開発テーマは「transition(移り変わり)」
リリースしたばかりのライトウエイトクルーザー、メテオ350が好評のロイヤルエンフィールド。現在はインドの企業ですが、元はイギリス発祥のメーカー、ということで欧州での知名度も高く、今回のEICMAでも、コンセプトモデルの「SG650」が注目を浴びていました。
デザインコンセプトは「transition」。創業から120年、時代の移り変わりに合わせて進化していくモーターサイクルを表現。未来のロイヤルエンフィールド車はこんなカタチをしているだろう、というテーマで造られた、迫力あるボバースタイルのコンセプトです。
とはいえ、クラシックスタイルのモデルが人気のロイヤルエンフィールドですから、未来のモデルのデザインスタディ、となっても、どこか懐かしさや親しみやすさを感じさせるのが面白いところ。ただ、ディテールを見ていくと、素材や技術は今後を見据えたものとなっています。
ヘッドライトとウインカーはLEDで、フロントマスクは横から見ると非常に薄い造りになっています。アルミのヘッドライトカバーはトップブリッジや三つ又にボルト装着されていて、メーターケースも兼ねた形状とするなど、なかなか個性的です。
ミラーはビレットのバーエンドタイプ。スイッチ類はメテオ350などにも使われているタイプで、樽型のグリップにはロイヤルエンフィールドのロゴが。未来のクラシック=現在のバイク、ということなんでしょうか。カスタム感、高級感はありますが、パーツはなじみのあるものです。
エンジンは空冷の2気筒・パラレルツイン!
エンジンはコンチネンタルGTやINT650にも採用されている、648ccの空冷のSOHC2バルブ・並列2気筒。270度クランクを採用し、心地よいパルス感とスムーズな吹けを楽しめる、味わい深いエンジンです。ロイヤルエンフィールドのラインアップでは最上級となるこのユニットを、SG650はシリンダーをブラックアウトして搭載しています。
アルミタンクとエンジンのケースカバー左右には、デザインコンセプトの「transition」にちなんで、デジタルグラフィックペイントが施されています。現在から未来への移り変わり=transitionを表現したペイントですが、各部の仕上げは丁寧で、特にアルミタンクは素材感や高い質感を感じさせます。
タイヤは前後メッツラー。フォークも倒立で、高性能を伺わせるのですが、ブレーキキャリパーはラジアルマウントではなく、オーソドックスなアキシャルマウントタイプとして、クラシカルテイストをしっかり残したりするあたりは、さすがロイヤルエンフィールド。重厚感あるホイールはディッシュ風のデザインとなっています。
コンセプトモデルですから、すぐに市販がどうこう、ということはないのですが、未来のバイクというテーマであっても、クラシックスタイルにはこだわっていきます、というメッセージを感じられ、ロイヤルエンフィールドのブレないこだわりが伝わってくる1台でした。このコンセプトにインスパイアされた市販車が登場することに期待しましょう!
ロイヤルエンフィールド120周年PV
SG650フォトアルバム
まとめ:松本正雅