ホンダのカブシリーズに乗る前に知っておきたい!
ホンダのカブシリーズは一般的なバイクとちがう部分があるので、初めて乗るとすこし戸惑うことも……
でも注意するべき点を知っていれば、とっても快適なバイクだとすぐに体感できるでしょう。
3つの最重要ポイントを紹介します!
今回はCT125・ハンターカブを使って説明します。
① 走行中に2速から1速に落とすと強烈にエンジンブレーキが!
1つめの注意していただきたいポイントは、カブシリーズ特有の自動遠心クラッチにまつわること。
一般的なバイクのシフトパターンとちがい、ロータリー式に近いリターン式が採用されています。(停車時のみ、ロータリー式になるため、ニュートラルからトップギアにひと踏みで入ってしまう)
シフトペダルの前側を踏むとギアが上がっていきます。CT125・ハンターカブの場合は4速。N→1→2→3→4。停車時は4からN(ニュートラル)にも入ります。
シフトペダルの後ろ側を踏むと、ギアを落とせます。4→3→2→1→N。停車時はNから4にも入ります。
一般的なバイクのように前側のシフトペダルの下に足を入れて操作することも可能。なのですが、これは初めて乗るときにはおすすめしません。一般的なバイクは踏むとギアが落ちる、上げればギアも上がるものですが、カブの場合は真逆。慣れるまで頭が混乱します。なので、カブの場合、「前を踏んだらギアが上がる」「後ろを踏んだらギアが下がる」。シフト操作はこれだけで行なうのがおすすめです。
さて、ここからが一番気を付けていただきたいポイントです。
カブはクラッチの特性上、走行中にギアを落とすと強烈なエンジンブレーキがかかります。
4速→3速や、3速→2速はそれほどでもないのですが特に『2速から1速に落とすときが強烈』なんです。
なので、ここだけすこし注意が必要です。
そのことを知らずに2速/時速40kmくらいから1速へ落とすと、急に強いエンジンブレーキがかかって驚くことも……(筆者は初めてこれをやったとき驚きすぎて軽くパニックになりました)。
カブはハンドル左手にクラッチレバーが備わっていないのが特徴。逆にそれゆえ、半クラッチで強いエンブレを逃がしてやることができないのです。
なので、2速から1速に落とすときは、非常事態以外は時速15km以下で行なうのがいいと思います。
厳密には、ギアを落とした瞬間、回転数を上げてエンブレを相殺する方法があるのですが、これは相当な慣れが必要。
初めて乗る場合や、レンタルバイクで乗る際は、しっかりと速度が落ちてからギアを落とすのがいいでしょう。
構造的にエンストしないので、停車してから1速に落とすのもありです!
② 信号待ちでニュートラルに入れたら、発進時に注意!
ハンドルにクラッチレバーが備わっていなくて、エンストもしないホンダのカブシリーズは、誰でも簡単に乗れるバイクを目指して開発されました。
操作がシンプルで、かつ燃費もいいので、配達など業務用バイクとしても選ばれ続けています。
ただ、クラッチレバーが備わっていないことが裏目に出てしまうシーンがあるんです。
それが2つめの注意ポイント。
一般的なバイクに乗り慣れた人なら、赤信号で停車した際、ニュートラルに入れるのがクセになっている方も多いでしょう。
カブ・シリーズの場合はエンストしませんので、言ってしまえばニュートラルに入れなくてもいいんです。
というか、入れない方がいいかもしれません。
慣れがないうちにニュートラルに入れると、このような『うっかり』が起こる可能性があります。
①赤信号でニュートラルに入れる
↓
②青信号になった発進! 大きくスロットルを開ける
↓
③あ、ニュートラルのままだった!?
↓
④慌ててギアを踏んで1速に入れる
↓
⑤意図せずロケットスタート!? 危なーい!(泣)
みたいな?
どういうことかというと、ニュートラル時にスロットルをガバっと回すとエンジンの回転数が上がります。
その状態でギアを入れると、いきなり高回転からの発進になってしまう訳です。
一般的なバイクの場合は、クラッチ操作で調整ができますよね?
でもクラッチレバーのないカブシリーズは、唐突に100%つながってしまいます。
じつは筆者も先日、CT125・ハンターカブで1000kmツーリングを行なった中、100kmに一度くらいこのミスをして肝を冷やしました。
幸い大事には至りませんでしたが……
その理由は、発進時には常にブレーキレバーを握っていたからです。
このうっかりは気を抜いたときに起こります。
発進時は1速に入れる、そして慣れないうちは、必ずブレーキレバーを握りながらスロットルを回すことを心がけましょう!
ちなみに2速や3速の発進もできるのですが、どうしても発進トルクが薄くなるので、不安定になりがち。
街中の信号待ち後の発進もそうですが、坂道発進、Uターンなどは1速で行ないましょう。
③ 傾斜のついた場所に駐車する際は『センタースタンド』を使う!
一般的なバイクは、傾斜の付いた場所に駐車するとき、ギアを1速に入れた状態で、車輪が動かない状態にしてサイドスタンドをかけますよね?
カブシリーズの場合、これは確実な方法とは言い切れません。ニュートラルに入れると、前後に自由に動かせるというのは、一般的なバイクと同じ。
ただ、カブはギアを入れた状態でも、後ろ側には動いてしまうんです。なので、下り坂なら前向き、上り坂なら後ろ向きに停めないと、抵抗がなく車輪がコロコロ回ってしまいます。
なので一番のおすすめは、センタースタンドをかけてしまうこと。
長時間の駐車や、前後に傾斜のついた場所ではセンタースタンドをかけることをお忘れなく。
とくに写真のように大荷物を積んでいる場合、サイドスタンドだと心もとない。
キャンプ場など、地面が土だったりすると、サイドスタンドだとめりこんでしまう場合も。
大型バイクとちがい原付一種・二種のカブシリーズは、センタースタンドをかけるのもラクラクです。
【まとめ】慣れればカブシリーズはとっても快適
スカートをはいている女性でも気軽に跨れて、スーツのサラリーマンでも革靴を傷つけずに乗れるよう造られているカブシリーズ。
クラッチレバーがなく操作が簡単で、スクーターよりも燃費がいい。カブは昔から多くの人に愛され、2017年には「スーパーカブシリーズ」の累計生産台数は1億台を突破。誰もが知っているホンダの誇る名車です。
単純に、一般的なバイクと機構が異なるため、初めて乗ると戸惑いやすい。
ただ、慣れれば慣れるほど、操作のコツが分かってきて、逆に愛着も深まります。
(下に続きます)
先日、CT125・ハンターカブで4泊5日、1000kmのツーリングをしてきました。
東京を出発し、山を越え、キャンプをし、また走って、日本海に出て、戻ってきました。5日間で1日目よりも2日目、2日目よりも3日目と、どんどんハンターカブと意思疎通できるようになり、その感覚はカブシリーズ特有の個性だと感じています。
シフトペダルを踏んで、ガチョン!と音を立てる感じや、独特なカブならではのエンジン音は、不思議とバイク乗りを虜にする魅力を持っています。
最初は頭を使いながら乗ることになるかもしれません。だけど、しばらくすると何も考えず、ギアを上げたり下げたりできるようになる。バイクとの親和性が高まっていることに気づくはず。
そこからが、うんと楽しくなります。
カブだけが持つ独特な味わい深さ、ぜひあなたも堪能してみてください!
文:西野鉄兵