文:太田安治/写真:南 孝幸
ハスクバーナモーターサイクルズ「スヴァルトピレン125」インプレ・解説(太田安治)
125ccとは思えない装備群に注目
1903年にスウェーデンでオートバイの生産を開始し、高性能オフロード車メーカーとして世界中にその名を轟かせたのがハスクバーナ。現在はオーストリアのKTMグループに属し、ハスクバーナ・モーターサイクルズとして本格派エンデューロ・モトクロスモデルとスーパーモト、カフェレーサールックの「ヴィットピレン」、そしてスクランブラータイプの「スヴァルトピレン」シリーズが日本に導入されている。
このスヴァルトピレン125は、2021年2月に発売されたばかりの最新モデル。車体の基本構成はシリーズ共通で、スチール製トレリスフレーム、WP製前後サスペンション、バイブレ製ブレーキも上級車譲り。
日本では小型二輪免許で乗れる原付二種に区分されるわけだが、「原付」という呼称がまったく似つかわしくない存在感がある。835mmというシート高により、着座位置は高め。ハンドル位置はロードスポーツ的で、後退したステップ位置と併せてライダーとオートバイの一体感が高いポジションだ。
グループ企業であるKTMの125デュークに採用されているものと同系統のDOHCシングルエンジンは7000~1万回転あたりがパワーバンド。市街地での試乗では6~7000回転台を多用したが、パワーバンドの手前でも頼りなさはなく、4000回転をめどにした、早めのシフトアップでストレスなく加速してくれる。6速・50km/hでも普通に巡航できるから、ツーリングペースでもスムーズで快適だ。
エンジン特性以上に快適なのが公道でのハンドリング性能。試乗車に装着されていたタイヤはピレリのスコーピオン・ラリーSTRで、ブロックパターンを採用しているタイヤだが、ブロックタイヤにありがちなゴロゴロ感はほとんどなく、旋回力とグリップ力のバランスもなかなか良かった。
また、車体剛性が高いとギャップ通過時に弾かれるような挙動が出がちなのだが、このモデルは衝撃がフレームに伝わる前に、WP製の前後サスペンションがしなやかにストロークして衝撃を吸収し、上質な乗り心地を保ってくれる。かといって、加減速やコーナリングでフワつくこともない。これは現実的な公道走行に合わせ込んだスプリングとダンパーの絶妙な設定のおかげだろう。
個性的なフォルムをまとっているが、スヴァルトピレン125は、数ある125モデルの中でも、最もオールラウンドに使える、付き合いやすい1台だ。