2018年から毎年でゲストとしてSSTRに参加している福山理子さん。いつも周辺の散策も楽しみにしているそうです。今回は、2020年に過ごした輪島周辺での思い出を綴っていきます。
以下、文:福山理子

2018年から毎年参加してきたSSTR

2021年で4回目の参加になるSSTR。毎回、あたし流で楽しんでます。

1度目の2018年は当時の愛車トライアンフ・ストリートスクランブラーで七尾市に訪れ、イルカに会いにいってきました。

2度目の2019年はホンダの原付トゥデイを借りて羽咋市をウロウロしてみたり、輪島の街をモトコンポで走らせて頂きました。

「輪島モーターサイクル親善大使」に就任された風間深志さんのパレードランを少しご一緒させて頂くと、町には誘惑がいっぱい! おいしい香りと、素敵な街並み。「永井豪記念館」まである! あたしは永井豪さんの大ファンです。

……なのに行けなかった。と実は1年間すんごい欲求不満だったの。来年は絶対に輪島をゆっくり走るんだ!

ということで、2020年、3回目のSSTR! 早めに現地入りして能登輪島のツーリングを楽しみました。今回は、その模様をお届けします。

SSTR2020、あたしはこんなことをしていました

SSTR行きが決まってすぐにあたしは現地在住の知り合いに電話をした。「ご住職! なんでもいいんでバイクを貸してください!」

待ち合わせは道の駅輪島。「これ乗ってください」と、ご住職が用意してくださっていた車両はホンダ・ベンリイCD125T。輪島塗のお椀の形をしたご当地ナンバーが愛おしい。渋い感じが輪島ツーリングにぴったり。フロントやタンクにSSTRステッカーを貼り、気分はラリーライダー。

いつも通りのノープラン、1人だしどこ行こうかななんて思っていたら「一緒に行きます」とご住職。結局任せっぱなしの旅になりますが、地元の方に案内してもらえるとはなんともリッチ。絶対間違いないよね。と甘えさせていただくことにした。

まずはお寿司屋さんで地魚ランチを。大将の手で握られたお寿司は見た目から美しく、芸術作品みたい。店内は地元の人でいっぱいだ。必ず訪れたいお店が一つ増えた感じ。こちらは「おまかせ地魚」コース。まさにうまいものは地元に人に聞け! だなとうきうきしながらぺろっと完食。

画像: ▲絶品お寿司を頂いた場所は、輪島市「助ずし」

▲絶品お寿司を頂いた場所は、輪島市「助ずし」

見どころ満載の北陸だけど、ライダーの人口は少ないそうだ。SSTRの開催時は快適だけど、ここは冬場は雪で乗れなくなる地域。

そんななか、ご住職は冬の間はバイクいじりをしているという。輪島でライダーのピースサインを推奨したいと自らステッカーを作って配ったりもしている。ちなみにお肉も食べるし、結婚もしている。

「どんな宗派なんですか?」と伺った。

「人間には欲があります。どんなに徳を積んでいる方でもそうでない方も同じで、それは消せないんですよ。食欲も性欲も仕方ないんです。欲や煩悩にまみれているのが自分の本当の姿。だから我慢しようとせず、うまく付き合いましょうという教えです。うちはお守りも御朱印もないんですよ。例えば願ったって病気にはなる。そういうものにすがることなく自分を受け入れ、いろんなことに感謝する気持ちが大切だよっていう感じです。人生は煩悩だらけで苦しいものですから」

そんなご住職とのツーリング。ごちそうさまをして、走り出す前に彼はこう言った「走ればみんなここの良さがわかるんです」。

画像: ▲白米千枚田

▲白米千枚田

最初に訪れたのは「白米千枚田」。日本の棚田百選、世界農業遺産にも認定されている。売店ではここで収穫されたお米で作られたおにぎりが販売されていた。注文しにレジに向かうもすでに完売。まあ次にくる楽しみができたと、やせ我慢をして先に進む。

