以下レポート:三橋 淳
心配になる京都の林道事情
最終日の朝を迎えた。長かったようなあっという間だったような、夢のような1週間林道ツーリングは今日で終わる。窓を開けると霧に包まれて辺りは真っ白。天気予報は晴れマークになっているので、このモヤはじきに晴れていくのだろう。
手早く荷物をバッグに押し込み、出発だ。
この辺りにもたくさんの林道があるという。宿を出て少し登ると、だんだんと空が晴れてきて、幻想的な雲が山間に漂う。朝にしか見られない景色だ。
さて、近くのガソリンスタンドで燃料を満タンにする。
「この辺の林道走りに来たのかい?」
「そうなんですよ。どこかご存知ですか?」
「いやぁ詳しくはねーけど、あんたみたいなバイクでよくあの辺の林道走りにくるのはいるよ。抜けられない行き止まりなんだけど、楽しいんだろうねぇ」
行き止まりかぁ、残念。で、きっとよく来るバイクの人たちはもっと軽いオフロードバイクなのだと思う。バイクに乗らない人からすると、オフロードスタイルのバイクはみんな同じに見えるのだろう。
ピストン林道は「抜けられない道は選ばない」という私のポリシーに反するのでパス。予定通り地図上で見つけた林道を目指す。
が、しかし、だ。
ゲートが閉められ、赤い文字で「林業施設として開設したものであり、目的外のための通行を禁止します」と書かれている。
ところが、これだけ立派なゲートがあるのに鍵がない。鍵がないゲートは獣よけ以外では珍しい。入ろうと思えば入れてしまう。でもゲートの感じからすると入ってきて欲しくない雰囲気ありありである。
あ、そうだ。京都によくお世話になっている四駆ショップがあるので、そこで事情を聞いてみようと電話をかける。
「今林道の入り口にいるんですけどね、ゲートはあるけど鍵かかってないんですよ。これってどうなんですか?」
「おお、今な、ちょうどその辺の林業に詳しい人がいるから代わるわ」
なんという偶然!
「あどうも、三橋さん。あのね、その辺の林道は鍵かけても壊して入りよるんですよ。だからいたちごっこで鍵かけるのやめたんですわ」
鍵壊して入っていくの!? 昨日の競技車両侵入禁止の看板といい、どうなってるんですか京都は!
あまりのことにショックを受けたが、もしかして今日用意している他の林道もダメなのか? と思って聞いてみた。
「他の地域は詳しくないですけど、その辺の林道は大丈夫なはずですよ。変な話聞きませんし」
とりあえずは大丈夫そうだ。しかし現場に行ってみなければわからない。大丈夫であってくれと祈る気持ちで次の林道へと向かう。
約3km、大型アドベンチャーバイクでも楽しめる日置林道
日吉ダムのある天若湖の南側へと伸びる日置林道は、無事通行可能のようだ。何の看板もない。
しかも綺麗に砂利が敷かれていて、フラットでいい道じゃないか!
谷間を抜けていく感じで見晴らしがいいわけではないが、路面が綺麗だ。こちら側からだと緩やかに登っているため、走りやすくて気持ちがいい。
ちょっとジメジメしているものの、光が差し込めば森の美しさが分かる。
わずか3km程度の林道だったが、つなぎの林道としては申し分なし。気分をよくして今回の旅、最後の林道へと向かう。