以下、文・写真:三橋 淳
「林道俳優」を名乗るほど林道好きな大鶴義丹さん
舞台・TV取材でなかなか時間が取れなかった林道俳優こと大鶴義丹さんは、どうしても林道ツーリングに行きたい。そこでわたくしめがとっておきの林道ルートへ、いざなうことにした。
題して「山梨と長野の林道走り尽くしツアー」!
スタートは山梨県・韮崎IC。そこから北上して林道を走り尽くし、最後は荒れた林道で名高い川上柿岡林道を走破し大弛峠でゴール。約100km近いダートを走行することになるルートだ。そのため、日帰りでは日の長い夏場にしか走り切れない。
当日朝7時に韮崎の待ち合わせ場所に着くと、すでにアイスクリーム食べて待っている義丹さんがいた。早い、早いよ!
「最近ジジィなんで、朝早いの平気なんですよ」
そういう問題なんだろうか? どちらかというと、楽しみにしすぎて早く来ちゃったように見える。
そんな朝からテンション高めの義丹さんを引き連れて、さっそく林道に向かう。山梨の林道は、自治体が走行の可否をウェブにアップしているので、とても助かる。
目指す林道のルート上に一部通行止めの表記があり気になるが、ダメなら引き返せばいい。なにしろこの大鶴義丹、行き止まりの林道を往復するのも大好き。ダートを走れればそれだけで幸せになれる男だ。
Uターンが嫌い、一度走ったところをもう一度走るのは嫌、とか、理屈こねくる私と違って、バイクに関しては本当に純粋なのだ。
林道を入る前に電子制御装備の設定を変更、おすすめの走行モードとは?
というわけで、さっそく1本目の林道に到着。
大鶴:「ちょっと止まってください。いろいろセッティングしますから!」
アフリカツインはダートに入る前に、必要な儀式がある。トラクションコントロールとABS、ライディングモードの調整だ。
大鶴:「ABSをリアのみカット、オフロードモードにして、トラコンを最弱に。そしてウイリーコントロールをオフにするのがベストなんですよ」
三橋:「細かくやってますね~。僕は面倒くさがりなのでいじってないですが、ウイリーコントロール解除って、なかなか通ですね!」
大鶴:「これがね、たまに悪さするんですよ。石に乗り上げた時とか、急な上り坂なんかで作動して前に進まなくなっちゃうことがあるんです。フラットな道なら問題なんですが、激しめのオフロードに行くと効果が出るんですよ」
三橋:「あー、それわかります。僕も撮影のときにコーナリングから立ち上がりでウイリーしようとするとちっとも浮かなくて。トラコン切ってたのに。なんだろうって思ったらウイリーコントロールだったんですよ。それも最弱で」
大鶴:「そうなんです。だからダートではウイリーコントロールをカットしてます」
三橋:「ダートなら間違ってウイリー、なんてそうそうないですからね」
雨上がりの林道は長雨の影響か、かなり荒れている。水が流れて地面をえぐり、石が露呈していてビッグバイクのアフリカツインでは少々手強い。しかし、それが面白い!
一筋縄ではいかない路面では必然的にペースが抑えられ、それでいて路面を選ぶ目も必要になって、走破する喜びが生まれる。走れないわけではない程度の路面なので、その塩梅がいい感じなのだ。
それでも2本目からはよく整備されたフラット林道が飛び出してきた。こうなるとアフリカツインには天国だ。
しかし、走るのが大好きな義丹さんは止まることを知らない。景色がいいところでもお構いなしに突き進んでいく。なんだろう。この感じ。以前もあったような気がするが……。オッサンになるとなんで走り続けるのだろう?
「義丹さん、今回はwebオートバイ用の撮影もありますので、頻繁に止まりましょう!」
そう言って止まる口実を作らないと、どんどん先をいってしまう。
それにしてもいい天気で緑が綺麗だ。道も超フラット! 1本あたり5~6kmの林道をつないで4本。長野県に入っても、まだ午前中だというのが恐ろしい。
朝7時から走り始めているので一日が長い。最初の一本だけ荒れていたものの、あとはどこもかしこも綺麗に整備されていて、とても走りやすい。まさにフラット林道天国。コーナーもキツくないから、アフリカツインが走るには最高の路面だ。