文・写真:石神邦比古
「3D Beta」の提供するサービスとは?
初めて参加したモーターサイクルショー。あちこちを渡り歩いていると、興味深いブースに出会いました。
それは「3D Beta」のガレージの整備環境をそのまま持ってきたような展示場。
一体どんなサービスを提供している会社なのでしょうか?
「3D Beta」のサービスをざっくり解説!
「3D Beta」は、ワークスペースにおける「ガレージウェア」をクライアントの要望・理想に合わせて空間ごとトータルコーディネートするサービスを行うイタリアの老舗工具メーカー「Beta」のグループ会社。
「ガレージウェア」とは提供するキャビネットやバイクリフトといったワークスペースに配置する器具、ガーレジ用ハードウェアの総称だそう。
日本ではセットインターナショナル株式会社が「輸入販売代理店契約」と「ブランドアンバサダー契約」を結び、サービスを展開しています。
サービスの流れとしては、まずクライアントの理想やイメージ、設置場所の確認や採寸を行い、それをもとにイタリアで設計が行われます。
オーダーに合わせた設計が終わると、製作された図面や3Dイメージをもとに再びディスカッションを行い具体的な仕様を決定。クライアントが合意したプランをもとにイタリアの工場で職人がガレージウェアを製造後、日本へ輸送。日本仕様への仮組を実施した上で施工します。
以上がオーダーから施工までのざっくりとした流れ。
オーダーする際に、会場で展示されていた下写真、右側のキャビネットを例に挙げると、その引き出しの位置や段数、装備するアタッチメントなどを自分の扱いやすいようにカスタムすることが可能。
なので、この作業台にはサスペンションをメンテナンスするためのアタッチメントが実装されていましたが、必要なければ別の設備に変更するなんてことも。その他、電源の本数に至るまでカスタムできるのがオーダーメイドの利点ですね。
実際の施工事例としてはドゥカティのメーカー開発センターや老舗バイクメーカー・ブラフシューペリアのショールーム。日本では三重県鈴鹿に拠点を置くタイラプロモートレーシングのガレージウェア製作を手掛けていて、ブランドイメージに合わせたワークスペースを提供しています。
そして、3D Betaの提供するガレージウェアは、単に空間をキレイに見せるだけではありません。整った環境による作業の効率化や、サービスそのものの価値を向上させることも目的としているんだそうです。
例えば、自分のバイクを同じ金額で整備してもらうとしても、散らかって汚れたお店よりキレイな店の方が嬉しいし、安心して愛車を任せられますよね?
そしてその時の作業環境は整然としていた方が効率的な作業ができるはずです。
現代におけるワークショップは、ただ裏方で作業をするだけの空間ではなく、一種のショールームとしても機能しているのです。
このように、美しい作業空間に加え、作業の効率化、強いてはブランド価値の向上といった付加価値も提供する。それが3D Betaのサービスなのです。
東京モーターサイクルショーでは2種類のコンセプトでイメージを展開
そんな3D Betaの東京モーターサイクルショーでのブースは、2種類のコーディネートを見せるレイアウトになっていました。
パーテーションで区切った片側はタイラプロモートレーシングチームの運営するショップをイメージした空間に。
カラーは清潔感のあるホワイトに、チームカラーのアクアブルーをメインにデザイン。実際にチームがレースで駆るマシンも展示されていました。
レース場面を意識したガレージウェアにはキャスターが装備されていて、そのままトラックに積み込んでピットに持ち込むことが可能。
作業スピード・精度を要求されるレース場面において、普段使っている工具が同じ場所にあるというのは大きなメリットとなるそう。
もう片側はワークスペースとしてのガレージを意識したレイアウト。素材の色をベースに、シックで落ち着いた空間に仕上げられています。
また、椅子やテーブルといったコンセプトアイテムも展示していました。
清潔感のあるガレージウェアはブランドやサービスの価値向上に貢献し、ひいてはバイクおよびモビリティ全体のイメージ向上にも繋がると思います。若い人や新人層が参入しやすくなる可能性も秘めているかもしれません。
個人としてサービスを利用するにはかなりのコストがかかるので、どちらかといえば法人向けのサービスといえます。でも、自分のガレージを理想的な空間にコーディネートするなんて、憧れますよね。
いつか、キャビネット一つでも自分仕様のものをオーダーしてみたいです。
文・写真:石神邦比古