前戦・菅生に続いて雨に見舞われたJP250
前戦・菅生大会から約1か月。梅雨入りしてるんだかしていないんだか――の関東地方は、日によって、時間によって降ったり止んだり、コロコロ天候が変わるいや~な時期。
この週末に行なわれる筑波大会も、特別スポーツ走行の金曜はカラッと晴れて、この土日は雨模様というヤな天候。きょう6/19(土曜)は、予報通りの雨、それもずーっと降って、時おり雨脚が強くなる、というレースするにも観戦にも、もちろん取材にも向かないレースになっちゃいました。
去年はコロナ禍で中止となっての、2年ぶりの筑波大会。筑波サーキットは、そのコンパクトなレイアウトゆえ、最高峰クラスのJSB1000クラスが行なわれず、ST1000/ST600/J-GP3/JP250の4クラス開催。コース幅も狭く、エスケープゾーンも充分に取れない筑波サーキットに、JSB1000の質量とスピードは危険だろう、という判断でのJSB1000非開催ですが、それじゃJSBよりもブレーキやサスペンションを交換しちゃいけないST1000はどうなんだ、という中での開催。ま、この話はまたあとで。
JSB1000クラスの非開催で、各クラスとも2レース制。土曜と日曜に、それぞれ決勝レースが行なわれます。土曜のオープニングレースは、Webオートバイが一方的に恋しているJP250クラス。ご存知、市販250ccモデルを使用してのプロダクションレースですが、現在ではそのポテンシャルの高さ、そしてチューニングパーツの豊富さゆえ、ホンダCBR250RRのほぼワンメイク状態。ヤマハYZF-R25、カワサキNinja250、そしていろんなチームが急ピッチでレーシングマシンを作っている(であろう)4気筒250ccスポーツ・Ninja ZX-25Rが数台、参加しています。
ちなみにこの筑波大会は、予選に29台参加し、CBR250RRが26台、YZF-R25とNinja ZX-25Rが1台ずつ、それに単気筒モデルCBR300Rが1台参加しています。JP250は前戦・菅生大会が、土曜の決勝レースが悪天候のために中止になってしまったことから、この筑波大会が第2戦となります。
復活サスケ強し! 開幕優勝と菅生ポール!
朝から降り出した雨の中、公式予選は今シーズンから7年ぶりに全日本ロードレースの舞台に復活<https://www.autoby.jp/_ct/17442687>し、開幕戦優勝をあげた篠崎佐助(TEAM TEC2&YSS)がポールポジションを獲得。岡部 怜(Team i-FACTORY)が2番手、3番手に国内ライセンスの女性ライダー梶山采千夏(さちか・RankUp WingStone)が続きます。
予選2列目にも、予選4番手の中村龍之介(ENDLESS TEAM SHANTI)、6番手の田中敬秀(7CエムズホームNTRコンフォートGOSHI)に挟まれて、ここでも国内ライセンスの南 博之(373&TEAM TEC2&YSS)が5番手につけました。
筑波というコースレイアウトの性格上、ライダーによって大きなタイム差がつきにくく、しかも雨、タイムアタックのタイミングでタイムが上下した予選だったためか、の接近戦。
ちなみに5番手の南 博之は大阪のライダーで、このレースが初の筑波サーキット。事前にコースに慣れる目的で筑波選手権にもエントリーし、事前テストも走行せず、金曜のスポーツ走行だけで、この土曜に臨んでいました。
「金曜は32台中16番手、コースに慣れたとも言い難い状態で雨……、やるしかないな、って予選だったんです。チームに雨用セッティングのアドバイスをもらって、予選序盤は18番手とかを行ったり来たりしていたんですが、後半に徐々にペースアップして、残り5分でタイムアタック! そうしたらなんと5番手になっちゃいました! え?ホント?って何回も予選結果を見直しちゃいました」と教えてくれました。
そして決勝レースも雨。朝の予選のしとしと降りよりもガッチリ降って、レース中にも雨脚が強くなるようなコンディションでした。
スタートで飛び出したのは篠崎。6/10の事前テストでは午前午後ともトップタイム、そして金曜のスポーツ走行でも午前にトップタイムと、まさに現在のJP250キング。岡部、田中、中村、梶山、南と、グリッド2列目までのライダーが順調にスタート。
駆け引きなく、最初からスパートするのが篠崎スタイル。このレースでも「最初から逃げたい」と言っていた篠崎と、それを追う集団の中から抜け出たのは、ウェットコンディションで強い田中。3番手以降が中村→岡部→梶山と、この5人が先頭集団を形成、6番手争いに南、鈴木悠大(キジマKISSレーシングチーム)の国内ライセンス勢。ここで3番手を走る中村に岡部、梶山が追いついて、トップ2台、3番手争いに3台、という展開になっていきます。鈴木は南を引き離しつつ、3番手争いに加わりたい勢いでした。
最初の数周は篠崎の背後につけていた田中ですが、徐々にその差は開いていき、注目は中村×岡部×梶山の3番手争いとなり、ここは岡部がリード。単独の6番手に鈴木、南は3~4台による7番手争いまでポジションを落としてしまいます。
篠崎はやや2番手以降との差を広げ、そのふたりから少し距離を置いての3番手争い。2番手の田中はファステストラップをマークしながら篠崎を追うんですが、篠崎もベストラップを更新し、その差はなかなか詰まらない感じでした。
レースはこのオーダーで進行し、動きがあったのはラスト4周。1コーナーで3番手の岡部のインに飛び込んで3番手に浮上! 中村→岡部→梶山の順で3番手争いを繰り広げます。単独の6番手に鈴木、南は7番手争いの先頭に立ちます。
結局レースは篠崎が独走状態となり、単独の2番手を走る田中に3番手争いの3人が迫りつつフィニッシュ! 先頭依5台は篠崎→田中→中村→岡部→梶山の順でチェッカーを受け、その後方に鈴木→南→中沢寿寛(i-FACTRY&Mガレージ)、でここまでが総合8位。
国際ライセンス、国内ライセンスが混走するレースですから、国際クラスが篠崎→田中→中村、国内クラスが梶山→鈴木→南という顔ぶれが表彰台に登壇しました。お、大阪より遠征してきた南、表彰台ですね!
「昨日のスポーツ走行、実は午後に転んでしまってカラダも痛かったんですが、ウェットで走り込んでもいないのに、チームがいいバイクを作ってくれました。それで最初からいいペースで前を走れました。いきなり雨、ってのはみんな同じ条件なので、行ったモン勝ちですね。ランキングも考えてノーポイントは避けたかったので、用心しながら、マシンも速くて、勝ててよかったです!」と篠崎。
これで篠崎は開幕戦に優勝、菅生大会では決勝レース中しながら、ポールポジションでハーフポイント「12.5」を獲得、それにこのレースも勝ちましたから、3連勝でフルポイント。ランキングトップを走っています!
JP250クラスは、あす日曜日も開催されます。雨は止む方向って予報もありますから、ドライのレースに期待しましょう! サスケを止めるのは誰か、がJP250のメインテーマとなりそうですね。
撮影/木立 治 後藤 純 中村浩史 文責/中村浩史