① 大型バイクでトップクラスの扱いやすさ
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写真を見ても分からないかもしれませんが、実車を見るひと目で「コンパクトだ!」と分かるはず。
車体サイズは全長×全幅×全高:2,140mm×760mm×1,090mm。ちなみにジクサー250は2,010mm×805mm×1,035mm。2台を比較するとSV650の方が少し長くて背が高い。そして、ジクサー250よりも細いんです!
このシャープなボディラインこそ、SV650の特徴です。
しかも軽い! ガソリン満タン状態の装備重量はわずか197kg。この数値は400ccネイキッドモデルや、250ccビッグスクーター並み。ものによってはそれよりも軽いんです。
そんなシャープかつ軽量なSV650は、取り回しがラクラク。足つきもよく、中型バイク並みにフレンドリー。
ツーリングでは寄り道が増えます。
その機動力は、フットワークの軽さにつながり、たとえば細道に入ったり、通り過ぎた絶景スポットに戻ったりと、「行こう!」と思ったときにすぐ行動に移せますよ。
② SV650のエンジンは力強いだけでなく、味わい深い
総排気量は645cc。水冷4ストロークの90°V型2気筒エンジンを搭載しています。
645ccと聞いて、いまいち分からん!と思う人もいるかもしれませんが、400ccクラス以下ともいえる車重のボディで、400ccの1.5倍以上の排気量のエンジンが積まれているんです。
そのため瞬発力や加速感は強烈。高速道路を走っているとき、細い鋼鉄の槍にでも乗っているかのような錯覚をしました。
スロットル操作やギアの選択次第で、鋭くも乗れるし、穏やかにも乗れる。スポーティかつネオクラシックな車体デザインに見事マッチした、そんな出力特性だと思います。
そして、穏やかに乗っているときの心地よさ。
Vツインエンジンといえば、クルーザーモデルによく搭載されるタイプ。SV650は鋭さがギラっと光りつつ、クルージング時の快感がちゃんと残されています。
細かい部分として少し気になったのは、「スロットルの戻る力が強め」だということ。
普通バイクで長時間走っているとクラッチを握る左手が疲れるものですが、SV650では右手に若干の疲労を感じました。個体差なのかもしれませんが……
パーシャルで走っているときのVツインの鼓動感も気持ちいいし、いっそ思い切ってクルーズコントロール機能が搭載されたりなんかしたら最高だなあ、と思っている次第です。
③ フレームとサスペンションは硬めの印象
高速道路を走っているときに感じた鋭い槍にでも乗っているような感覚は、軽量なスチール製トラスパイプフレームも大きく関係していると思います。
剛性が高く、風を切り裂くようにまっすぐ走れます。
サスペンションも硬めの印象で、スポーツ性能に振った設計になっているのでしょう。
なのでワインディングロードがむちゃくちゃ楽しい。
標準装備されているタイヤは、ダンロップの「ロードスマート3」。上質なスポーツツーリングタイヤで、ぐいぐい走れます。
ブレーキはビシッと効きのいいもの。フロントのダブルディスクブレーキは2019年モデル以降、2ポットから4ポットのキャリパーが採用され一段と扱いやすさが増しました。車名にもある通り、ABSは前後完備です。
ビューンと高速を走って、家から遠く離れたワインディングでその性能の本領を発揮。で、帰りもビューンと戻ってくる。
旅先でもワインディングを味わいたい、真剣にスポーツツーリングを楽しみたいという方にもうってつけでしょう。
細身のボディと低速トルクのあるエンジンのおかげで、タイトなコーナーも大得意。どんな峠でもSV650なら楽しめる、そう思うことでしょう。
④ スリムなのに意外と大きいSV650の燃料タンク
ガソリンは3回給油して、燃費は21km/L、22km/L、26km/Lでした。
26km/Lを出したときは、もう少し伸びるはず……とちょっと気を使って走っています。
油種はレギュラー。これでハイオクだったらちょっとつらいですが、排気量相応の平均的な燃費性能といえそうです。
特筆すべきは、燃料タンク容量が14Lあるということ。僕が初めてこのバイクを見た瞬間思ったことは、「楽しそう! でもガソリンタンク容量少なそう……」でした。
ところが、どこにそんなに入るのよ? と思ってしまうような細身の燃料タンク。なのにしっかりと14L確保しているのは嬉しい限り。
26km/Lで走れば、満タンから計算上364kmの走行が可能。21km/Lでも294km走れます。
自分のバイクが満タンからどのくらい走れるか、と知っておくと安心ですがSV650の場合、その必要はないかも。
デジタルメーターに航続可能距離計が備わっています。
これは、あとどれくらい走れるか、というのを平均燃費から算出してくれる便利な機能。燃料計とともにそれを見れば、ガソリンを入れるベストタイミングが分かります。
もちろん平均燃費計&瞬間燃費計も備わっています!
