パンクを起こしにくくする走り方と、タイヤの空気圧設定
しかしどうしても避けられないのがパンク。どれだけ気をつけていても、100%防ぐ事ができるというものじゃない。けれども、パンクしてしまう確率を下げることはできる。
パンクのほとんどは石や段差に乗り上げてホイールをぶつけて起きる。パンクを起こしにくくする方法は、空気圧を落とさず、ゆっくり走ること。これでほとんどパンクしないはず。
オフロードではタイヤの空気圧を落とすことで走行性能が上がるので、空気圧の調整を行うライダーが多い。ではあえて聞きましょう。
何のために空気圧を落とすの? どうして走行性能を上げなきゃいけないの?
林道とは林業のための道だから、車も走れる未舗装路だ。車が普通に走るのだから、未舗装路といえども、規定空気圧で走り切るのに問題ないはず。たとえ林道初心者であってもだ。
じゃあなんで空気圧を下げるの? それって速く走りたいからじゃないの? よく走ってよく曲がってよく止めたいからでしょ? 林道でスポーツ走行しなけりゃ、空気圧を下げなくたって問題ないはず。
いやいや、空気圧下げないと真っ直ぐ走らないし。という方。「それって本当に林道?」と聞きたくなる。オートバイが空気を落とさないと走れない道って、車で走れないと思うんだよね。つまりそれはもはや林道じゃない。
とはいえ、荒れた林道は確かにあるし、実際空気圧を下げればスピードを出さなくたって、タイヤのグリップ力が上がるので安心感が増える。これは初心者にこそありがたい性能アップだ。
だから空気圧を下げることは決して悪いことじゃない。けれど下げるのにも限度がある。アフリカツインなどのアドベンチャーバイクなら1.8キロ(約180kpa)、一般オフロードバイクでも1キロ(約100kpa)まで。
それ以下にした場合は下げたことを自覚して、ゆっくり走る。ちなみに空気圧を下げちゃったら、林道を抜けた後ガソリンスタンドで補填すると思うんだけど、オフロードバイクのバルブにはノズルが合わずに入れにくいことが多い。そのときのためにこれを持っているといい。
バイク用エアバルブエクステンション! これさえあればガソリンスタンドでの空気補填にイライラしなくて済むぞ。
そんなこんなで、林道でのパンクのほとんどはライダーの乗り方に問題があるのだが、それでもパンクすることはある。たとえば道に落ちてる釘を拾ってしまったとか、だ。こればっかりは運がなかったと諦めよう。
パンク修理キットを持っていないときにパンクしてしまったら?
それじゃパンクしたらどうするのさ? と、パンク修理をしたくないライダーのために、2つの解決策を紹介しよう。
【解決策その1】パンク修理剤。
釘などの突起物が刺さって空いた穴なら、塞ぐことができるかもしれない。
かもしれないというのは、確実に直る保証はないから。大きい穴はダメだし、せっかく塞がっても林道で激しく走ったら、塞がった穴からまた漏れ出すかもしれない。つまり、直るかどうかわからないけど、「これで塞がればラッキー」というアイテムだ。もちろん、使う前に釘などの異物はしっかり取り除くこと。
そんな不確定要素に頼るのはなぁという方で、なおかつ現場でパンク修理ができない方は、もう一つの方法しかない。
【解決策その2】歩いて帰る! これしかない。
バイクを置いて林道を歩いて戻ればいい。北海道などの特殊な地域を除き、どんなに長くても林道はせいぜい10kmほどだ。歩けば2時間で抜けられる。それに携帯電波が繋がればタクシーだって呼べる。日本の携帯電波カバー率はかなりものので、山奥で圏外でも歩いて戻ればそのうち電波を拾える。
本当にありがたい世の中です。あとはお金さえあれば何とかなる。もちろん現金ね。田舎では電子マネーなど当てにならない。林道ツーリングでは現金必須!
ではバイクはどうするのか? 私の場合はトランポを持っているので、タクシー&電車で帰って、車で取りに戻るだけです。手間と時間はかかるけど、日本という国ならこれで大抵のトラブルは切り抜けられる。ただし、電車に乗っているときはオフロードウエアのままだけど……。
さらにいえば私の場合はこれもある。
JAFカード!
JAF会員ならバイクでもレッカー移動してくれる。
無料距離は15kmと短いけれど、運が良ければバイクショップまで運べる距離にあるかもしれない。ただし相当待たされると思う。その場合は持参したおやつでも食べて待ちましょう。
つまり、お金と携帯電話さえあれば今の世の中なんとかなるというわけです。
そんなわけで私は身軽な装備で林道ツーリングに出かけています。
文・写真:三橋 淳
協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク、サイン・ハウス