パワーサイドスタンドなら千里浜なぎさドライブウェイもバッチコイ
スーパーカブのサイドスタンド強化といえば、これ。西本工業のパワースタンド。
よく見かけるよね。自分もSSTR用にこないだ付けた。
装着はこんな感じ。
せっかく装着したので、千里浜なぎさドライブウェイで試してきたよ。
国内有数の走行可能な砂浜として有名な千里浜。
なんせ砂浜なんで、スタンドにサポートが必須なのよね。普通は。
でもパワースタンドなら?
余裕ですわ。
注意:ダメな時もあります、たぶん。
もっと乾いてさらさらの砂だとどうだろう。ポイントを変えて検証してみよう。
余裕ですわ。
注意:ダメな時もあります、たぶん。
もちろん絶対倒れないわけじゃないだろうから、念のためスタンドの下敷きも用意しておく方が安全よ。特にSSTRみたいに、遠方でコケるとつらいからね。
さて、効果絶大なパワースタンドだけど、実はプレスカブだと似たようなサイドスタンドがついてるのよ。違いを見てみよう。
プレスカブスタンドは、接地部分の形状がシュッとしててカッコ良いのよね。
パワースタンドは丸くてでかいから砂浜に関してはこっちのが有利かも。
あと、プレスカブはまっすぐ出てるけど、パワースタンドはより外側に接地するようになってる。
ちなみに、プレスカブ用のサイドスタンドは普通のカブには流用不可。スイングアームの形状が違うのよね。
プレスカブ
西本工業 パワースタンドII
で、ここからが本題。
こいつをCT125ハンターカブに流用するのが、定番なカスタムになりつつあるっぽいのよ。
荷物を積みやすいCTだけに、サイドスタンドも強化したい
巨大なキャリアに荷物を積んでツーリングやキャンプツーリングするハンターカブ。よく見かける光景じゃんね。
とはいえ、荷物を満載すると、サイドスタンドでは横転が怖い。かといってセンタースタンドはめんどいし、平坦な場所でないとかえって危ない。
そこで、ハンターカブのサイドスタンド強化をする際に利用されるのが、上でも紹介したスーパーカブ用の西本工業パワーサイドスタンド。
NK-142ってやつね。
ちょうどタンデムステップのボルト穴に装着できるのよ。
こんな風に、純正サイドスタンドを残してダブルサイドスタンドにする人もいたり。
そんなパワーサイドスタンド流用なんだけど、ちょいと工夫することで、より強くたくましく安心な装着が出来るとの話を聞いたので紹介しようかと。
ゆってしまえば、カブのプロショップはこう装着してるって裏技をバラしちゃおうって話ね。
ではさっそくいってみよう。
カブのプロによる裏技を聞いてきた
毎度おなじみカビィさんです。
よろしくお願いします。
毎度!
いえね、ハンターの純正サイドスタンドだと荷物満載の時に横転しちゃうので、西本工業のパワーサイドスタンドを流用が定番って、まさにその通り。
ボルトピッチも合うし、小加工でタンデムステップ同時装着もできるし、実に良いカスタムなんですが、スイングアーム側のボルトに合わせると、ボルト径が8mmと本来の設計サイズよりも細くなるのがどうしても怖さを感じるんですよ。
ほんとは8mmじゃないんですね?
そうなんですよ。
元々パワースタンドは10mmボルトで締結されるように設計されてるんです。
それを8mmに置き換えると、強度不足だけじゃなくボルトのかかりも甘くなるので非常に怖いんですよ。
なるほど、そりゃいけない。
サイドスタンドってなにげに荷重かかりそうですもんね。
車体支えてますからね。
若林さんのカブ90なんかは車体重量90kg未満でしょうけど、ハンターカブは車体重量120kgありますから。
そうなんですよ、カブ90って軽さも魅力なんですよね。
ハンターカブのサイドスタンドの話でしたね。
折れた症例を集めてるわけじゃないので数字は出せませんが、個人的には「8mmでは耐えられるはずがない」くらいには思っています。
ですので、うちではスイングアームのタンデムステップ取り付け部を10mmに拡大して、さらに使用するボルトをホンダ純正の強化ボルトから適切なサイズのものを選んで取り付けしてるんですよ。
なるほど、径も大きくなってさらに強化ボルトなので折れにくい曲がりにくい、ってことですね。
ボルトの比較をするとこんな感じ。
ちなみにスイングアーム側を10mmに拡大する加工は大変なんですか?