画像: ▲塩の駅 輪島塩

▲塩の駅 輪島塩

「塩の駅 輪島塩」の塩田では400年も前から奥能登に伝わる伝統製法の工程が体験できる。作業に使われている昔ながらの道具が展示されていてちょっとした資料館風。老若男女問わず喜ばれそうなおみやげもたくさんあり、なかなか面白い場所。

そこから、少し行くと曽々木海岸。そしてすぐさま現れる「窓岩」。岩の真ん中に2メートルほどの穴が開いていて、この窓から夕日が見れることがあるらしい。かなりの絶景だという。曇り空を見上げて少しだけ恨めしく思う。

画像: ▲窓岩

▲窓岩

さらに走り、輪島の朝市が行われている商店街に向かった。1000年以上の歴史があるといわれている。広くて美しい通りは昼間は輪島塗のお店屋さんなどが並んでいた。ここに、ずっとずっと来たかった永井豪記念館がある。

▲輪島の朝市通り

子供の頃から大好きで、いまでもキューティーハニーになりたいと思うし、デビルマンと結婚したいと思っている。館内には貴重なものがたくさん飾られているが撮影禁止。行った人のまさに特権。

そして、なんとも嬉しいのは「バイク乗りです」と受付で言うとキューティーハニーがバイクに乗っているステッカーを頂ける。4色あり。毎日変わるそうなのでファンの方は是非コンプリートを。バイク乗り限定ってとこがライダー熱を高めてくれる。

夕方、トークショーが行われる輪島キリコ会館へ走る。扉をあけると能登のお祭りで使用されているキリコがすらりと展示されていた。艶やかさに目を奪われた。まるでお祭りの迫力が響いてくるようだった。

画像: ▲輪島キリコ会館

▲輪島キリコ会館

夜のお食事どきには賀曽利隆さんも参加。生涯旅人・賀曽利さんとのお食事は学びの時間だ。「僕はふぐの糠づけを頂きたい」この地でしか食べれないであろうものをばばっとチョイス。さすが達人。

ふぐの唐揚げの豪快さに驚き、穴子の顔付きに面食らった。のどくろのお刺身はとにかく絶品! だし、のろぐろ焼きは驚きの1700円! 東京では一体いくらなんだろう。

本日のツーリングは終了、ボトルワインをいただいた。ラベル一つで土地の雰囲気が伝わってくるのが好き。すっきりした味わいで脂ののったお魚にも相性抜群。みんなで元気に再会できたことに乾杯した。

輪島に訪れる観光客は年間120万人。この町の人口は3万人に満たない。訪れる人々を魅了する場所なんだ。特にあたしが感じたのはライダーに対する町の方々のおもてなし。どこの駐車場でも施設でも、とにかく親切だった。

冬場は雪で覆われてしまうという北陸。住人にライダーは少ないというのに、バイク乗りには優しい。だからなのか、施設のバイク駐輪場も嬉しくなるほどバイクがいっぱい。看板にも可愛いイラストが描かれていたりする。「ありがとうございます」と常に心が暖かくなった。輪島市は2019年に「ライダーを笑顔で歓迎する都市」宣言をしている。

能登輪島。食べもの、景色、温泉、道、出会い。あたしたちライダーの欲望をくすぐる町なのだ。ライダーが欲してる全部があるところ。あたしと同じように、あなたの口で味わって、あなたの目で確かめて、あなたに触れてもらいたい。

バイク旅に関して欲にまみれまくっているあたし。あたしは欲があるからこそ人間なんだってことを知っている。美味しい食べ物に感謝して「いただきます」と。素晴らしい風景のある地球に感謝して「世界が平和でありますように」と。

出会いに感謝して「ありがとうございます」と、欲など捨てずに変わらず走り続けよう。人間の本能を教えていただいた、今回の輪島の旅に、ありがとう。

文:福山理子

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