2021シリーズ、残すはあと2戦!
金曜、土曜とうって変わって、朝から晴天に恵まれた岡山国際サーキット。昨年は台風接近で中止、その何年か前にも土曜の予選までありながら、決勝日には台風で中止となった岡山がこんなに晴れるの珍しいね、って朝からメディアのみんなで話していたほどでした。気温はそんなに高くなく(いや午後は上がったけど!)、路面温度はいいカンジで上がる、ライダーにとっても気持ちのいいコンディションだったんです。
前戦・鈴鹿でJSB000、そしてきのう土曜にJP250のチャンピオンが決定した全日本選手権ですが、日曜にも最大3クラスとも、チャンピオン決定の可能性がありました。
きょう日曜の決勝を前に、ポイントテーブルは以下のとおり。
□J-GP3
1:小室 旭 114P 2:尾野弘樹 93P 3:細谷 翼 68P 4:徳留真紀 47P 5:高杉奈緒子 43P
□ST1000
1:渡辺一馬 89P 2:榎戸育寛 67P 3:南本宗一郎 67P 4:作本輝介 61P 5:高橋裕紀 45P
□ST600
1:小山知良 85P 2:荒川晃大 80P 3:埜口遥希 77P 4:長尾健吾 65P 5:国峰啄磨 55P
全日本ロードレースは、この岡山大会を入れて残り2戦。チャンピオン争いは、最終戦を前に25P以上の差をつければいいわけですから、J-GP3/ST1000/ST600すべてにチャンピオン決定のチャンスがあったのです。
J-GP3クラスは小室vs尾野!
まずは朝いちばんにJ-GP3。このクラスは今シーズン限りでの引退を表明している小室が、21Pリードで迎えた岡山大会。ということは今回で小室優勝、尾野2位だと5ポイント差がついてチャンピオンが決定する、というJ-GP3クラス。事実上、この2人にチャンピオン争いが絞られている、そんな岡山でした。
公式予選では尾野→小室→細谷→高杉の順、朝フリーは尾野→細谷→小室→徳留→高杉の順。尾野がいいですね、と思っていたら、決勝レースでもポールポジションの尾野が飛び出して、序盤から2番手以下との差をジリジリ開く一方的な展開。序盤から飛ばしすぎると、中盤から後半にかけてタレたり、で後続が追いつくこともあるんですが、尾野はそのまま独走。
小室は、細谷との2番手争いを繰り広げ、終盤にパスされて3番手、一度は抜き返すんですが、またもパスされて尾野が独走、その後方18秒以上に細谷→小室で表彰台。
これでポイントランキングは小室:130P、尾野118Pとなり、このふたりが最終戦でチャンピオンの座を争います。
J-GP3 正式結果
優勝 尾野弘樹 P.MU 7C GALE SPEED
2位 細谷 翼 realize racing team +18.453s
3位 小室 旭 Sunny moto Planning +18.469s
4位 高杉奈緒子 Team NAOKO KTM +28.150s
5位 徳留真紀 マルマエMTR +28.161s
6位 木内尚汰 TEAM PLUSONE +33.028s
ST1000は作本が絶好調!
