ドゥカティ「パニガーレV4 SP2」の特徴
伝統のデスモドロミック機構を備える強力な水冷V4のデスモセディチ・ストラダーレエンジンや、エンジンをストレスメンバーとして使用した軽量コンパクトなアルミニウム製フロントフレームを活かした車体構造、ウイングレットなどを備えた空力特性に優れるフルカウル、各種の電子制御デバイスなど、全身にMotoGPやWSBK直系のテクノロジーを注いで開発された、市販スーパースポーツの頂点というべき存在のパニガーレV4シリーズ。
その中でもこの「パニガーレV4 SP2」は、レースで得られた最新のノウハウを取り入れることで歴代パニガーレの中でも最高のハイパフォーマンスを狙い、その全力を堪能できるサーキット専用モデルとして開発され、ドゥカティ伝統の称号「SP=スポーツ・プロダクション」の名を与えられた特別な1台だ。
スタンダードなパニガーレV4でさえ非常に強力なV4エンジンだが、「パニガーレV4 SP2」ではユーロ5対応の日本仕様でもスタンダードより1.5HPパワーアップした最高出力215.5HPを発揮し、スロットルレスポンスも改善。さらにピークパワーを超えた14500rpmという高回転域で2.5HP向上するように、パワー特性が見直されている。そのポテンシャルを最大限に活かすため、6速ミッションのギアレシオも変更し、専用設定のフル、ハイ、ミディアム、ローの4モード選択可能なパワーモードも用意。
サーキットでの速さを追求するため、アクラポヴィッチと共同開発されたレーシングエキゾーストもオプションとして設定。これを装着すると最高出力は228HPにまでアップする。
「パニガーレV4 SP2」はエンジンだけでなく、あらゆる部分で高性能を実現するための改良を受けている。サスペンションはオーリンズ製のNPX25/30倒立フォークとTTX36リアショックアブソーバーを採用、Smart EC 2.0システムによって電子制御。ブレンボ製のより強力なStylema Rモノブロックキャリパーなど、最新スペックのブレーキシステムで制動力とコントロール性、耐久性も高いレベルを実現。ボディの各部にカーボン製パーツを多用し、さらにスタンダードなアルミ鍛造のものより1.4kg軽いカーボンホイールまで装着。
さらに抵抗を小さくするために520サイズのチェーンを採用し、STM-EVO SBK乾式クラッチで駆動系をアップグレード。Rizoma製レーシングステップなど、レーサーに準じたハイグレードな造りのパーツを標準装備。
その他にもアルミニウム製燃料タンクやアルミの無垢材から削り出して製作されたトップブリッジなど、至るところに贅沢な造りのパーツを多用。トップブリッジにはシリアルナンバーも刻印されている。
ハイパフォーマンスを追求するこだわりは細部にまで徹底されていて、空気抵抗を減少させるためにブレーキレバーとクラッチレバーのエッジ部分に機械加工が施されるほどだ。
「パニガーレV4 SP2」の電子制御パッケージは標準で4つのライディングモード(レースA、レースB、スポーツ、ストリート)を用意。
メーターにはMotoGPライダーからのフィードバックで開発された「トラックEvo」モードが追加され、すべての走行データを明確に視覚化。GPSモジュールも標準装備し、自動ラップタイム機能によってコースのセクタータイムまでリアルタイム表示可能。オプションのソフトウェアを使用すれば、スリックタイヤなどレース用タイヤ対応のトラクションコントロールが利用でき、ライディングモードを好みに応じてカスタマイズして追加することも可能。さらにはデータ・アナライザーによって、すべての走行データの詳細分析まで行える。
ボディカラーは、マットブラックを基調に、所々レッドのアクセントを効かせた、シーズンオフテスト時のWSBKマシン風の「ウィンターテスト」カラー。
アッパーカウルの左右に装着されているウイングレットには、WSBKに参戦するパニガーレV4 R SBKと同じく、イタリア国旗のカラーが配されている。
「パニガーレV4 SP2」は車両本体に加え、ミラーを外した際に装着するビレットアルミ製のミラーホールカバー、ライセンスプレートホルダーを外した際に装着するカバーキット、オープンクラッチカバーなどをセットにしたサーキット走行用キットと共に販売される。
ドゥカティ・ジャパンのホームページ上の最新ラインナップにも「パニガーレV4 SP2」が加わえられているが、現時点では日本国内での販売価格や発売時期は明らかにされていない。
ドゥカティ「パニガーレV4 SP2」の主なスペック
ホイールベース | 1469mm |
シート高 | 850mm |
キャスター角 | 24.5° |
トレール | 100mm |
車両重量 | 194.5kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 |
総排気量 | 1103cc |
ボア×ストローク | 81×53.5mm |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力 | 215.5HP/13000rpm |
最大トルク | 12.6kgf・m/9500rpm |
変速機形式 | 6速リターン |
燃料タンク容量 | 17L |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・200/60Z17 |
ブレーキ形式(前・後) | φ330mmダブルディスク・φ245mmディスク |
まとめ:小松信夫