じゃあ実際にやってみますね。
実際に装着する工程を紹介していくぞ
今回の作業車両はコチラ
旅感ありますね。
必要なモノ
まず絶対必要なのがM10強化ボルト。これがないと始まらない。
道具についてはこんな感じ。
マスキングテープ
ノギス(深さを測れるもの)
タッピングペースト
切削オイル
電動ドリル
金属用ドリル刃(8.7mm)
面取りビット
ラチェットハンドル
14mmソケット
8mmヘキサゴンソケット
タップハンドル
タップM10×P1.25#1
タップM10×P1.25#3
タップについてるP1.25ってなんすか?
Pというのは、ネジのピッチです。ホームセンターなんかのM10ボルトはP1.5ですが、ホンダ純正強化ボルトはP1.25なんです。
バイクや車だとM10でP1.25。いわゆる細目が使われてる場合が多いんですが、すべてがそうとも限らないので注意が必要です。
面取りビットは無くても何とかなりそう。
タップを9.5mmのソケットハンドルに装着できるアダプターが便利そう。
スーパー5-56は切削オイルとして使用。
①タンデムステップを取り外す
これは見たまま。外すだけ。
②穴の深さを測って、ドリルにマーキング
掘りすぎて貫通しないよう、穴の奥行きを測っておきます。
測った深さを元に、ドリルにマスキングテープでマーキングしておきます。
③取付穴を8.7mmドリルで拡大
切削オイルを塗布しながら、丁寧に掘っていきます。
くれぐれも斜めに掘らないよう、注意して下さい。
④タップでネジ穴を切る
うちでは、タップは#1と#3を使っています。
タッピングペーストをタップに塗り付けてから作業してください。
ドリルで拡大するときと同様、まっすぐ丁寧に作業してくださいね。
離れた位置からまっすぐ掘ってる確認するのもプロ技。
#1でネジを切った後、一度エアーで切り子を飛ばしてください。
#3は奥を仕上げるだけなので、軽い力で大丈夫です。
というわけで完成。でもプロはここでもうひと手間。
⑤面取りビットで縁を仕上げる
ドリルに面取りビットを付けて、穴の縁を軽く仕上げます。
⑥パワースタンドを取り付ける
あとは強化ボルトを使って取り付けるだけです。
注意点として、パワースタンドを浮かせた状態で仮締めしていきます。
9割位締めるイメージですね。
その後、一度接地させて締めこんでいき、その後本締めという流れになります。
割と簡単そうですね。
道具さえあれば、丁寧に作業すれば簡単ですよ。
どうしても不安なら持ってきてもらうか、スイングアームを送ってもらえば加工しますが、そこまでしなくても近所のバイク屋さんでやってもらえると思いますよ。
疲れたので間食
というわけでプロ技使って装着したぞ
で、装着した車両はこんな感じ。
ぱっと見は普通。
いやいや、取り付け部見てくださいよ。
安心感が段違いですよ。
ほんとだ、これで10mmなんですよね。
スタンドの穴に対してこれでもちょうどくらいですね。8mmだと確かにちょっと怖いかも。
わかってもらえて良かったです。
タンデムステップを外した場合は、右側を化粧ボルトで隠しておくと完成度アップ
ちなみに、この車両だとタンデムステップ外してるじゃないですか。
ってことは反対側はタンデムステップつきっぱなしなんですか?
それとも穴開きっぱなし?
いえいえ、ちゃんと専用の化粧ボルトを用意してますよ。
さすが、気が効いてる。
パワースタンドとタンデムステップの併用は一工夫必要
パワースタンドとタンデムステップを同時に付けようとすると小加工必要なんですっけ?
そうなんですよ。
まず穴径を拡大することと、干渉部分を少し削る必要があります。
穴のサイズもあってないし、そもそも穴位置ずれてますね。
そうなんですよ。タンデムステップベースの穴を拡大して、さらにパワースタンドの角を少しだけ削る必要があります。
どれくらい削るんですか?
これが実際に加工したパワースタンドです。
ディスクグラインダーでも慎重にやれば加工できますよ。
ちなみにタンデムステップベースの穴を拡大する加工も頑張ればできるのかもだけど、なんせ板の厚みが凄いのでしんどそう。
穴加工するカビィさん。うーん、これはプロに任せたいかな。
まとめ
というわけでプロはいろんなとこに注意してるんだなあ、というお話でした。
これで安心して荷物を積みまくれますね!
過積載にならないようにしてくださいね。
レポート:若林浩志