文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸
ハーレーダビッドソン「ストリートグライドST」インプレ(宮崎敬一郎)
日本の道との相性も良い素直な操縦性!
ストリートグライドSTは快適なロングツーリングを目指したツーリングファミリーに属する1台。豪華絢爛で重厚長大なCVOたちを頂点にするグループだ。
見ての通り、シリーズ中では比較的身軽な装備(とはいえ、大きなフェアリングに高音質のオーディオ、サイドバッグは装備しているが…)による軽量化で運動性能にもこだわっているモデルだ。
ハーレーを知らないライダーから見れば、「そうは言っても、あの巨大なサイズのバイクだろ?」と思うかもしれない。でも、ここで断言しておくが、本当に、見た目から想像するほど鈍重ではない。
もともとツーリングファミリーは、低重心化させることでその巨大なサイズを動きやすくさせていて、絶妙なフレーム剛性によるバランスでそこそこの旋回性まで発揮してくれる。ハンドリングはハーレーの中で最も素直な部類だ。
ストリートグライドSTはリーンそのものの操作抵抗感が高速から低速まで軽く、一定の手応えで応答する。装備が少なめとはいえ、車重は370kg近い。走ればその重さがハンドリングに何らかの影響を及ぼすのでは、と思うだろうが、ハイペースで走らせてみても、その頼れる応答性に変化はなく、クイックな峠道を流す際でも、ストレスをためないだけの走りができる。
今回新採用された「ミルウォーキーエイト117」エンジンは調教がすばらしく、どんな使い方でも非常に滑らかでジェントル。ただし、排気量が1923ccもあるだけに、その力強さ、瞬発力はやはり強烈だ。
100〜120km/hで走っていると、極低回転域での鼓動の主張も消え、まるでモーターのように滑らかに回る。まずこれがスゴい。スロットルをガバッと開ければ、上品なパルスと深みのある波動音を上げながら、リッタークラスのネイキッドやスーパースポーツたちを一瞬で置き去りにするような加速をする。
加えて、足回りがしなやかなので乗り心地もすばらしい。路面のウネリなどからの影響も少なく、クルージングは快適そのもの。やはり、ツーリングファミリーの一員だけのことはある。
どうだろう。このストリートグライドST、日本の道となかなか相性の良さそうな1台だとは思わないか?