昨年の岡山大会が中止となったことで、岡山では、今回がST1000初開催。ここまで5戦2勝の渡辺がランキングトップ、2番手につけている榎戸との差は22Pです。岡山大会を終えて25ポイント以上の差がついたらチャンピオン決定ですから、ここ岡山大会では、まだまだ上位5人に(とはいえ高橋裕紀はEWC参戦で最後の2戦を欠場します)チャンピオン獲得の可能性が残っています。
公式予選では作本→岡本→渡辺→岩戸の順。朝のウォームアップ走行では、作本→渡辺→岡本→岩戸と、作本が調子よく、今回スポット参戦の岩戸亮介(Vamos Racing Kawasaki #64)が新型ZX-10Rを駆って、予選、朝フリーとも4番手。岩戸は本職のアジア選手権が延期に次ぐ延期でレーススケジュールが満足に立たず、トレーニングトレーニングの毎日です。今がキャリアで一番充実している時期だろうに、レースに出られないなんてホントもったいない!という支援者が集まって参戦にこぎつけたんですね。
決勝レースでは、作本が好スタート! ポールポジションからのスタートで序盤から先頭に立って、ぐいぐいと2番手以下との差を広げていきます。
2番手は岡本と岩戸、それに前田惠助と、タイトルに届かないメンバー。渡辺はスタートののち、今回のレースから新設された2コーナーシケインで他マシンの挙動に影響されて、やや順位を落としてしまいます。これがあるからスタート後すぐのシケインは厄介です。
それでも、少しずつ順位を上げてきた渡辺は、レース中盤には4番手まで上昇。レースは作本が独走し、後方で岡本と岩戸が2番手争い、と思ったら岩戸が転倒を喫し、作本、岡本、そして3番手に上がった渡辺の順でフィニッシュ。榎戸は4位、南本は7位に沈み、最終戦を前にポイントランキングは以下のようになりました。
1:渡辺 105P 2:作本 86P 3:榎戸 80P 4:南本 78P
これで渡辺と25P以内にいるのは作本、榎戸のふたりですが、榎戸は優勝して上位ふたりがノーポイントに終わっても、優勝回数は渡辺と同数になりますが、2位の数で劣り、チャンピオンの可能性はなし。したがって、最終戦は19P差での渡辺vs作本という、Astemo Honda Dream SIRの同チーム対決となりました。
ST1000 正式結果
優勝 作本輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
2位 岡本裕生 BLUcRU ニトロレーシング51YAMAHA +9.292s
3位 渡辺一馬 Astemo Honda Dream SI Racing +13.306s
4位 榎戸育寛 SDG Motor Sports RT HARC-PRO. +20.222s
5位 渥美 心 TONE RT SYNCEDGE4413BMW +21.050s
6位 前田恵助 bLUcRU伊藤レーシングBORGヤマハ +21.795s
ST600は上位陣まさかの総崩れ!
最終レースのST600は、前戦・鈴鹿の優勝でランキングトップに浮上した小山を、荒川、埜口が追う展開。特に小山と荒川との差はわずか5Pで、残り2戦で50P獲得の可能性があるため、およそこの3人にタイトルの可能性が残されていますが、埜口は届かないかな…な予想でした。
公式予選はこの中で長尾が3番手につけ、4-5-6に小山-埜口-国峰。朝フリーでは荒川→鈴木光来のMOTOBUMホンダ勢のふたりが1-2フィニッシュ! 埜口は4番手、長尾は10番手。
レースは、その長尾が好スタートを切って、鈴木、埜口が続きますが、なんと小山がジャンプスタート! ピットスルーペナルティを受けて順位を大きく落とし、事実上この岡山でのチャンピオン決定はなし、と。荒川は予選14番手とスタート位置が悪く、追い上げのレースを強いられます。
レースは長尾が独走したいけれど、埜口につかまって、のふたりのトップ争い。レース終盤に埜口が長尾を逆転して筑波大会レース2に続いて2勝目をゲット! 長尾は2位、3位にはポールシッターの阿部恵斗が入り、荒川は6位まで追い上げてフィニッシュ! 小山はなんと14位で2ポイントを獲ったのみに終わり、埜口が逆転ランキングトップに浮上! 最終戦を前にポイントランキングは以下のとおり。
1:埜口遥希 102P 2:荒川晃大 90P 3:小山知良 87P 4:長尾健吾 85P
と、ここまでがチャンピオンの可能性を残して最終戦を迎えることになりました。荒川に12ポイント差をつけた埜口が圧倒的有利な展開となってきました。
ST600 正式結果
優勝 埜口遥希 MuSASHi RT HARC-PRO.
2位 長尾健吾 NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん +1.134s
3位 阿部恵斗 Webike チームノリックヤマハ +2.380s
4位 井手翔太 AKENO SPEED・YAMAHA +2.608s
5位 鈴木光来 MOTO BUM HONDA +8.566s
6位 荒川晃大 MOTO BUM HONDA +8.770s
最大3クラスでチャンピオンが決まるかも、なんてムードは消し飛んで、3クラスのチャンピオン決定が最終戦に持ち越されました。その最終戦、2週間後の9/18-19 オートポリス大会。9月中旬に最終戦、しかも舞台はオートポリスと、初めて尽くしのチャンピオン決定レースが楽しみです! お天気、よくなってね!
写真/後藤純 中村浩史 文責/中村浩史
※それにしても、きょう9月5日になっても、MFJの公式ホームページ上にある「各クラスポイントランキング」は、最終更新日が「6月22日」、つまり筑波大会まで、鈴鹿大会の結果も反映されていません。なにやってんの? ちゃんとしなさい! 30分あればできるのに……。