どんなレースでも強い絶対王者
きのう土曜日のレース1で「雨でも晴れでも、先行でも後追いでも強い中須賀」というレポートをしましたが、きょう日曜日のレース2も、まさにその通りのレースとなりました。
朝のフリー走行でもレポートしたように、レース1では思わぬトラブルに見舞われた亀井雄大(Honda鈴鹿レーシング)がドライコンディションの今日も絶好調! レースは、その亀井のホールショットで幕を開けました。
オープニングラップ、亀井がホールショットを奪うと、1コーナーで大外からまくった榎戸育寛(SDGモータースポーツRTハルクプロ)が3列目からスーパーダッシュで2番手、その後方に中須賀克行、岡本裕生(ともにヤマハファクトリーレーシング)、渡辺一樹(ヨシムラスズキRIDEWIN)、國峰啄磨(TOHOレーシング)がつけます。國峰はレース1でもレース序盤に上位に食い込む走りを見せましたが「序盤のペースがキープできないんです。タイヤの使い方がまだまだヘタみたいです」と言っていました。代役参戦の大きな課題です、乗り越えてがんばれ!
レースは序盤、亀井がレース前に狙っていた通りの展開を見せます。
それは「序盤から逃げてトップグループの台数を減らして、中須賀さんと勝負したい」(亀井)ってこと。台数が多いトップグループだと、だれかと争っている間に違う誰かにパスされて……みたいな展開になっちゃうのを避けたいためです。
レースは亀井が先行、中須賀がビタリと背後につけ、その後方にやや間隔を空けて岡本vs渡辺の3番手争い。中須賀は「抜けない」じゃなく「抜かない」。この先も強敵になるはずの亀井の走りをじっくり見てましたね。
しかし、レースが中盤に差しかかるころ、亀井→中須賀のトップふたりと岡本×渡辺の間隔が徐々に縮まってきて、トップグループは亀井→中須賀→岡本の3台+渡辺の1台という集団に。こうなると中須賀も後ろが詰まってきたこともあってそろそろ亀井をかわすかな、と思った瞬間、8周目の1コーナーで、3番手岡本が亀井と中須賀をイッキに2台抜き! マシンをブルブル震わせながら、それでもきちんと止めて、旋回、加速! このシーンがレース2のハイライトでしたねー。
中須賀もすぐに亀井をパス。ここでヤマハファクトリーの1-2フォーメーションが完成しました。ここから岡本が逃げ、中須賀が今度は岡本の背後につける展開。ベストラップを出して逃げる岡本、それでも離れない中須賀、というレース後半が始まります。
「2台の背後についていて、スリップも2台分効いて、ギリギリの勢いで飛び込みました。うわぁぁぁ、止まれないかな……と思ったらなんとか止まって曲がって行けたんです」(岡本)
「亀井君とトップ争いをしていたら、後ろ2台がいいペースで追い上げてきて、その勢いのまま(岡本)ユウキが抜いていったんです。おいおい止まれるかぁ、と思ったらうまく止まって抜かれましたね」(中須賀)
さて亀井をそろそろ料理して、ってタイミングで岡本にパスされ「序盤は様子を見て、トップに立つと2番手以下を引き離して勝つ」という必勝パターンが崩れた中須賀でしたが、それでもあわてず騒がず、トップに立って引き離しにかかる岡本をじっくり見てまたレース展開を組み立てなおしたんだそうです。
「あの抜かれたタイミングで、残り周回数、タイヤの消耗具合、路面温度も考えて、残り周回のペースを考えてたんです。計画通りではありました」(中須賀)
ブレーキングの2台抜きというシーンを見せた岡本が逃げるも、再び追い詰める中須賀。11周目にトップに立つと、岡本も逃がすまいとしばらく背後につけますが、ラスト3周に中須賀がスパートすると、もう岡本に逆転する力は残っていませんでした。
しかし数ラップだけとはいえ、しっかり中須賀をつついた岡本。うーむ、JSB1000わずか3戦目だというのに、岡本、恐るべきルーキーです。
3番手争いは、きのうのレース1のようにレース中盤以降は負傷の痛みが出てくる渡辺が、一度は亀井をパスするものの、再び抜かれてやや差がついていましたが、なんとか亀井に離されまいと追走し、ラストラップの1コーナーで気合の逆転。そのまま全力で逃げて3位表彰台を獲得しました。
「あそこは『亀井くん、止まれなかったらごめんよー!』って感じで突っ込みました。1周前に仕掛けてたら、すぐ抜き返されてたでしょうねぇ」と渡辺。
ポールシッター亀井は4位フィニッシュ。「終盤、渡辺さんがずっと後ろにいたのはわかったんですが、仕掛けられて、それを逆転するタイヤがもう残ってませんでした」(亀井)
これで中須賀は開幕3戦6レース全勝、21年の10連勝を含んでなんとなんとの16連勝です。20年には野左根航汰(当時ヤマハファクトリーレーシング)が7勝、中須賀が1勝していますから、ヤマハファクトリーレーシングとYZF-R1の連勝は、これで「24」に伸びました! すっげぇぇぇ!
絶対王者のチームメイトである岡本は、JSB1000クラスのデビューシーズンだというのに、開幕戦レース1で5位となった以外は2位→3位→3位→2位→2位と、驚くべき成績を残しています。ST1000からJSB1000への乗り換え、ダンロップタイヤからブリヂストンタイヤへの乗り換えを、まったく苦にしていないかんじですね。
これで次戦は6月4-5日のスポーツランド菅生大会。言うまでもなく、菅生はヤマハのホームコースです。中須賀の、そしてヤマハの連勝はどこまで伸びる?
写真・文責/中村浩史