市販モデル発表を前にスーパーバイクレース仕様登場
11月17日~18日にスペインのヘレスサーキットで開催された、FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)のウインターテスト。2015〜2020年にWSBK6連覇を達成したジョナサン・レイを擁するカワサキ・レーシング(KRT)が、2021年型のニンジャZX-10RRをいち早く持ち込んで走行させた。
現時点では市販モデルが正式発表されていないニューモデルがここで登場したかたちとなる。
このテストでKRTのマシンをライディングしたのは、来シーズンもKRTでWSBKを戦うJ・レイとA・ロウズの2人だった。
従来モデルとの比較テストも実施
今シーズンのチャンピオンマシンと新しい2021年型のZX-10RRを持ち込み、2日間にわたって両車を比較しながらテスト。今回もカラーリングにはむき出しのカーボン地に漢字で「冬」の字が入った白いマークが目立つ、市販車にも採用されてお馴染みウインターテスト仕様だった。
へレスに現れた新しいZX-10RR最大の特徴は、凄みを感じさせるルックスとなった独特なフロントマスク。ライバルたちが採用しているカウルの外側に露出したウイングと同様に、フロントアップを抑えるダウンフォースを得ることを狙ったデザインだろう。
同じアングルからの写真で2020年型と新型を比較すると、フロント周りだけでなくカウル自体も完全に別物で、ボディ全体での空力特性の改善も狙っているようだ。
外から見える限りでは、フレームやエンジン、サスペンションには外見上は大きな変化は見られず、基本的には高い戦闘力を証明してきた従来型をベースにしたものだと思われる。
チャンピオンの貫禄、レイが2021年型で総合トップ!
2日間のテストを終えて、J・レイは新しいZX-10RRで1分38秒324をマーク。ヤマハWSBKオフィシャルチームのYZF-R1を駆り、1分38秒839を記録したT・ラズガットリオグルを抑えてテスト全体でのトップタイムを記録。
A・ロウズもラズガットリオグルに僅差で迫る1分38秒887で3位となり、KRTは来シーズンに向け好調な滑り出しとなった。2021年型のZX-10RR・市販バージョン、その正式発表が待ち遠しくなってくるニュースだ。
まとめ:小松信夫