雲りときどき雨、のち快晴のAPウェザー
この週末、九州は大分県・オートポリスサーキットに来ております。全日本ロードレース第3戦オートポリス大会が行なわれるんですが、この大会は「2&4」形式で行なわれ、2輪はJSB1000のみ、4輪がスーパーフォーミュラとスーパーフォーミュラ・ライツが開催されるのです。
JSB1000は土~日で2レース行なわれますから、開幕戦もてぎのレース1&2、第2戦鈴鹿のレース1&レース2に続いて、2022年の第5&6レースが行なわれる、と。
5月とはいえ、沖縄はすでに入梅していることもあって、不順な天候--それ、オートポリスあるあるなので、各ライダーとも天候と路面コンディションの変化に合わせこみが大変なレースウィークとなっています。土曜の朝、オートポリスの下界である熊本県大津の町は曇り空でしたが、ミルクロードは霧で真っ白。うわぁ、これ今日レースできるのぉぉ?と思ったら、サーキット周辺は霧が晴れて小雨、という相変わらずのAPウェザー。天気予報もなかなか参考になりません。
金曜に行なわれた合同テストでは、朝に小雨、そのあとはドライ路面。ここでは、やはり「絶対王者」中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)が速い速い。総合トップタイムをマークして、それも連続走行のペースが段違い。連続走行ってのはレースタイムに直結するもので、例えばタイム出しにソフトタイヤ履いて1~2周だけアタック!と違って、レース本番を見据えた走行なんです。
「ドライの路面では、いいペースで走れるまでセッティングできました。オートポリスは天候が不安定なので、雨でも晴れでもいいように準備するだけです」(中須賀)
その中須賀を追うのは渡辺一樹(ヨシムラスズキRIDEWIN)、濱原颯道(Hondaドリーム桜井ホンダ)、亀井雄大(Honda鈴鹿レーシング)、岡本裕生(ヤマハファクトリーレーシング)といった、中須賀キラーの面々。このキラーに、このレースから開幕前の負傷から復帰の名越哲平(SDGホンダレーシング)が加わりました!
土曜の朝に行なわれた公式予選は、朝のうちに降った雨が残り、路面はウェットコンディション。ただ、雨がやんで路面は徐々に乾き始めるような状態で公式予選がスタートしました。
予選では、やはり昨日の合同走行のトップグループのメンバーが上位に来ていたんですが、走行時間終了のあたりから、徐々に路面が乾き始め、どんどんペースを上がるライダーが数名。そうです、レインタイヤで走るライダーが大半のなか、スリックタイヤで走行しているライダーが数人!
まずタイムをグンと上げたのが亀井。それまでトップにいた中須賀よりも1秒以上速い――ってことは中須賀がレインタイヤ、亀井がスリックタイヤなのが分かります。
終了間際にタイムを伸ばしたのは亀井のほかに津田一磨(BabyFace Powerd by YOSHIMRA)がいて、予選順位は亀井→中須賀→津田がフロントロウ。中須賀はスリックタイヤでタイムが出るコンディションで、レインタイヤのまま2番手タイムをマークしたことになりますね。セカンドベストタイムで決まるレース2のグリッドでは津田は10番手。文字通り1周だけのタイムでフロントロウを獲得したことになります。
「路面状況を見ながら、最初は皮むき済みの硬いレイン、次に柔らかいレインで出たんですが、路面が徐々に乾き始めていて、柔らかいレインはすぐダメになっちゃって、次にタイヤ替えようとピットに入ったら、あとはスリックしか残ってなかったんです。それでスリックで出て、結果ポールポジションを獲れました」と亀井。
亀井はJSB1000クラス初ポールで、前回はST600時代の2018年、場所はここオートポリスで、その時もウェットから乾いていく路面コンディションだったそうです。ちなみにホンダのマシンがJSB1000クラスでポールポジションを獲るのは、2019年最終戦の高橋巧(当時TeamHRC)以来だって!
午後イチに行なわれた決勝レース1。実はレース開始前にパラパラ(より強めのバラバラッと)雨が来て、ありゃりゃウェットレースかぁ、と思ったら晴れ始めて路面は急速に乾いてドライ路面となりました! まぁまぁ気温が高いから、雨が止んだらすぐ乾くんですね。
全車グリッド整列……と思ったら、ポールポジション不在! なんと亀井、ダミーグリッド上でのタイヤ交換時にトラブルがあったらしく、ピットスタートとなったんです。もったいないぃぃ! でも明日のレース2もポールからスタートだからドンマイ!
亀井不在のスタートシーンは、中須賀がホールショットを獲得! イン側から岡本が、アウト側から岩田悟(TeamATJ)が10番手グリッドから上がってきて3番手あたりで1コーナーへ。その後方に濱原、渡辺一というオーダーで、オープニングラップを終えると、中須賀→渡辺→岡本→濱原→國峰啄磨(TOHOレーシング)→岩田というオーダー。亀井はちょうど1周遅れでスタートし、万事休す。國峰は負傷欠場が続く清成龍一の代打ライダー、うまくJSB1000に乗っています。
トップグループはやや台数が減りながら、中須賀は序盤からスパート。やはり中須賀は、周りのペースを見ながら終盤にスパートするレースも、最初からぺースを上げて後方を引き離すレースもうまいですね。3周目には2番手争いのうち、岡本が渡辺をパス。その後方にやや間隔を空けて濱原→作本輝介(AstimoホンダドリームSIR)、國峰→岩田→名越というホンダCBR-RR軍団がつけます。
レースはトップ3のオーダーがこのまま変わらず、中須賀が今シーズン無傷の5連勝目を達成! 2位に岡本、3位に渡辺が入りましたが、実はこのふたり、ケガを負っていて、レース中にいろいろ負担があったようです。岡本は今朝の予選始まってすぐに転倒、渡辺はスポーツランド菅生の事前テストで転倒し、背中を痛めていたのです。
このコースを得意とする絶対王者が、最強マシンに乗ってトップチームからエントリー、それを追う中須賀キラーたちは軒並みフィジカルに問題があった――そんなレースとなりました。
でも、今日の展開を覆すことができる可能性があるのも2レース制の面白さ。レースが終わって長々とミーティングをしていた渡辺、ピットスタートとなってしまった亀井の走りに注目したいです。
写真・文責/中村浩史