スズキのアドベンチャーツアラー・Vストロームシリーズのミドルモデル・Vストローム650/XT。SV650用から発展した力強い645cc水冷Vツインを、軽快なハンドリングをもたらすアルミ製フレームに搭載。熟成を重ね完成度を高めた実用的な装備や、2段階に効きを調整でき、機能をオフにもできるトラクションコントロールをはじめ、ライダーをサポートするデバイスなども充実し、あらゆる道、状況、用途で快適にスポーティな走りを楽しめる。
文:濱矢文夫、小松信夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行/モデル:葉月美優

スズキ「Vストローム650XT ABS」インプレ・解説(濱矢文夫)

画像: SUZUKI V-STROM650XT ABS 総排気量:645cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 最高出力:51kW(69PS)/8800rpm 最大トルク:61N・m(6.2kg-m)/6500rpm シート高:835mm 車両重量:215kg 税込価格:96万8000円

SUZUKI V-STROM650XT ABS

総排気量:645cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒
最高出力:51kW(69PS)/8800rpm
最大トルク:61N・m(6.2kg-m)/6500rpm
シート高:835mm
車両重量:215kg
税込価格:96万8000円

鍛え抜かれ熟成した車体構成に寸分の隙なし!

なんといっても税込みのメーカー希望小売価格が100万円を切っていることに注目せねばなるまい。走りや装備などを語る前にお金の話をして申し訳ないが、お買い得と感じさせる魅力がある。手に入れやすい価格なのは正義だ。ましてや、妥協という言葉を使う必要がまったくないほど惹かれる部分が多くあるから恐れ入る。

この645ccの水冷4ストークDOHC4バルブVツインエンジンのルーツは22年間前に登場した。そこから進化をしながら今にいたる。アドベンチャーモデルとして味付けをされたこのエンジンは、低回転域から高回転域まで、急にトルクが盛り上がるような特性ではなく、3000回転付近から湧き出たトルクがフラットに続いていく。これがいろんなシチュエーションで勝手が良い。

市街地でトコトコとゆっくり走っても、ワインディングでスロットルを積極的に開けても唐突さはなく重宝する。

画像1: スズキ「Vストローム650XT ABS」インプレ・解説(濱矢文夫)

当然ながらリッターオーバーモデルのような強烈な加速はないけれど、どこからでも困らない必要十分な力がある。理論上一次振動をなくすことができるバランスの良い90度Vツインらしい滑らかさで、右手の動きにリニアに反応するツキの良さがありながら、出始めをマイルドにしてツーリングモデルらしい汎用性を高めている。

トルク変動幅が小さいことと、軽くスムーズに回転上昇することが組み合わさり、遠慮せずに回転数を上げて必要な加速につなげ使い切れるフィールが楽しい。

画像2: スズキ「Vストローム650XT ABS」インプレ・解説(濱矢文夫)

最近のミドルクラスアドベンチャーは立派なスタイルをしているのが多く、このVストーム650も初代と比べるとアドベンチャーらしさが増して堂々としたもの。

このカテゴリーに多い、一体になったアップフロントフェンダー、いわゆる〝クチバシ〟を最初にはじめたのは1980年代後半のスズキだという歴史的事実を知っている身としては、オリジナルメーカーとしての正当性を感じて外装の造形を見ながら納得してしまう。それを横に置いといても、遠目からもVストロームと分かる個性的なスタイリングはライバルにもひけをとらないと存在感があると思う。

シートにまたがると、外から眺めて想像していたよりもコンパクトに感じる。高すぎず広くないハンドルグリップ位置で、感覚的にはアップライトなネイキッドスポーツに近い。横方向に大きくないVツインエンジンのいいところを感じさせる細身のフィット感もポジティブな要素。19インチと17インチのホイールを履いたハンドリングは、イニシャルで適度なフロント荷重がかかっているから、シャープな反応が小気味良い。

低速コーナーが続くような場面でも身軽なフットワークで、そこに付き合いづらさはない。いたって自然に動かすことが可能だ。しなやかな前後サスペンションは、ピッチングをうまくおさえていてクルージングも快適。

画像3: スズキ「Vストローム650XT ABS」インプレ・解説(濱矢文夫)

Vツインエンジンのアレンジも含めて常に手の内にあるような乗車感覚がこのモデルの大きな特徴だ。だからオンロードだけでなく、滑りやすいオフロードに持ち込んでもコントロールしやすい。トラクションコントロールシステムを装備していることは多くのユーザーにとって心強いものになるだろう。

ビギナーからベテランまで楽しめる広い許容範囲で、例えるなら誰もが口ずさむスタンダードナンバーのよう。サイズ、パワー、特質、価格のバランスが良く、いつでもどこでも気軽に使えるのがいい。

This article is a sponsored article by
''.