5年ぶりの大きなモデルチェンジ! 完全新設計エンジンと多彩な電子制御システムを搭載
2020年11月4日、ドゥカティがムルティストラーダ・ファミリーの新機種「ムルティストラーダV4」シリーズを正式に発表しました。
新設計のV型4気筒エンジンは、先んじて10月15日に公開。そのときは車体はチラ見せに留まりましたが、今回その全貌が明らかになった次第です。
シリーズは3機種同時に発表されました。
スタンダードモデルは「ムルティストラーダV4」。上級機種として「V4 S」と「V4 S Sport」がラインナップされます。
DUCATI Multistrada V4
主なスペック(欧州仕様車)
ホイールベース | 1567mm |
最低地上高 | 220mm |
シート高 | 840/860mm(可変式) |
乾燥重量 | 215kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 |
総排気量 | 1158cc |
ボア×ストローク | 83×53.5mm |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力 | 125kW(170hp)/10500rpm |
最大トルク | 125N・m(12.7kgf・m)/8750rpm |
燃料タンク容量 | 22L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 24.5゜ |
トレール量 | 102.5mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR19・170/60ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | 320mmダブルディスク・265mmシングルディスク |
DUCATI Multistrada V4 S
「V4」との装備のちがい
●ザックス製エレクトロニックセミアクティブ ドゥカティスカイフックサスペンション(DSS)EVOサスペンションシステム
●合金ホイールまたはスポークホイールを選択可能
●330mmフロントダブルディスク、ブレンボ製Stilema 4ピストン ラジアルキャリパー
●フルLEDヘッドライト、コーナリングライト
●ハンズフリー・イグニッション(スマートキー)
●6.5インチ フルカラーTFTメーターパネル
●スマートフォン連携機能
●クイックシフター(アップ/ダウンに対応)
●クルーズコントロール
●ビークルホールドコントロール(VHC)
DUCATI Multistrada V4 S Sport
「V4 S」との装備のちがい
●アクラポヴィッチ製 カーボン&チタンサイレンサー
●カーボン製フロントフェンダー
ドゥカティ ムルティストラーダV4・シリーズの特徴
スタイリング
デザインは大きく変わったものの、一目でドゥカティのムルティストラーダであることは分かるスタイリング。
ムルティストラーダV4は、コンパクトかつスリムさにこだわったとのこと。また、高級感あふれるエレガントさ、アドベンチャーモデルならではの頑丈さタフネスさもデザインで表現しています。
フレームはアルミ製モノコックフレーム。スイングアームは両持ち式。1567mmという短いホイールベースが特徴。サスペンションは、フロント170mm・リア180mmのストローク量を確保。最低地上高は、220mmです。乾燥重量は215kg。
タイヤサイズは前19インチ・後17インチ。燃料タンク容量は22L。これまでのシリーズ同様、オンロードでの長距離走行をベースに捉えながら、オフロード走行も想定した仕様だとうかがえます。
エンジン
完全新設計の水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒エンジン「V4グランツーリスモ」は、MotoGP由来のテクノロジーを搭載。総排気量は1158cc。
最高出力は125kW(170hp)/10500rpm、最大トルクは125N・m(12.7kgf・m)/8750rpmで発揮。
低回転域でのスムーズさ、中回転域での力強さ、高回転域でのスポーティさを実現したとのこと。
V4エンジンながら非常に軽量なのが大きな特徴で、エンジン単体の重量は66.7kg。サイズもコンパクトにまとまっており、スリムな車体と合わさり、これまでのV4モデルとは異なる軽快な印象を受けます。
また、メンテナンスサイクルの長さも魅力。オイル交換は15000km毎、バルブ・クリアランスの点検と調整は60000km毎と発表されました。
電子制御装備
コーナリングABS、ウイリーコントロール、トラクションコントロールを採用し、ライディングモードは「スポーツ」「ツーリング」「アーバン」「エンデューロ」の設定が可能。
ムルティストラーダV4Sには、コーナリングライトや、坂道発進をサポートするビークルホールドコントロールも搭載。
また「V4 S」には「アダプティブ・クルーズ・コントロール」を採用。前方車両との車間距離を一定に保つ最新のクルーズコントロールとなっています。
TFT液晶メーターは、「V4」が5インチ、「V4 S」は6.5インチの大型のものが採用されました。
これまでも革新の装備を搭載してきたムルティストラーダ
ドゥカティのムルティストラーダは2003年に初代が誕生。その後約18年間で累計11万台以上の生産を記録しています。
2010年にはフルモデルチェンジを果たし、世界で初めてライディングモードを搭載。2015年には、可変バルブを採用したエンジンを搭載。
今回発表された「ムルティストラーダV4」は、シリーズの第4世代に。エンジンを2気筒から4気筒に一新しながら軽量かつスリムさを追求。そしてメンテナンスサイクルの長さも強調。より長く付き合える愛車として、魅力的な装備と性能を確保した印象です。
日本での価格や発売時期は未定ですが、人気の大型アドベンチャーカテゴリーゆえに販売は確実でしょう。さらなる詳細は月刊『オートバイ』2021年1月号でお伝えします。
まとめ:西野鉄兵