以下、文・写真:三橋 淳
外は雪景色、ビッグバイク3台は山を下りられるのか?
翌朝。
抜けるような青空の中、朝風呂へと野天風呂に向かうと、外は真っ白! 雪景色だ。春の最中に雪景色なんていいタイミングだな。その想いはお湯に浸かるとさらに強くなる!
絶景!
眼下に広がるのは佐久の街。今日はこれからあそこに向かって、今日合流するメンバーと待ち合わせなのです。
予定時間は10時に佐久インター前のスターバックス。宿の出発は9時。1時間もあれば余裕で到着出来る。通常ならば。
しかし、雪が積もった林道を目の前に、おっさんたちの興奮はとまりません。
「せっかく来たんだし、昨日の林道走りましょうよ。景色もいいし、雪の上走る経験なんて、そうそうないですよ!」
しかし、日が登って一気に気温が上がった林道は雪とけでぐちゃぐちゃだ。なんだ、と肩透かしを食いつつコーナーを抜けると、目の前いきなり真っ白のアイスバーン! かちんこちんです!
「やばいやばいやばいやばい!」
大声でインカム越しに聞こえる絶叫。一気にペースダウンしてオタオタ走りに変わる。でもちょっと待てよ。アイスバーンにしては普通に走るじゃないか。そこでちょっとブレーキを強く握ってみる、お、食いつくぞ! ちょっとアクセル開けてみる。
グリップするじゃん! そう、見た目は真っ白アイスバーンなのだが、氷の層が極薄だった。下の砂利とかの凸凹がちゃんとあるので普通にグリップする。
「みなさん、これ、見た目ほど滑りませんから大丈夫ですよ。そんなに怖がらなくても」
「そんなことあるわけないでしょ! 氷ですよ氷! 滑りますって」
「それがちゃんとグリップしますから、大丈夫ですって」
そう言ってブレーキ強めに握って止まって見せるが、全く信用せず。でもまあいいんですよそれでも。慎重に走ってくれる分には。滑るからと言っても聞かずに暴走するより遥かにいい。おっさんは頑固だから人の話を聞かないしね。
雪が積もった山はとても美しく、昨日走った林道なのに、全く違う印象を受ける。これは来てよかった! というか、今日はここだけで十分満足するほどだ。
「もう今日これで終わりでいいかも」
「でも待ち合わせしてますよ2人と」
「僕らこれで上がりますって言ってみます?」
「というか楽しみすぎて、もう予定時間に間に合いませんよ」
そろそろ待ち合わせに向かうのだけれども、これ、今きた林道を戻った方が、明らかに集合場所まで早い。というわけで往復してさらに林道を楽しむ。そして再び宿の前を抜ける。すると今度は雪がたんまり残ったスキー場が現れた。これはこれで絶景だ。
当然写真を撮るのである。が、宮城さんは三橋が撮るなら撮りますか、という感じでパシャリ。しかし井上さんは全く撮らず。というか今回一枚も撮っているところを見たことがない。
「僕はカメラではなく心のシャッターを押すようにしてるんです」
「でも撮っておけば後で思い返せますよ」
「心の中で思い出すだけで十分です」
「でも歳とったら思い出せなくなりますよ?」
そんなこんなで寄り道してすでに9時40分。グーグル先生だと50分はかかるというアナウンスなので、完全に遅刻である。ところが、一部林道を含んでいるのと、バイクでの走行だから思いの外早く着いて、15分の遅刻で済んだ。
「15分だったら優秀でしょう! 問題ない問題ない!」
「遅刻には変わりないのに何偉そうに言ってんですが、普通遅れてごめんなさいですよ」
などとスタバに入ると、すでにくつろぎまくって気が抜けている2人がいた。
「遅いですよ、僕ら9時前にはここにいたんですから!」
「えええ! 1時間以上も待ってたんですか!? 暇ですね~」
「違いますよ、東京から抜けてくるのに時間がかかるから、早めに行動したんですよ」
本日合流したのはシートメーカーK&H社長の上山さんと、ドアオブアドベンチャーというツーリングイベントを主催する山原さん。これで計5人のグループだ。
で、本来ならここで全員の写真を載せるのだが、撮ってません。昨日もさほど撮ってないのに、今回は人数増えてさらに休憩しないで走り通し。
ルートとしては長野にある五稜郭を眺めた後、昨日走った林道を一部逆走するが、取りこぼしたルートをメインに南下して、昨日のスタート地点である韮崎まで戻るというもの。
ビッグバイクは3台から5台に。林道を満喫する
本日も絶景なり。
それにしてもみんなバイクのジャンルがバラバラ。でもみんな林道を満喫しています。
夕方まで林道を堪能したので、今日はもうお開き。結構疲れているし、林道で暗くなるのは嫌だしね。その前に撤収しておきたいのが山の走り方なんですが、みんな素直じゃないのです。
「オレはまだ疲れてないし、もっと走りたいけど、この辺で勘弁していてやろう」
素直に疲れたからお腹いっぱい! って言えばいいのに、みんな負けず嫌い。違うな、面倒なおっさんたちです。
というわけで一台も転倒せず怪我人も出ず、無事に走り切りました。ツーリングはこれが一番大事!
後半はしょり過ぎだし、上山さんと山原さんの写真もないという終わり方ですが、リアルツーリング記事なのでご勘弁を。最後にJR鉄道最高地点で記念撮影。これも無理矢理寄って撮りました。
最高の1泊2日の林道ツーリングでした。みなさんもこれから梅雨が開ければツーリングの季節なので、安全に、感染症対策もして楽しんでくださいね!
文・写真:三橋 淳