以下、文・写真:三橋 淳
関東甲信越エリア屈指の有名林道「川上牧丘林道」へ
さて、いよいよ今回のメインイベント! 川上牧丘林道へ突撃だ。
関東甲信越エリアで有名な林道のひとつで、車で上がれる道としては最高地点になるというだけあって、これが険しいともっぱらの噂。ここを走るのは雑誌の企画で、賀曽利隆さんとご一緒した時以来。あの頃は20歳のクソガキだったから、かれこれ30年ぶりになる。
そんなブランクを経て再び対峙する川上牧丘林道は、荒れている林道として有名らしいのだが、当時はそんなイメージを全く持ってなかった。そんなに荒れてたっけ? というのが正直なところだ。
しかし、人の記憶は如何に曖昧かというのを、思い知らされることになる。初めこそ白樺の高原の中を走る気持ちいい林道だったのだが、高度を増すにつれ石がゴロゴロと多くなり、ついにはガレガレの道へと変貌してしまった。
こんなに荒れてたっけ!?
しかし、荒れ具合はそれで収まらない。石のサイズがどんどん大きくなり、真っ直ぐ走るのもままならなくなる。
「これ本当に乗用車も走るの!?」
「地元のタクシーなんかも走ってるみたいですよ」
ちょっと信じられない荒れ具合だ。途中両足をバタつかせながら辛うじて上っていくハンターカブに出くわす。
「このサイズの石になるとハンターカブだと厳しいだろうなぁ」
と横目で追い越しながら進むと、突然まっ平らの舗装路が出てきた。峠を越えた山梨県側は舗装路なのだ。つまり、そこが大弛峠ということでもである。
「ついたねー」
「走ったねー」
「これだけダート走れば、さすがの義丹さんもお腹いっぱいでしょ!」
「もうお腹いっぱいです。これでしばらく仕事に専念できますよ!」
9kmほどダートである川上牧丘林道を走破して、これで90km越え。途中林業作用で抜けられないところがあったけれども、ほぼ100kmのダート走行には変わりない。
朝7時から走り続けて大弛峠に17時。10時間のいっき走りはここでゴールを迎えたのである。
「正直、日が暮れるの予想したんですけどね、思いの外早く着きましたね」
「だってほとんど休憩してないですからね。走りっぱなし!」
2人ともお腹いっぱいです。
文・写真:三橋 淳