ダカールラリーを知り尽くした男・三橋 淳が新型アフリカツインの弱点を補完すべく始めたカスタム企画。前回からは「転んでも壊れにくい」バイクにすることをテーマに、オフローダーにつきものの転倒を気にせずに走りを楽しむべく試行錯誤しております。さて、前回の長ーい座学の末に決まったコンセプトはダカールマシン譲りの「ダルマ型」。今回はいよいよアイデアをカタチにします!

ラリーマシン風の「張り出し」アンダーガードを目指す!

ラリースタイルのアンダーガードでアフリカツインを守る!

ということで、前回長々と講釈をたれたラリーバイクにおけるタンク形状の歴史と変遷の話なのだが、実際、既存のバイクをカスタムするとなると、タンクを作り直すのはさすがに大変。

というわけで、現代のラリーバイクのような形になるアンダーガードを作ることにした。まずは、そのイメージとなるスケッチを描いてみた。

画像1: 作:三橋 淳画伯

作:三橋 淳画伯

画像2: 作:三橋 淳画伯

作:三橋 淳画伯

これじゃわかんねーっつうの!

子供の落書きみたいなスケッチになってしまったが、こんなわがままなオーダーを引き受けてくれたのが、前回のカスタム・左手ブレーキレバーでお世話になった46ワークスの中嶋志朗さん。「いいよー」という返事をいただいたので、早速アフリカツインを搬入する。

画像: 早速下回りを眺める志朗さん

早速下回りを眺める志朗さん

私からの要望は「ラリーバイクっぽく、アンダーガードが一番飛び出るようにしたい」ということと「どうせならラリーマシンのタンクっぽく、エンジンも隠したい」ということ。

頭を抱える志朗さんと、モニター見ながら打ち合わせ。

画像1: これじゃわかんねーっつうの!

私の希望を図にするとこんな感じ。アンダーガードがタンクよりも張り出ていることが重要!

画像2: これじゃわかんねーっつうの!

大体のイメージを伝えたら、あとは形ができるのを待つのみ。

あざやかな手際で制作開始!

画像1: あざやかな手際で制作開始!

まずはカナメとなるパーツのアンダーガードの製作。アフリカツインの下回りをすっぽり包み込む形状にする。

画像2: あざやかな手際で制作開始!

アフリカツインの場合、エキパイ直後に大きなキャタライザー(排ガス浄化装置)があるのだが、それごと包み込む感じ。

画像3: あざやかな手際で制作開始!

それに合わせて今度はサイド。型紙でなんとなく形を作るところからスタート。

画像4: あざやかな手際で制作開始!
画像5: あざやかな手際で制作開始!

その型紙をベースにアルミを曲げていき、さらにそれを叩いて曲げて仕上げていく。まさに手作り!

画像6: あざやかな手際で制作開始!
画像7: あざやかな手際で制作開始!

取り付けたときのイメージはこんな感じ。ちなみにアンダーガードの装着方法は純正とまったく同じとなっている。

ということで出来上がったのがコチラ!

画像1: ということで出来上がったのがコチラ!

なんかゴツい……。

画像2: ということで出来上がったのがコチラ!
画像3: ということで出来上がったのがコチラ!

さすが46ワークス、仕上げは最高に美しい! アルミの良さがすごく出てる。

でも、イメージしたものとなんか違う…。

せっかくだからこだわりたい。ということでとことん改良!

画像1: せっかくだからこだわりたい。ということでとことん改良!

なんか違う、と思ったのは「タンクっぽいイメージ」というのが出ていないから。それと、写真ではわかりにくいが、ガードの上の方がエラのように飛び出していて、ライディングの邪魔になる。

実際ちょっと走ってみたけれど、アルミ板の鋭い断面が足を攻撃してきそうで怖い…。

それに前方がぱっかり空いている構造なので、オフロードを走ると、石やら枝やら全部すくい上げてしまうので、これもいただけない。さらに、エンジンを囲っているアルミパネルが薄すぎて、これでは転んだら1発でガードが壊れてしまう。

「上のアルミパネルですが、こいつが壊れることで中を守るコンセプトなんです」とは志朗さんの弁。

転びにくいオンロードモデルならそれでもいいんだけれど、オフロードは転ぶことが前提。転ぶたびにガードが壊れて交換してたんじゃ、財布がもたないよー。

画像2: せっかくだからこだわりたい。ということでとことん改良!

というわけで、その辺りの強度も上げて改良してもらうために、再度ドック入り。さらに手直しをしてもらうことにした。

協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳

【次回予告】カタチになり始めた理想のアンダーガード。でも、どうせイチから作るならこだわり抜きたい。ということで、次回、このアンダーガードをさらにヘビーデューティー仕様に仕上げていきます。次回「シン・ダルマ大作戦」をお楽しみに!

アフリカツインについてもっと知りたい人はコチラ!

「アフリカツイン 北駆南走」前回の模様はコチラ!

三橋 淳 公式サイト、SNSアカウント

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