(下に続きます)
⑤ スズキはシートは硬さがいい感じ。荷物の積載性は……
1泊2日のツーリングに出発した直後、「これはお尻の戦いを覚悟しなければならないかも……」なんて思ったのですが、まったくの杞憂でした。
スズキのバイクのシートは、不思議な弾力を持っているものが多いなと感じています。「硬い。痛くなる気がする」と心配になるのですが、長距離を走っても意外と大丈夫。
まさにSV650もそんな魔法のシートだと思います。硬めのシートの方がダイレクトに接地感を伝わってきて、ワインディングは走りやすいですよね?
SV650のシートは耐久性もあり、タイヤと同じく「スポーツツーリング」仕様と呼びたくなります。
リアシート上への荷物の積載性に関しては「うーん」といわざるを得ません。荷物を積むのが大好きな僕(西野)は、とりあえずリアシート周りをチェックします。
近年の流行であるすっきりとしたリア周りは美しいものです。
でも荷掛フックがない(泣)。なんでも欧米の人たちは、リアシートにソフトバッグを積載する風習があまりないらしいんです。
そのため、欧州や北米市場をメインターゲットとした近年の大型バイクは、アドベンチャーモデルをのぞき、ほとんど荷掛フックが備わっていないのだとか。
しかし! SV650はスズキの良心とでもいいましょうか、リアシートの裏に荷掛ベルトが備わっています。
でもこのベルト、意外と使いこなすのが難しいかも? 今回の泊まりがけツーリングでは、シートに取付ベルトを装着するタイプのシートバッグを使いました。
このタイプならまったく問題なし。リアシート下にはETC車載器を装着する程度のスペースしかありませんが、シートバッグのベルトはラクラク通せます。
もっと気軽にツーリングを楽しむなら、純正アクセサリーとして用意されているリアキャリアやトップケースを装着するのがおすすめです!
⑥ 所有したらこれだけはカスタムしたい!(個人的な話)
ここからはいたって個人的な話です。
SV650は無駄をすべて削り落としたかのような、「生成り」の良さともいえるスタイリングが魅力だと思っています。
エンジンのクランクケースをブラックアウトし、レバーやハンドルも黒塗装。そのなかで、トラスパイプフレームやアルミ製のキャストホイールに差し色を入れて、メリハリが生む強い個性を主張しています。
カスタムすればいろいろなスタイリングを楽しめるでしょう。兄弟車の『SV650X』がまさに好例です。
ただ個人的には。あまり余計なことはしたくないなあ。SV650Xよりかっこよくカスタムできる自信ないし……
丸目のヘッドライトも愛くるしく、ハンドルやステップの形状・位置も僕にはジャストフィット。変えるところが思い浮かばない。あ、ウインカーは丸い小さいのにしたいかも。
結局、ETC車載器をつけて、グリップヒーターを装着するくらいな気がします。
SV650って、デザインのまとまりがすごくいいんです。
もしキャンプツーリングをするときは、30Lくらいのシートバッグを積んで、あとはリュックを背負えば何とかなるな……とか考えていました。
オンロードのツーリングなら、どんな場所にだって行けるし、クルージングでは鼓動感が心地よく、ワインディングは本領のスポーツ性能が牙をむく。
すでにSV650を選んでいる人は、きっと賢い人なはず。
速くて、扱いやすくて、楽しくて、心地いい。
SV650は全力でバイクライフを楽しみたい人のその思いをしっかりと受け止めてくれる、頼れる相棒です!
文:西野鉄兵/写真:岩瀬孝昌・西野鉄兵
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