文:宮崎敬一郎、福山理子、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
サクマエンジニアリング「ゴールドウイング シータ」インプレ(宮崎敬一郎)
絶妙なセッティングが実現する極上クルーズ
このGL1800サイドカーはサクマエンジニアリング製。試乗車はオーナー車で、側車は同社のスポーティなモデル「シータ」がベース。各部をオーダーメイドで特注されたワンオフモデルだ。
そもそも、サイドカーというのは大方の車両が個別にチューニングされていることが多いし、運転に際しても、側車の慣性を利用したり(エンブレを掛けると側車のある側とは反対側に曲がろうとし、加速すると側車側に曲がろうとする特性がある)抑え込んだりしながら操作するという独特の世界だ。
こうしたサイドカーならではの操縦特性を制御するのに重要なのがアライメントなどのセッティング。側車に対する車体のキャンバー角や車輪の位置、角度、フレームレイアウトなどで、直進性やコーナリング特性、ハンドリングの応答性などを速度レンジごとにセットアップ可能なのだ。もちろん、これには専門的な技術が必要だが、サクマエンジニアリングはこれを見事にやってのけている。
今回の試乗車は、オーナーが長距離をハイペースで快適に移動し、かつ、そこそこスポーティにコーナリングもできるような、オールマイティなハイスピードクルーザーといったキャラクターに仕上がっている。
もともとが車体に対して側車が軽いので、パッセンジャーを乗せても慣性の影響は少なめで安定性はいい。もちろん、低いギアでラフなスロットル操作をすると多少ハンドルは取られるし、フル加速すれば側車側に車体が持っていかれるが、これはサイドカーでは当り前のこと。常識的な操作をすれば、見事にスムーズな走りができる。
今回の試乗車は、特に高速域での操作性、安定性、運動性能が光っていて、ビックリするほどクイックな動きもできた。また、サイドカーが苦手とするブレーキバランスのセットアップも実に見事。荒れた路面や高速域からの急制動も安定していた。
ゴールドウイングが大きくパワフルなのに対し側車が軽いため、低中域のタイトターンでは側車がリフトしやすい。パッセンジャーが体重移動に協力するためのホールドバーがあれば、もっと豪快な操作も楽しめそうだ。
ただ、快速で気楽にどこまでも、というのがこのモデルのコンセプト。サイドカーの老舗・サクマエンジニアリングは高い技術力で、そんなオーナーの希望に見事にマッチしたマシンを作り出している。
サイドカーの乗り心地は? 福山理子の感想
想像以上に快適でビックリしました! 走行風も少ないし、シートの座り心地もいいし、何よりデザインがカッコよくて、高級車に乗っている実感がスゴイ! 感覚としてはオープンのスーパーカーに乗っている感じ。ツーリングでゆったり走るのも最高ですが、私ならこれで街を流して自慢したくなっちゃいます。
サクマエンジニアリング「ゴールドウイング シータ」各部装備・ディテール解説
サクマエンジニアリング「ゴールドウイング シータ」主なスペック
【全長×全幅×全高】2640×1830×1430㎜
【ホイールベース】1765㎜
【シート高】745㎜
【車両重量】525㎏
【エンジン形式】水冷4ストSOHC4バルブ水平対向6気筒
【総排気量】1833㏄
【ボア×ストローク】73×73㎜
【圧縮比】10.5
【最高出力】126PS/5500rpm
【最大トルク】17.3㎏-m/4500rpm
【燃料供給方式】PGM-FI
【燃料タンク容量】21L
【変速機形式】6速リターン(試乗車)
【ブレーキ前・後】Φ320㎜ダブルディスク・Φ316㎜ディスク
【タイヤサイズ前・後・側車】130/70R18・200/55R16・155/55R14
文:宮崎敬一郎、福山理子、オートバイ編集部/写真:南 孝幸