文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
ホンダ「Dio110」インプレ(太田安治)
ジェントルな乗り味が毎日使いにありがたい
安定性に優れる前後14インチホイール採用の車体に、扱いやすと静粛性、クリーンさを重視した4スト107ccエンジンを組み合わせて2011年に登場したのがディオ110。2015年に108ccエンジンの2代目となり、2017年に排ガス規制対応のためマイナーチェンジ。そして2021年にエンジン、車体ともにフルモデルチェンジされたのが現行モデルだ。
1980年~90年代の2スト50ccディオは俊足で人気を博したが、現代のディオは同じ車名に違和感を覚えるほどジェントルなキャラクター。アイドリングから僅かにスロットルを開くとスルスルと動き出し、全開加速では60km/h程度まで一定の加速感で速度を乗せていき、公道ではNGだが100km/h近くまで穏やかに伸びる。しかもどの速度域でも振動が少なく、排気音も静かでストレスを感じない。
特筆すべきはスロットルのオン/オフによる車体姿勢の変化はないに等しく、停止直前まで繋がっている遠心クラッチが自然なエンジンブレーキ効果を発揮するので渋滞路のような低速域で速度調整がしやすいこと。トルク変動の穏やかなエンジン特性と、遠心クラッチ/オートマチックミッションが巧みに設定されていることを実感する。
この優しい感覚は動力性能だけではなく、走行中の特性も同じ。前後14インチタイヤで荒れた路面でも安定性を失わず、ソフトなサスペンションと剛性バランスを一新した新設計プレスフレームが路面からの衝撃を車体全体で吸収する。結果、乗り心地もハンドリングも優しく、不慣れなライダーでも安心して乗れる特性に仕上がっている。
実用スクーターらしさを感じるのがフラットなフロアボードと前後に長いシート。フラットフロアは乗り降りの際に脚を跳ね上げずに済むし、荷物の一時置き場にも使えるのが便利。着座位置の自由度が大きいシートはライダーの体格を問わず、タンデムライディングでも窮屈さがない。派手なアピールポイントとはならないが、誰もが日常ユースで気付かない間に恩恵を受ける部分だと思う。
車両価格は24万円台と安いが、スマートキーやふた付きフロントインナーボックスを採用するなど装備面は着実に進化している。欲を言えば灯火類のLED化とトリップメーター、電源ソケットが欲しいが、この価格なら納得、というのが正直なところ。通勤通学、近所への買い物など、移動の足が欲しい人には最適のスクーターだ。
ホンダ「Dio110」カラーバリエーション
カラーバリエーションは4色の設定。ホワイトとシルバーは税込価格24万2000円。ブルーとブラックは税込価格24万5300円。
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