文:太田安治/写真:南孝幸/取材協力:(株)モーターサイクルドクターSUDA
ドライブチェーン・スプロケット
定期的な掃除や給油、張り調整を行っていてもドライブチェーンは摩耗(伸び)する。同時に前後のスプロケットも摩耗するので、安全快適に走れるか、プロの目で見極めてもらえば安心だ。
1:カバーを外してドライブスプロケットの状態(摩耗や緩み)ドライブシャフトとチェンジシャフトのシール状態を確認。カバー内側にチェーンオイルと泥が混じってベットリ堆積していた頑固な汚れもクリーンアップ。
2:ドリブンスプロケットの摩耗を点検してからハブダンパーとホイールベアリングをチェック。ハブダンパーが劣化するとシフト操作時のショックが大きくなって走りがギクシャクする。今回はどこも問題ない状態だったので、ベアリングの掃除/グリスアップのみ。
3:このニンジャはドライブスプロケットがAFAM、ドリブンスプロケットがステルススーパースプロックス、チェーンがレジーナのスーパースポーツZRPで、すべて純正の525サイズから520サイズにコンバート済み。交換後の走行距離が4500kmほどなのでダメージはなく、クリーンアップと張り調整を行った。
バッテリー・エアクリーナー
フューエルインジェクションが主流となり、各種の電子制御を採用している最近のモデルは、電気系にトラブルが出るとたちまち走行不能に陥る。バッテリー本体だけではなく、発電機、レギュレーターといった充電系統の点検が不可欠だ。
1:バッテリーは無負荷(スイッチオフ)だけではなく、セルスターターを回しているとき、アイドリング時、4000回転以上の4パターンで電圧を計測し、バッテリーそのものの寿命とレギュレーター(電流電圧制御装置)、オルタネーター(発電機)の状態を把握する。4年半前に交換したAZのリチウムプロだが、性能低下はなかった。
2:点火プラグの交換はおよそ1万~4万kmごとが目安。この車両はNGKのMoToDXに交換したばかりだったので、火花の状態も良好だった。古い年式の車両だとプラグキャップやプラグコードの劣化もチェックする必要がある。
3:エアクリーナーボックスを開けてゴミなどを取り除き、エレメント(フィルター)の汚れを点検。最近のモデルはビスカス式(オイルを浸透させた濾紙)が主流で、洗ったり、エアーでホコリを飛ばすことはできず、汚れていたら交換するしかない。これもDNAのフィルターに交換したばかりで問題はなかった。
冷却水・エンジンオイル
空冷エンジンはエンジンオイル/フィルターの定期的な交換、水冷エンジンならラジエター/冷却水の点検も必要。プロのメカニックはオイルやクーラントの微細な漏れも見逃さない。
1:ラジエタークーラント(冷却水)の推奨交換サイクルは4年ごと。タンクのロアーレベル以下にまで減っていたら、ホースやキャップ、ラジエター、ポンプまわりから漏れている可能性があるので点検/修理を行う。
2:見逃しがちなのがクーラントの沸騰を防ぐ役割を持つラジエターキャップの劣化。内部の開圧弁(ゴム製のシール)が劣化や変形するとオーバーヒート、クーラントの漏れが発生。リークテスターで加圧して、時間圧力が保てるかをチェック。
3:スロットルグリップの開閉作動をインジェクションユニットまたはキャブレターに伝えるスロットルケーブルは「引き」と「戻し」の2本ある。撚り合わせてある細いステンレスワイヤーが1本でも切れていたり、折れ曲がっていたら交換。クラッチワイヤーも同様だ。
4:ニンジャ1000のオイル交換サイクルは6000kmごとまたは1年間ごと。オイルフィルターは1万8000kmごとが推奨されている。純正指定オイルに拘る必要はないが、マニュアルクラッチ車はJASO規格の「MB」や自動車用を入れるとクラッチ滑りを起こす場合があるので「MA」を選んだ方がいい。
交換時に必要パーツが揃ったセットが便利!
オイル/フィルターの交換は比較的簡単な作業。今回はフィルターとパッキン、ガスケットがセットになっているデイトナの「オイル交換パーフェクトセット」を使用した。
※カワサキ用 税込1,870円