ダカールラリーを知り尽くした男・三橋 淳が新型アフリカツインを満喫するこの連載企画。「転んでも壊れにくいバイク」を目指して製作したスペシャル・アンダーガードですが、作ってみたらちょっと気になる点がいくつか…。せっかくならトコトンこだわりたい、ということで、今回はそのワンオフ・アンダーガードの進化と改良の模様をお届けします!
いったんは完成。でもちょっと物足りない…
46ワークスで作ってもらったアンダーガードは処理が美しくて綺麗なんだが、オフロード走行における「大事な要件」が満たされていなかった。
これは私の発注ミスでもあるのだが、現在のアドベンチャーバイクのアンダーガードの多くは7mm厚の分厚いアルミを使っていて、それはそれは丈夫なのだ。が、対して46ワークスのアンダーガードは3mm。しかも取り付け方法を純正と同じラバーマウントにしたので動いてしまうのだ。フレームをガッチリ挟み込んで固定する社外品と比較すると、強固さという意味では物足りない。
それも、車体から一番張り出して、転倒の際に地面と当たるところがペラペラのアルミなので、転んだら一撃で凹んでしまう。ステーも貧弱そのもの。
というのも、転んだらそれらのパーツが曲がることでエンジンを守るコンセプトらしいのだが、それは普段転ぶことのほとんどないオンロードバイクでは有効だけれど、転ぶことが前提と言うべきオフロードバイクでは心もとない。
それにアンダーガードがエラのように張り出していて一体感がない。そして上の方がとんがって出っ張ってるために、万一の際足が当たりそうで怖いのだ。
ということを46ワークスの中嶋志朗さんに率直にぶつけて、手直ししてもらうことにした。
まずは現状のアンダーガードに補強を入れてみる
まず、エンジンを覆っているアルミの板の下に、支えになるようなラバーパーツを取り付けることにした。これなら、万一転んでも簡単には凹まないはずだ。
そのラバーを取り付けるのにアルミでステーを製作。
右側がこんな感じ。
左側はダイナモケースからステーを取り出すことにした。
本来なら一から作り直すべきなのだろうが、そうなると流石にお金もかかるので、そこは仕方がない。でも、46ワークスらしい美しい表面処理の仕上がりになるのはこの肉厚だから、というのもある。だから補強することで、強さと美しさ、両方を取ろうという欲張りな作戦だ。
それと、アンダーガード前方が大きく空いているため、オフロードを走ると、そこからチリトリのように石やら草やらを拾い上げてしまうので、カバーを大きくすることにした。
これで余計なものが入り込むことを防げるはずだ。さらに、上部がとんがっていたアルミの板をフレームに沿わせるように伸ばして延長した。
そうして出来上がったのがこのカタチ!
どう? 最初に描いた「落書き」に近くなったと思わない?
カタチ、仕上がりともに満足!あとは転ぶだけ…?
こうして完成した「jun38cオリジナル・46ワークス製アンダーガード」! まずはいろんなアングルからそのカタチを見ていただこう。
よくできてるでしょ? 前から見ると、シルエットはこんな感じだ。
ちゃんとタンクよりアンダーガードの方が出っ張っているのがわかるだろうか?
これで、万一転んでもアンダーガードが先に地面に当たってくれるので、上のタンク部分の損傷が和らぐはずだ。
流石に完全に無傷、とはいかないだろうけれど、タンクが直接地面に当たるよりダメージは少ないはず。
というわけで、ラリースタイルのアンダーガード完成!
といっても、現状だとアルミ地が主張しすぎてて、ラリーというよりスチームパンクっぽい。だから、このアンダーガードを塗装するかステッカーを貼って、全体のデザインをボディとコーディネイトしたいね。
でもその前に…
果たして本当にこのアンダーガードは機能するのか???
その答えは転んでみないと分からない。転ばないに越したことはないんだけどね…。
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス
写真:三橋 淳
【次回予告】ということで、試行錯誤の末に手に入れた理想のアンダーガード。しかし、本当の性能は転んでみなきゃ分からない。でも、テストのために転ぶのはちょっと…。揺れ動く男心。しかし、そんな時に「千載一遇」のチャンスが?次回「ダルマさんが転んだ」をお楽しみに!