文:小松信夫
果たしてベンリィは、オーストラリア人に受け入れられているのか?
1953年のベンリィJ以来、ホンダ伝統の車名として長く受け継がれてきた「ベンリィ」。CB系のスポーツモデルにも冠されていた時期もありましたが、現在はご存知のように国内向けのビジネススクーターであるベンリィシリーズに与えられております。「手軽で自転車より便利」というそもそもの命名の由来を考えると、先祖返りというか原点回帰を果たしてるワケですね。
新聞やピザ宅配みたいな配送などの業務に向けたパッケージと、信頼性の高いメカニズムを組み合わせ、ベンリィ50と110の2タイプをラインナップ。2011年の誕生からモデルチェンジ、マイナーチェンジも重ねて抜群の使い勝手の良さを実現してますよ。
でも、何故かPCXみたいなグローバルモデルじゃなくて、日本のローカルモデル扱いなんだな、ベンリィは。海外でも便利なんじゃなかろうか、と思うんだけどねぇ。日本市場の要求に特化しすぎて、海外のユーザーには使いづらいのか?
と思ったら、なぜかオーストラリア向けにベンリィ110が、「MW110 ベンリィ」という名前で輸出されてるんですな。こないだやったCB400SFのシンガポール仕様みたい。国内の現行ベンリィ110と比べて、フロア周りとかの樹脂パーツの色がグレーなのが目につくんですけど。
そこがグレーなのは、国内で2015年にモデルチェンジされた時のベンリィがこうだったから。このモデルから輸出されてるようです。上の画像は2015年のベンリィ110ですが、MW110ベンリィと全く区別が付きませんね。大体、フロントフェンダーにも原付二種標識がそのまま付いてるくらいだから、国内仕様のと全く同じ画像をそのまま使ってるだけだもん。
オーストラリア・ホンダのホームページのMW110ベンリィのとこで装備紹介とかを見ても、特にオーストラリア専用装備とかもない。「低くて大きなリアキャリアが使いやすいぜ!」とかなんとか書かれてるだけでやんの。
もしかしたらガタイのいいオージー向けだから、シート高くらいは違うのかもしれない! と思いついてスペックを比較してみても、これまたほぼ同じだしね。排気量は国内向けの107ccに対して108ccとなってるけど、多分表示の基準が違うだけ。
だいたいホームページだって、MW110そのもの単体の画像が横位置の1点しかないという、超シンプルな内容。見るからにやる気なさげ。本当にベンリィは、オーストラリア人に受け入れられてるのだろうか。日本の都市部での配送業務向けのモデルが、あんな広くて人口密度の低い国でさぁ。2015年に送り込まれたものが、そのまま売り続けられてるだけのような気も…。
いやしかし、シンガポールのCB400SFの時よりさらに華がない記事になったなぁ。なんせ地味な実用車で、色味も基本的には白っぽいだけだもんなぁ。でも事実こうなんだから仕方ないのよね。
文:小松信夫