スムーズなハンドリングとハイレベルなドライ&ウエットグリップ性能を確保しながら、抜群のトータルバランスを実現したラジアルタイヤだ。
文:太田安治/写真:森 浩輔

IRC「RMC810」インプレ

IRC TIRE PROTECH RMC810

市街地からツーリングまでの日常ユースを快適に

テスト車の女性オーナーは純正装着のピレリ・ファントムからRMC810に交換しても「何が違うのか…」と言っていたが、普通の街乗りライダーで、車両インプレやタイヤテストの経験がない彼女からすれば正直な印象だろう。ファントムとRMC810はスポーツタイヤではなく、市街地での扱いやすさと長時間ライディングでの快適性を重視したツーリングタイヤだから、似た印象を受けるのはある意味正しい。

RMC810での街乗りはファントムよりもソフトなフィーリング。もともとヤマハXSR700は前後サスペンションが柔らかめに設定されているが、RMC810は小さな凹凸の吸収性が良いので初期作動のいい高級サスペンションに交換したような上質な乗り心地になる。引き換えにハンドリングのダイレクトさは弱まるが、接地感はしっかり伝わってくるので神経質さが減る、と言い換えた方が適切だろう。高速道路や高架部分の継ぎ目でも衝撃吸収性が高く、ザラ付いた路面でハンドルに伝わってくる雑味も少ない。

ツーリングタイヤは絶対的な旋回力やグリップ力といったスポーツライディング要素よりも、ツーリングの途中に通過する峠道をいかに楽しく快適に走れるかがポイント。のんびりペースからフルバンク、前後サスペンションがフルボトムする高荷重域に至るまで、ハンドルから伝わってくる手応えや旋回力が急に変わることがなく、寝かした分だけ穏やかに曲がっていくので実に気楽に走れる。

タイヤはブランドに囚われることなく、個々のタイヤが持つキャラクターと自分の使い方を検討して選ぶことが大事。RMC810の性能、ライフ、価格を考えると、ツーリング志向の車種はもちろん、スーパースポーツでのツーリングにも適している。特出した部分はないが、バランスのいいタイヤだ。

画像: XSR700の軽快な操縦性とソフトな乗り心地は損なわれず、コーナーリング中の接地感が高まって安心感が増した。

XSR700の軽快な操縦性とソフトな乗り心地は損なわれず、コーナーリング中の接地感が高まって安心感が増した。

画像: 路面温度の高い真夏の日中にワインディングを存分に堪能したが、タイヤ表面の荒れ、グルーブのまくれ上がりはほとんどない。耐摩耗性も高そうだ。

路面温度の高い真夏の日中にワインディングを存分に堪能したが、タイヤ表面の荒れ、グルーブのまくれ上がりはほとんどない。耐摩耗性も高そうだ。

画像: バイアスタイヤでは世界中のユーザーから信頼を寄せられているIRC。最新ラジアルタイヤのRMC810も手堅い作りで、装着車種を問わない。

バイアスタイヤでは世界中のユーザーから信頼を寄せられているIRC。最新ラジアルタイヤのRMC810も手堅い作りで、装着車種を問わない。

IRC「RMC810」サイズリスト

フロントリア
110/70R17140/70R17
120/60ZR17150/60R
120/70ZR17160/60ZR17
180/55ZR17
190/50ZR17

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