以下レポート:三橋 淳
群馬・長野の県境の山々をゆく湯の丸高峰林道
名湯・草津温泉を後ろ髪を引かれる思いで出発し、目指すは浅間山の西側にある湯の丸高峰林道だ。
ここに向かうには北側にある林道、村道鳥居峠車坂線を抜ける必要がある。ダート区間は約6km。この林道を走るのは久しぶりだ。フラットで気持ちいいんだよね。フラット林道こそ正義! アフリカツインに乗るようになってから、本当にそう思うようになった。
ところが、グーグル先生はなんだか見覚えのないルートへ誘導してくる。確かに近づいてはいるけれど、こんな道だったっけ?
目の前にそびえる浅間山にはうっすら雪が! そりゃ寒いわけだ。
見覚えのないまま道はどんどん標高を上げていく。おかしいなぁ、こんなに上る前に林道あったはずなんだけどなぁ。そう思いながらも走り続けると、あろうことか林道の途中に出てきてしまった。
調べてみたら林道の中間地点。6kmある林道なのに3kmもショートカットしちゃったよ。なんてもったいないんだ! しかしグーグルは妙なルートを選んだものだと違和感を抱く。
村道鳥居峠車坂線は乗用車も行き来する道で、とても走りやすい。
が! その先で工事通行止めとなる。グーグルマップは通行止めを情報として入手していたようで、途中から入るような道を案内していたのだ。
ここも2019年の台風19号の影響で道が崩れたようだ。年内の復旧は難しい模様。なんてこった、と嘆いてはいられない。というのも目的の湯の丸高峰林道は夕方17時から夜間通行止めになってしまうからだ。
急いで戻って迂回路を急ぐ。ぐるっと回らなければならない。痛いタイムロスだ。
ぐるっと回って湯の丸高原の方からアプローチ。時間はすでに夕方だが、なんとか間に合った。
夕日にあたり岩肌が美しい。2000m越えの標高を走る絶景林道は伊達ではない!
中腹を走る林道が湯の丸高峰線だ。夕焼けなので、日陰の部分がだいぶ増えてきた。それでも高峰温泉付近までは夕焼けを堪能できた。
10月後半、紅葉はまだ早かったが、この寒さによって一気に色づいた感はある。11月下旬はすでに落葉しているだろうし、そもそもこの林道は冬季閉鎖されていて走れない。来年のゴールデンウイークまでお預けだ。
陽がどんどんとかげっていく。写真を撮らねば! と気持ちが焦ってUターンでこともあろうに立ちごけしちゃった。
今回のツーリング初転倒だ。普段偉そうに言っていてこの体たらく。いかんいかん。焦らず急いで丁寧に! 気をつけて走らねば。
そんなこんなで無事に走破した湯の丸高峰林道は、西に向かうためにUターン。再び湯の丸スキー場の方に戻ってくる。行きは焦っていて気が付かなかったが、林道入口には雪が残っていた。そりゃ寒い訳だ。
信州最古の温泉・別所温泉へ
さて、宿である。みるみる暗くなる中、まず考えたのは上田の市街地でビジネスホテルに泊まるという選択。これは確かに身軽でいい。街中なら夕飯を心配することもない。
しかし昨日もビジネスホテルだった。先ほどは草津温泉を諦めた。どうしても温泉宿に泊まりたい!
そこで探すと別所温泉なる温泉街を見つけた。信州最古の温泉、信州の鎌倉と称されてもいるらしい。さらにいえば、翌日の林道入り口に近い。ここで決まりだ。ところが探すと、宿がない! 全然ない! しばらく探し続け、見つけたのが素泊まりの旅館で、なんと1万6000円もする。高い! しかし何をどう探してもそこしかない。こりゃ高いが仕方がない。俺も大人だ、このくらいバーンと払ってやるさ、と泣きながら予約ボタンをポチる。
真っ暗の中、グーグル先生に導かれるままに着いた宿は、なんだかすごく立派に見える。なかなかの高級旅館のようだ。そりゃ値段もそれなりにするよね。むしろ空いているだけラッキーだったのかも知れない。
高級旅館もいざ入ってしまえばこの有様。男のバイク旅なんてこんなもんさ。しゃーない。
冷え切った身体を温めるために入ったお風呂は、ぬるめ。長風呂にはいいのだけれど、時間はすでに20時になろうとしている。あまりのんびりしていると夕飯が食べられなくなる。中途半端ではあるけれど、ひとまずさっぱりして食事処を探す。といっても居酒屋くらいしかないので、選択の余地なく近くの焼き鳥屋に飛び込んだ。
味は、まぁなんだ。馬肉のユッケは美味かったよ。うん。そういえば今日初めて食べる飯なんだなぁ。走りに集中しすぎかしら?
レポート:三橋 淳