文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝
ホンダ「クロスカブ110」インプレ(太田安治)
タフギアイメージに合う足回りと新エンジン
クロスカブ110はアウトドアテイストが魅力のクロスオーバーモデル。そのクロスカブが今回大きく進化した。
大きな変更点のひとつが、ロングストローク化された新エンジン。ボアを47mm、ストロークを63.1mmとした109ccエンジンはパワーが同じで、トルクが若干増している。パワーフィールに劇的な変化はないが、低中回転での力強さ、というか蹴り出し感が増し、トップエンドまでの回転上昇が軽やか。振動も全回転域でマイルドになり、力強さと穏やかさを併せ持つキャラクターになった。
最も違いを体感するのは足回り。今回から前後キャストホイール+前輪ディスクブレーキとなり、フロントにABSを装備。この効果は絶大で、制動力がこれまでとは比べ物にならないほど向上し、タッチも安定していて扱いやすい。ABSの介入タイミングも早過ぎず、頻繁な介入もない。
キャストホイール化でホイール剛性が増し、段差乗り越え時の突き上げ感は若干硬くなったが、チューブレスタイヤが装着できるようになり、急激なパンクのリスクが減ったことをユーザーは喜ぶべきだろう。ハンドリングは軽快なままで、動きのいい前後サスと速度域に合った車体剛性で乗り心地もいい。
今回のエンジン、足回りの改良はクロスカブのキャラクターにマッチしたもの。価格はアップしたが、内容を考えれば非常にお得。CT125ハンターカブのライバルとなり得る一台だ。
ホンダ「クロスカブ110」ライディングポジション・足つき性
シート高:784mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
高い位置にセットされたハンドルで肘の曲がりに余裕があり、悪路で車体が暴れても抑え込みやすい。最低地上高の確保と肉厚シートの採用でシート高は784mmになっているが、腰を前側にずらせば足着きで困ることはないだろう。
ホンダ「クロスカブ110」注目ポイント
ホンダ「クロスカブ110」主なスペック・価格
全長×全幅×全高 | 1935×795×1110mm |
ホイールベース | 1230mm |
最低地上高 | 163mm |
シート高 | 784mm |
車両重量 | 107kg |
エンジン形式 | 空冷4ストSOHC単気筒 |
総排気量 | 109cc |
ボア×ストローク | 47.0×63.1mm |
圧縮比 | 10.0 |
最高出力 | 5.9kW(8.0PS)/7500rpm |
最大トルク | 8.8N・m(0.90kgf・m)/5500rpm |
燃料タンク容量 | 4.1L |
変速機形式 | 4速リターン |
キャスター角 | 27゜00′ |
トレール量 | 78mm |
タイヤサイズ(前・後) | 80/90-17M/C 44P・80/90-17M/C 44P |
ブレーキ形式(前・後) | シングルディスク・ドラム |
乗車定員 | 2人 |
燃料消費率 WMTCモード値 | 67.9km/L(クラス1)1人乗車時 |
メーカー希望小売価格 | 36万3500円(消費税10%込) |
くまモン バージョンは37万4000円(消費税10%込) |
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:赤松 孝