文:西野鉄兵/写真:西野鉄兵・ホンダ
【積載好きの愚痴】荷物が積みにくいバイクが増えすぎな件について
GB350は積載好き歓喜の新型車か?
GB350が発表されたとき、第一に「荷物が積みやすそう!」と思った旅好きライダーは僕だけじゃないはず。近年の新型車は、積載面をあまり考えていないバイクが増えています。
もちろんアドベンチャーモデルなど、キャリアが標準装備されていて「どうぞツーリングに出かけてください」と言わんばかりの機種もある。
でも個人的にはずっと「いやいやそうじゃなくて……」という思いは高まるばかり。旅に出るために機種を選ぶなんて嫌だ。惚れたバイクで旅がしたいんです。
「じゃあキャリア付ければ?」なんて言われそうですが、それも納得できない。だってスタイリング変わるじゃないですか。荷物を積んでいるときはまだしも、空荷の街乗りでは違和感がある。いちいち脱着するのも面倒だし。キャリア買うお金で1~2回はキャンプ旅できるし。
20世紀に生まれたバイクの多くには、文字通り「荷掛フック」と呼べる使いやすい積載サポートが備わっていました。それに合わせ、リアシートの形状や面積も荷物を積みやすく設計されていたように思えます。
電子制御の導入などによって走行性能や安全面は進化し続ける一方、「ノーマル状態での積載性」は多くのモデルが失ったと思えてならない……。
さて、愚痴はここまで。GB350は、僕と同じような考え方のライダーにとっては、ひとつの光といえるものでした。
ホンダ「GB350」にいろいろな方法でバッグを積んでみた
バイク用シートバッグを2種類と、ストレッチコードでの積載、ロックストラップでの積載を行なってみました。
いずれも泊まりがけツーリングに対応するサイズのバッグ。バイク用シートバッグは、キャンプもこなせる大容量のものです。
どの積載パターンもライダーの乗るスペースはしっかり確保でき、固定は完璧に行なえました。
ただし、ひとつポイントが。じつはどの積載パターンもGB350に標準装備されている荷掛用の突起は使っていません。
シートバッグの取付ベルトは、突起を使わずに突起の付け根の部分に通しました。ロックストラップも同様です。
ストレッチコードを使う際は、さらにひと工夫しています。突起を使わずに、付け根部分にロープで作った輪っかを使い、これにコードの先端のフックを引っかけています。
なぜ突起があるのに使わないのか。単刀直入に言うと「不安だから」です。
シートバッグの取付ベルトを留めるには、少し幅が足りません。ストレッチコードのフックを引っかけるには、突起の先端の返し部分が少し小さいんです。
このタイプの積載サポート機構は、GB350に限ったことなく、CB1100シリーズやCB400SF/SBなどにも採用されています。
ツーリングネットのようなフックが数多く備わっている積載アイテムなら使いやすいかもしれません。でも、ひとつ外れたら荷物が落下、もしくはグラつく可能性のある積載方法の場合は利用は控えることを周りの仲間にはすすめています。
ちなみに、ツーリングネットは、個人的にはほとんど使いません。使うときは、別のコードで留めた上に保険でかぶせておくくらい。便利なのは分かるけれど、固定力がいまいち信用できない。荷物の大きさによってテンションが変わりますからね。
数年前まではストレッチコードを多用していましたが、最近はロックストラップばかり使っています。もしくは専用の取付ベルトが備わったシートバッグです。
【まとめ】「GB350」は荷物がかなり積みやすい!
少し話が脱線してしまいましたが、ここでGB350の積載性を総括します。荷物は積みやすいのか?
現行機種での相対評価なら、かなり積みやすい方といえます! 5段階評価で表すとしたら、GB350は「4」といったところ。3よりも5寄りの4です。
レブル250やCB250Rと比べたら、めちゃくちゃ積みやすい。ホンダ車ではカブシリーズなどキャリア付きの機種をのぞけばトップレベル。ちなみに僕が一番積みやすいと思っている現行車はカワサキのW800シリーズやメグロK3。
GB350は、荷掛用の突起は使わなくても、その付け根が使えたので、結果的に想像以上に積みやすくなっていました。さらにリアシートの形状もいい! 座面がフラットで前後の横幅の差異も少なく、正方形に近い形状。積載もタンデムもしやすいシートです。
グラブバーの上にバッグが載ってしまいそうな場合は、養生テープを貼っておくのがおすすめ。振動によってこすれてしまっても傷がつきません。
実際に大荷物を積んで走ってみたところ、これが至極快適でした。アップライトなライディングポジションで、バッグは背もたれ代わりに。
GB350の単気筒エンジンはトルク感があり、荷物が重くても力強く地面を蹴りだしてくれます。高速道路でのハイスピード巡航は得意なバイクではありませんが、郊外の一般道をほどよいペースで長々と走る旅は最高だろうなあ。
理想は北海道。荷物を満載にして、幅広のハンドルを優雅に握ったポジションで、直線基調の果てしない道をのんびり走り続ける──。いつの日かそんな旅するGBライダーがあふれる予感がします!
文:西野鉄兵/写真:西野鉄兵・ホンダ