ホンダ新型「X-ADV」いま分かっていることを解説
力強いパワー特性のエンジンにDCTを組み合わせてイージーライドを実現したことや、スクーター的な利便性にオフロードモデル風のディテールをミックスしたスタイリングが特徴の、ホンダのオートマチック・アドベンチャーモデル「X-ADV」。昨年末に初めてのモデルチェンジを受け、欧州向け2021年モデルとして発表されていた。
そして2021年2月20日、この新型「X-ADV」の国内向けモデルがついに姿を現した。その特徴や詳細を、現時点でわかる限り紹介してみよう。
まずはスタイリング。通常のオートバイのように跨るスタイルではなく、スクーターのようなシッティングポジションを取るレイアウトや、やや腰高でオフロードモデル的なディテールを備える個性的なスタイリングの従来モデルのイメージを踏襲している。
しかし、目につきやすいフロントマスクに新しくデザインされたデュアルLEDヘッドライトを装着。新しくなったウインドスクリーンと合わせて、先端的なアドベンチャーイメージを強調。
合わせてボディ各部外装パネルも、シャープなイメージの面構成を持つ新デザインとなり、一般的なアドベンチャーモデルとは一味異なる未来的な雰囲気が強調された。
車体のメカニズムでは、基本レイアウトは同じだが約1kg軽量化された新型フレームを採用。これにフロント17インチ・リア15インチ径のスポークホイールや、ストロークの長い専用の倒立フォーク、アルミスイングアームなど、コンディションが悪い路面に対応できることで評価されてきた、従来モデル同様の足回りを組み合わせている。
NC750系の745cc水冷並列ツインエンジンは新たにスロットルバイワイヤを採用し、さらにバルブタイミングの変更、吸排気系の改良と合わせてパワーアップ。もちろん最新の排ガス規制であるユーロ5もクリアしている。
スロットルバイワイヤ採用によって電子制御デバイスも新しくなり、ライディングモードを新たに搭載。「スタンダード」「スポーツ」「レイン」「グラベル」というプリセットされた4モードに、パワー特性やエンジンブレーキ、トルクコントロール、ABS介入度を任意に設定できる「ユーザー」モードを合わせた全5モードを設定。街乗りからダートまで幅広い条件でライダーをサポートする。
フルフェイスヘルメットが収まるシート下の収納スペース、スマートフォンとの連携機能も備える多機能タイプの液晶メーターパネル、高さを調整できるウインドスクリーン、自由度の高いポジション設定や快適なシートなど、使い勝手の良さも従来通り。
オートマチック・アドベンチャーという独自の路線はそのままに、大きく完成度が高まった新型「X-ADV」は、日本の道でも魅力的な存在となるだろう。
【参考】ホンダ新型「X-ADV」(欧州仕様車)の主なスペック
全長×全幅×全高 | 2215×940×1370mm |
ホイールベース | 1590mm |
シート高 | 820mm |
車両重量 | 236kg |
エンジン形式 | 水冷4ストSOHC4バルブ並列2気筒 |
総排気量 | 745cc |
ボア×ストローク | 77×80mm |
圧縮比 | 10.7 |
最高出力 | 43.1kW/6750rpm |
最大トルク | 69N・m/4750rpm |
燃料タンク容量 | 13.2L |
変速機形式 | 6速DCT |
キャスター角 | 27° |
トレール | 104mm |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70-R17M/C・160/60-R15M/C |
ブレーキ形式(前・後) | 296mmダブルディスク・240mmシングルディスク |
まとめ:小松信夫