文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年2月26日に公開されたものを転載しております。
スタッフとお客様の関係一層深く
──センターロジスティクスとは。
「物流センターを新たに設置することで在庫を一元化し、受発注にかける時間を短縮する。同時にナップスDXの根幹ともいえる、AI(人工知能)で使われるIT技術を用いた〝ダイナミック在庫システム〟と呼ぶ、物流スタイルを確立していく。
仕組みはこうだ。AIで使われるディープラーニングと呼ばれる技術を用い、膨大なデータを収集し、分析することで予測精度を向上させていく。これまではお客様の購入情報やピットへの入庫状況などのデータベースは構築していたが、今後はディープラーニングを活用することで、お客様の情報をさらに深く分析していく。
そして、来店前に興味のある商品を弊社の専用アプリなどで検索した情報をもとに先回りして在庫が確認できるようにする。また、お客様にはインターネットでの価格と実際の店頭価格、在庫の回転等を考慮し、その時に最適なプライスを算出する。
このシステムは今後、アプリと統合することでお客様が来店前に商品を店舗へ届ける、というところまで実現していく。また、将来的には天気や季節に応じた自動発注までも可能にし、発注業務までも不要にするつもりだ。
一方で、前述のデータベースは今後PIM(プロダクト・インフォメーション・マネジメント。商品情報をWebなどに利用するPR情報も含めて管理するIT技術)と連携させ、新商品の案内や来店頻度の高い店舗のセール情報などを発信し、来店を促すような取り組みを図る」
接客スキル保有するスタッフは財産
──DXの導入で、従来の接客スタイルはどのようになるのか。
「ナップスDXは最先端のデジタル技術を導入しているが、人の手を介す接客スタイルが減ることは全くない。
二輪のメンテナンスやノウハウのある接客スキルを保有するスタッフは弊社の財産であり、日本の宝だと言っていい。むしろ、従来の対面販売に比べてもっと濃密なものになる。受発注や商品検索、価格等の問い合わせをIT技術が担うことで、接客対応の時間が増加し、お客様と接客する時間が増えることで、その人の年齢や所有する二輪車、楽しみ方といった情報を引き出せるからだ。
他方、エリアによっては特定の商品に強みのある店舗もあり、それらの商品特性に長けたスタッフも在籍する。よって、そうしたスタッフはお客様と接客にかける時間はより長くなっていくだろう。もちろん、ディープラーニングによって、特定の商品や、地域性のある商品への対応も予測発注で可能になるだろう。
──DXによってプライベートブランド(PB)の「Nプロジェクト」のブランド力も強化していくのか。
「ナップスDXとNプロジェクトとの相性は確実に良くなっていく。PBは必要だし、今後も強化していく。ただ、どの商品についても基本的には売れ筋であるナショナルブランドをメインに取り扱っていく方向で、今後もそれは変わらない」
──ナップスDXは既存の店舗へも展開していくのか。
「松山店は新規開店ということで導入したが、既存の店舗への展開も当然考えている。松山店では現在、そのノウハウを取り入れている最中でそこで培った知見を活かして展開するつもりだ。
余談だが、デジタルサイネージを導入したことで既存の店舗と比べて展示商品を1割程度少なくしたが、来店されるお客様は意外と気づかれないようだ。やはり商品を音と映像で確認できるというのは、お客様にとっても分かりやすいスタイルだと思う。今後もさらに進化させていくつもりだ。
国内の二輪車市場は原付一種を除いて、販売台数は減っていないと感じるし、まだまだポテンシャルがある。二輪車は安全で楽しく、趣味の幅を広げる乗りもの。今後も弊社ではナップスDXを通して、お客様には来店される高揚感を提供していく」 (終わり)
文:二輪車新聞 野里卓也
※この記事は、『二輪車新聞』の公式ウェブサイトで2020年2月26日に公開されたものを転載しております。