日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回は変わり種、南米で活躍する働くバイクをご紹介。
文:小松信夫

キャビンまでホンダ純正!? バリエーションも豊富にラインナップ

画像: ヤマハYTX125

ヤマハYTX125

この連載で以前、フィリピンのヤマハが生産してる、現地で盛んに用いられてる3輪タクシー「トライシクル」のベース用モデル、YTX125ってのを紹介しましたが。

画像1: キャビンまでホンダ純正!? バリエーションも豊富にラインナップ

お客や荷物の搭載による重量増対策として、リアサスが4本あるという独自構造のYTX125。他にもフレームの強化やらなんやら、まさにフィリピンのローカル需要に応えた造り。車両単体での販売のほか、トライシクル・コンプリート仕様ってのもありました。

画像: ホンダNL125

ホンダNL125

しかし、南米はペルーの地でホンダは、こんなモデルを今まさにカタログモデルとして売ってました。ペルーのアマゾン流域方面で、庶民の足として使われてる3輪タクシー・モトカー向けに作られてるというNL125ね。

説明するまでもありませんが、前半分は世界的に人気の実用車、丈夫で粘り強いことでは定評のあるCG125そのまんまだけど、タンデムシートから後ろにリア2輪で屋根付きのキャビン(というには随分開放的な造りだけど)を合体!

YTX125、というか東南アジアのトライシクルは主にサイドカー形式だったけど、モトカーはクラシカルな3輪自動車スタイル。だから、ベース車供給だけじゃなく、ホンダとして丸ごと生産することになるのね。ちなみにキャビンの後ろのとこは荷台になっております。

画像: ホンダNL150

ホンダNL150

もうちょっとパワーが欲しい! という向きには排気量の大きいNL150ってのも用意! ベース車がCG150になってるだけで、125と全く構造は同じですが。どう見ても力技で合体させてて、バイク部分とキャビン部分のつなぎ目から折れちゃわないのか、と心配に…。まあ、ホンダの名前で売ってるんだから、ちゃんと作ってるはず。常識的に使ってる限りは大丈夫ってことでしょう。

しかし駆動系も原始的だなぁ。基本的にチェーンドライブのまま、ノーマルのドリブンスプロケのとこから、さらに一段チェーンを伸ばしてリアアクスルを駆動してる。チェーンのスパンが長すぎて切れたり絡んだりしそう? と思うけど、これぐらいシンプルなら路上で簡単に直せるね。

画像2: キャビンまでホンダ純正!? バリエーションも豊富にラインナップ

ドライバー(ライダーか?)も快適な環境で働けるように、フルキャビン仕様も用意されております。この画像の仕様では客室側にはドアまで付いてるなぁ。なんかNLシリーズはペルーのホンダの工場で、中国から部品を持ってきて生産してるらしい。けど内製化が進んできてて、キャビン部分は大体の部分がペルー製みたい。

ちょっと古いデータだけど、2017年にはこのNLシリーズが約1万8500台も生産されたらしい。これ、同じ期間に同じ工場で生産された2輪車より多いっていうんだから、まあそりゃホンダもわざわざ開発するわけだ。

いやあ、日本では想像できないようなローカル向けモデルが、世界にはまだあるんだねぇ。でも、そんなモデルの存在を許す地域は、大分少なくなってるみたいだけど。やっぱりこういうのも電動になるんだろうか。

文:小松信夫

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