文・写真:西野鉄兵
2.ロックストラップを使った積載
続いて「ロックストラップ」を使った積載方法を紹介します。
ロックストラップは、米軍の採用実績も持つ荷物を固定するためのベルト。バイクだけでなく、あらゆるシーンで活用できます。
公式サイトに並ぶ製品ラインナップは多彩で、どれを選べばいいか悩みそうですが、バイクの積載に使うのなら「タイプMC」(ベルトの長さ450mm~1500mm・幅25mm)がおすすめです。
構成は、高強度の化繊ベルト部分・ゴム部分・バックル部分の3パート。一見使い方が難しそうに見えるかもしれませんが、コツなどなく誰でも簡単・安全に使えるというのが魅力です。
まずはベルトの両端をリアシート周辺の任意の場所に固定。あとは、荷物をシートに載せて、ベルトのバックルを留め、ベルトを締めこんでいくだけです。
ロックストラップのメリットは、積載時の危険性が少ないこと、紛失しにくいこと、2本でも充分な固定力を発揮すること、圧の強さを自在に調整できることなどがあげられるでしょう。
私は十代の頃からストレッチコードを15年ほど使い続けていましたが、ここ数年はロックストラップをメインに使っています。
固定力の高さや安心感もさることながら、ストレッチコードと異なり、荷物の有無にかかわらずリアシート周辺に留めておけるのがありがたい。
ストレッチコードは外したときに複数本使っていると失くしやすくて、保管にも困るんですよね。ロックストラップの場合は空荷でもシートにくっつけておけるので、不意に荷物が増えたときも心配なし。
私は基本的につけっぱなし。風雨や紫外線による劣化はどうしても避けられませんが、素材が丈夫なためすぐにぼろぼろになるなんてことはありません。2~3年使ってもし劣化したら「また買えばいいか」と思えるくらいの値段なのも魅力ですね。
ストレッチコード+ロックストラップの併用もあり
最近はロックストラップばかり使っていますが、ストレッチコードを併用することもあります。
バイクのリアシートに積載する荷物はたいていはロックストラップ「タイプMC」1セット(2本)で事足ります。まれに大きな箱を運ばなければならないときなど、補助の意味でストレッチコードを使用。
ロックストラップをクロスにし、ストレッチコードを平行にかけるのがお気に入りの使い方。横幅があるものだと、補助のストレッチコードをかけることで、グッと安定感が増しますよ。
ロックストラップとストレッチコードを両セット携行するのには保険の意味もあります。ロックストラップは非常にタフネスなつくりをしているものの、バックル部分だけはどうしても不安が残ります。
バックルは強化樹脂製のため、よほどのことがない限り壊れませんが、それでも少しだけ心配。ストレッチコードのフックは金属製のものなら、曲がることはあっても折れることはほぼありません。
そういった意味からも、何泊もするキャンプツーリングなど長旅のときは2セットを携行しています。キャンプ場では、どちらのコードも工夫次第で物干しなどとして使えるので、無駄な荷物にはなりませんよ。
「ツーリングネット」は危険? 特性を理解したうえで使用したい
以上が私のおすすめするバイク用バッグを使わない積載方法になります。
最後に、一般的に「ツーリングネット」と呼ばれているネットタイプの積載アイテムに関して触れたいと思います。
昔から多くのライダーに愛用されているネットタイプの積載アイテムですが、個人的に周りの人に勧めたことは一度もありません。
構造や使い方が分かりやすく簡単に積載できる便利グッズでありながら、融通が利きすぎるがゆえに、固定力があいまいになりがちなんです。
大きな荷物から小さな荷物まで積めるようでいて、じつはかなり不安定。一度大きな荷物を積んだ後は、ゴムが伸びてしまい、小さな荷物を積むとガバガバになってしまうことも……。
私がツーリングネットを使う場合、「補助アイテム」という理由に限定しています。
周りのバイク乗りで荷物を走行中に落下させてしまったのは、このネットに複数のものをまとめて積載している場合がほとんどです。ひとつのバッグを留めるためならまだしも、キャンプ道具など雑多なものをまとめてパッキングするとそれぞれにかかる圧が不均等となり、すっぽ抜けやすくなります。
当然「自分はネットを使い続けているけど落としたことないし、まったく問題ないよ!」と思っている方も多いでしょう。結局のところ判断するのは自分自身で、ツーリングネットの特性を理解したうえで「絶対落ちない、大丈夫!」と思えるパッキングならそれでいいのです。
ただ、ツーリングネットをこれまで使っていて、少しでも不安を感じていたら、ロックストラップやストレッチコードでのパッキングを検討してみるものいいかと思います。もちろんバイク用品メーカーのシートバッグなど専用品に頼るのもあり。
いずれにしても、安定したパッキングが実現できれば、ツーリングはより面白くなります。荷物がぐらぐらしていると峠道や高速道路を走っても楽しくないですからね。
文・写真:西野鉄兵