいカテゴリーだけにJP250には、盛り上げ策も必要なんじゃないか、それがNinjaZX-25R参戦開始なのではないか――とも思うのだ。
ストレートで先行する4気筒勢を、インフィールドのツイスティ区間で2気筒勢が迫り、抜いていく、なんてシーン、見てみたいもんね。さぁJP250がどう変わっていくのか、ちょっと楽しみです。
写真/森 浩輔 MFJ 中村浩史 文責/中村浩史