【歴代のCB-Fを振り返る】ホンダCB750FA～FD欧州仕様編

2021-10-19

日本のバイク遺産編集部 @ webオートバイ

欧州においてCB-Fシリーズは1979年にまず900が発売され、翌1980年には750が続いてリリースされた。日本仕様の750とは異なり、エンジンはより高い出力を発揮するが、足まわりは大きく変更されなかった。今回はCB750Fの欧州仕様、歴代モデルを再検証する。
文：迫田秀正、編集部

ホンダCB750FB　欧州仕様（1981）

ヨーロッパで販売を開始して2年目となる1981年モデルで年式を示す英字はFBとなる。上の写真の車両は前年型のFAと同様な外観だ。

欧州向けFBには、片押し式2ピストンキャリパーとハブとディスクの間に穴が並ぶディスクを組み合わせるブレーキシステム（日本向けFBと同仕様）や、調整機構を持たないΦ37mm正立式フロントフォーク（こちらは日本仕様には装着例なし）を備えるなど、異なる姿のタイプも並行して流通した。

つけ加えると、ヘッドライト両脇のリフレクターや長いリアフェンダーなどが欧州モデルの識別点となる。日本仕様では1981年のFBで圧縮比を高める、エンジン性能の強化などの改良を行ったが、そもそも高出力な欧州仕様では最終型まで手直しは行われなかった。

3年目となるヨーロッパ向けの1982年型FCである。日本仕様の同年モデルFCは、前輪を19→18インチに小径化するとともにホイールを裏コムスターからブーメランコムスターに変更。

アンチノーズダイブシステムを装備するΦ39mm正立式フロントフォークやリザーバータンク付きリアショックを装備するなど、CB1100Rに通じる技術を足まわりに盛り込む改良を実施。性能と商品性を向上させた。

対して欧州向けは大きな変化はなく、リアホイールのリム幅を2.15→2.50と拡大したに留まる（タイヤサイズは4.00H18から不変）。前後ブレーキは、ピンスライド片押し式2ピストンキャリパーとハブの外周部に肉抜き穴が並ぶソリッドディスクの組み合わせに置き換えられた。

《》内は仕向地による異なる

FCをベースとした派生機種で、丸形ヘッドライトを埋め込んだ大型カウルをフレームにマウントするとともに、並列4気筒の側面にレッグシールドを装着。風防性を高めて快適性を向上、ロングツーリングにも対応させたのがF2Cである。

装備の増加により乾燥重量は＋11kgとなる243kgを資料に記載。その他の諸元は、エンジンおよび車体ともFCと同じである。本機種はヨーロッパの一部と南アフリカを除く地域に出荷され、長距離走行を好むライダーたちに愛された。

なお、日本仕様で初の正式なカウル付きモデルとなる1982年型F2Cは、インテグラという愛称が与えられサイドカバーにも記したが、欧州モデルのカウル装備車はF2と呼ぶに留まった。

日本仕様は1982年のFC／F2Cで終了したが、欧州では1983年も継続された。上の写真はカウルを装備するF2Dを掲載したが、これ以外に、前年のFCと諸元を同じくするカウルレスのCB750FDも販売した。

F2DもエンジンやシャシーのスペックはF2Cと共通で、ヨーロッパのごく限られた地域で市場に出回った。

カウル内側の前方左に時計、右に電圧計が置かれ、トップブリッジ前側にはカウルなしのモデルと同様なスピードメーターとタコメーター、各種警告灯、オド／トリップメーターを装着する。パイプハンドルを選ぶのもFと同じだ。

丸形ヘッドライトを内蔵するカウルやアーム部をゴムで覆ったバックミラーは、初代CB1100Rの1981年モデルを意識したデザインだ。