きのう土曜に降り続いた雨も朝のうちに止み、開催全レースともドライコンディションで行なわれた全日本ロードレース筑波大会・Day2。昨日の雨で濡れた路面も徐々に乾くどころか、決勝レースが始まるころには初夏を思わせる陽気、そのままがんがん気温が上がって、日中の最高気温は30℃オーバー! こんなにコンディションが変わる2Days制のレース、なかなか珍しい!
オープニングレースは、土曜と同じくJP250。朝のフリー走行では、やや濡れていた路面が乾き始め、走行が終わるころには完全にドライ路面になりましたね。
決勝レースは、土曜と同じく篠崎佐助(TEAM TEC2&YSS)がホールショットを奪取! その後方に中村龍之介(ENDLESS TEAM SHANTI)、南 博之(373&TEAM TEC2&YSS)、岡部 怜(Team i-FACTORY)、鈴木悠大(キジマKISSレーシングチーム)、田中敬秀(7CエムズホームNTRコンフォートGOSHI)、中沢寿寛(i-FACTRY&Mガレージ)あたりがつけますが、篠崎はもう逃げ始めます。
オープニングラップを終える頃には、篠崎、すこし間が空いて岡部→中村→田中といったオーダー。篠崎は、もう最初から逃げて逃げて逃げまくって、がこの接近戦を勝ち抜く戦術だと考えています。
そして、そこを「逃がさない」って考えるのもライバル陣。
「2~3周目に、もうサスケが逃げ始めたから無理やり2番手に出たんです。ごちゃごちゃ2番手争いしちゃうと、そのスキにまたサスケに逃げられちゃう」とレース後に教えてくれたのは、昨年の国内ライセンスチャンピオンで、国際ライセンスに昇格した田中。田中はここでコースレコードを2周連続で更新して篠崎の背後にピタリ。もうサスケを逃がさない!
その田中に遅れまいと中村もペースアップし、篠崎×田中×中村がトップ集団を形成。7周目にはついに田中がトップに浮上! うわぁぁ、篠崎が逃げた土曜のレースとも違って、すごい見ごたえのある展開! トップ3台の争いに、国内ライセンスの女性ライダー梶山采千夏(さちか・RankUp WingStone)も追いついてきます。
8周目には中村がトップへ。篠崎をはさんで、なんと梶山が3番手に浮上、少し間を空けて中沢、田中、岡部、鈴木の順。梶山は一時2番手まで浮上して篠崎を突っつきます!
筑波の抜きどころである1コーナーや最終コーナーでは、ばんばん順位が入れ替わり、そうするとベストラインの奪い合いになって全体のラップタイムが落ちて、集団がダンゴになります。
トップ集団が少し縦長に8台くらいになった10周目あたりには、1コーナーで岡部がスリップダウン! 気温上昇で路面温度も上がって、みんなタイヤが苦しくなり始めていたみたいです。
篠崎→中村→梶山→中沢→田中→鈴木、そしてこの集団の最後尾につけたもうひとりの女性ライダー、石井千優(千葉北ポケバイコース&TeamN-PLAN)の順で迎えた最終ラップ、バックストレッチできれいに縦一列になってスリップストリームを奪い合い、梶山がなんと1分05秒146でコースレコードを更新したんだけど、順位の変動はなく、このままの順でフィニッシュ! 国内ライセンスの梶山は、国際ライセンスを含めてのコースレコードホルダーになりました!
篠崎独走のレース1も「すげぇ!」と思わされましたが、上記の7人が3秒以内でフィニッシュしたレース2もチョー面白かった!
「昨日の雨のせいか、予想よりペースが上がらなくて、こんなに混戦になるとは思わなかったですね。予定では2番手以降を1~2秒離してひとりで走りたかったんですけど、何回か抜かれるとは思ってなかった! 勝ててよかったです」と篠崎。
これで篠崎は、決勝レースが中止で予選順にポイントが付与された菅生大会も含め、4連勝! ポイントランキングもトップで、ランキング2位の中村とは27.5ポイント差をつけました。
土曜の雨降りから一転、急激に気温が上がった日曜日。こういう展開って、土曜に水を含んだマシン(特に電気系とかね)に不具合が出たり、気温が急に上がることでトラブルが生じたり、ってことが多いんですが、日曜終わりにも何人ものライダーやチーム関係者から「電気がトラブっちゃって」って話を聞きました。
土曜~日曜の2レースは、見る方にとってはすんごい楽しいし、観客のみなさんはおトク感があるけど、ライダーとかチーム関係者はタイヘン。でも、土曜のレースが終わって、すぐに日曜のレースに向けてマシンの準備を始めてる姿が、プロフェッショナルっぽくて猛烈にカッコよかったです!
大変だけど、2レース制ってシステム、レース数も増えるし、お客さんも楽しめるし、いいアイディアだと思うので、関係者の皆さんはひとつ頑張っていただきたい。
それともう一点。土曜のレポートでも少し触れたんですが、筑波サーキットと全日本ロードレースの関係性もちょっと考えなきゃいけない時期に来てるなぁ、と思います。
筑波サーキットじたいはすごくチャレンジングで気持ちのいい、関東のファンおなじみのコース。だけどST1000クラスで1周56秒そこそこで周回できちゃうコースで、やっぱりあのセーフティゾーンの狭さは、なにより安全性が声高に叫ばれる今、ハッキリ言って「危険」なんだと思うんです。
今回も、軽い転倒から赤旗が提示されるようなクラッシュも数回あって、大けがしたライダーだって数人。サーキットって言っても敷地は限られているし、エスケープゾーンを増やすようにコースレイアウトを変更するのはもう無理なのかな。だとしたら、まだ速度域の低いJP250専用コースにするとか、大きな事故が起こる前に考えなきゃいけない。東京から1~2時間でアクセスできる、関東ロードレースのメッカですが、1000cc/200psのマシンでのレースはそろそろ限界だと思います。
まぁ、この30年は言われている「パドックが狭くてレースごとに機材を長距離運んで移動させなきゃならない」なんてのは、チーム関係者には大変でしょうが、頑張って、としか言えない(笑)、海外のGPサーキットだってそういうパドックの狭いコースはまだ残ってますから。イギリスのブランズハッチなんかも、そういう不便さが筑波そっくりだったりするしね。
そんなこんなを考えた全日本ロードレース選手権・筑波大会でした。
撮影/木立 治 後藤 純 中村浩史 文責/中村浩史