欧州においてCB-Fシリーズは1979年にまず900が発売され、翌1980年には750が続いてリリースされた。日本仕様の750とは異なり、エンジンはより高い出力を発揮するが、足まわりは大きく変更されなかった。今回はCB750Fの欧州仕様、歴代モデルを再検証する。
文:迫田秀正、編集部

ホンダCB750F欧州仕様の解説

欧州モデルの750は900から1年遅れの1980年に販売を開始

ヨーロッパで販売されたCB750Fは1980年型FAが最初のモデル。アルファベットの年式表記はFAから始まり、最終の1983年型はFDとなる。イギリス/フランス/ドイツ向けモデルの他にヨーロッパ一般仕様があり、さらに南アフリカやオーストラリア、カナダなどの仕様も存在した。

空冷DOHC4バルブ並列4気筒は、同年の日本仕様と基本を同じくしており、ボア×ストローク: 62×62mm、排気量:748.7cc、圧縮比:9.0:1などの諸元は共通。気化器をメインボアがΦ30mmのVB52A負圧式キャブレターとするなども同じである。

だが、最高出力は9000rpmの発生回転数はそのままに+11PSとなる79PS、最大トルクは同一の8000rpmから0.63kg-m大きな6.53kg-mを発生する(後記するスペックでヨーロッパ一般仕様は、同一回転数にて77.5PS/6.42kg-mを公称)。

車体関連では、日本向けでは1981年型のFBより装備した裏コムスターをこの1980年型で先行採用していることが大きな特徴だが、フロントが2.15×19、リアが2.15×18の寸法は共通である。F:3.25H19、R:4.00H18のタイヤサイズも同じだ。

Φ35mm正立式フロントフォークは裏コムスターを初採用した日本仕様FBのエア加圧式とは異なり、同年式の日本向けFAと同じエアアシストなしを選択。

フロントにΦ276mm、リアにΦ296mmのソリッドディスクを置き、それぞれにピンスライド片押し式シングルピストンキャリパーを組み合わせる前後ブレーキシステムも日本向けFAに通じる装備だ。

車体関連の各部の寸法では、ホイールベースを日本仕様より5mm長い1520mmとしており、シート高は20mm高い815mmを公称。27度30分のキャスターは共通だが、トレールは5mm短い112mmとする。乾燥重量は4kg重い232kgで、この数値は最終型となる1983年のFDまで変わっていない。

ホンダCB750FA 欧州仕様(1980)

日本で販売された750の各年式や、ヨーロッパで先行してリリースされた900はセパレートハンドルを採用するが、750のヨーロッパモデルはグリップの位置を容易に変えられるパイプハンドルを選ぶ。

メーターも日本仕様750との違いを確認できる部分で、スピードメーターは上限を180km/hから220km/hに変更、タコメーターは10000rpmスケールでレッドゾーンを9500rpmからとするのは同一だが、文字盤のデザインが違う。

各種インジケーターランプの配置も異なり、オド/トリップメーターは速度/回転計の間に置かれる(日本仕様は速度計の文字盤に配備)。

CB750FA/FB欧州仕様の主なスペック

《 》内は仕向地による異なる

全長×全幅×全高2240《2260/2195》×795×1135mm
ホイールベース1520mm
最低地上高140mm
シート高815mm
車両重量(乾燥)228kg
エンジン形式空冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
総排気量748.7cc
ボア×ストローク62.0×62.0mm
圧縮比9.0
最高出力58kW(79PS)・《57kW・77.5PS》/9000rpm
最大トルク64N・m(6.53kgf・m)/8000rpm
燃料タンク容量20L
変速機形式5速リターン
キャスター角27゜ 30'
トレール量112mm
タイヤサイズ(前・後)3.25H19・4.00H18
ブレーキ形式(前・後)Φ276mmダブルディスク・Φ296mmシングルディスク

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