限定した性能が追求されている?

2輪の油圧ブレーキ世界シェア第1位の日信工業(「NISSIN」の方がお馴染み?)から、ホンダCBR250RR(MC51)/CBR250R(MC41)用のレース専用ブレーキパッド「RSP-615JPH」が発売されます。この商品はレース用ということで、一般公道での使用は厳禁なのですが、ワンセットの価格が1万3600円(税別)! なんかイイお値段です。レース用の部品って、やっぱり高価だなぁ…。

ただ、そう聞くと「公道向けのブレーキパッドと、いったい何が違うんだろう…?」と、シンプルに気になってしまったんです。値段が違うんだから、もちろん性能が違うんでしょう。でも、性能って何だろう?

メーカーのリリースによると、このブレーキパッドはロードレースのJP250やアジア選手権AP250クラスを主なターゲットした商品で、下記のような特徴が挙げられています。

■コントロール性と効力特性の高次元でのバランス。ドライ/ウェットを問わず安定した効きと、リニアな効力特性を実現
■鈴鹿8耐でも実証済みの高寿命
■バックプレートに特殊工具鋼を採用し高強度を確保。高温時におけるバックプレートの反りを抑制し、安定したレバータッチとブレーキングポイントを提供
■バックプレートは高精度なワイヤーカット製法で製作

4つ特徴が挙げられているのですが、その内2つが「バックプレート」の話ってあたりに、本格的なレース仕様の匂いが漂います。

ちょっとだけNISSINのご担当者さんにお話を伺うと、一般公道用のブレーキパッドは、あらゆる走行条件と幅広いライダーのスキルレベルに対応できることが前提で、さらにコストとの両立が求められるけれど、ロードレース用は高速・高負荷条件に限定した上で、性能と安定性が求められているとのこと。

…はい。分かったようで分からない。うっかり「なるほど~」とか言っちゃいそうです。

大前提として、一般的に言われる「ブレーキが効く」とか「効かない」って感覚には、マスターシリンダーやキャリパーの設定や性能、ブレーキホースやタイヤの性能、そしてサスペンションセッティングまで含まれています。

とは言え、その中でもブレーキの効きや、コントロール性にはブレーキライニング(ディスクブレーキだと、ブレーキパッドの直接ディスクに当たる摩擦材の部分)の性能が大きく影響を及ぼすとのこと。ブレーキライニングの性能は含有物や生成条件で決まるらしいのですが、そこら辺はノウハウの蓄積や実績がモノをいう世界みたいですね(急にザックリで恐縮です)。

で、「レース用」って何だろうという話ですが、サーキットでのハードブレーキングでは公道とは比較にならないくらいキャリパーが高温になるんです。パッドが常に熱膨張と収縮を繰り返していることがその理由なんですが、このときにパッドとピストンの接触面が反っていたりすると、レバータッチが柔らかくなったりして、いつもと違うフィーリングになるのだとか。これはパッドが反った状態から平らになる状態までレバーを握る必要があるからなんだそうですが、同じポイントで同じ制動力を正確に引き出したいレーシングライダーからすると、これは大問題。

そんなハードブレーキングの大敵とも言える「反り」を発生させない、あるいは軽減するためにバックプレートに高価な素材を使ったり加工精度を上げたりする必要があるんだそうです。しかも「反り」対策はバックプレートだけでなく、ライニングの形状でも行なわれているとのこと。

普段、街乗りやツーリングで走ることがメインなので、ブレーキパッドの反りなんて気にしたことなかったんですが、「レース用」はここがポイントなんですね。

というわけで(?)、CBR250RR(MC51)やCBR250R(MC41)でレースやサーキット走行をしている皆さん、新作ブレーキパッドの登場ですよ~! あと、近日中にYZF-R25用もラインアップされるらしいので、オーナーさんたちは登場をお楽しみに。

画像: ブレーキライニングには「N615A材」が使用されているとのこと。

ブレーキライニングには「N615A材」が使用されているとのこと。

画像: 品番:RSP-615JPH メーカー希望小売価格:1万3600円(税別)

品番:RSP-615JPH メーカー希望小売価格:1万3600円(税別)

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