文:小松信夫
軽量・コンパクトで実用性も高い! 原付二種スクーターの原点回帰的なモデル
スクーター大国である台湾は、各メーカーが早くから現地生産をしていたこともあって、かつては独自モデルの天国だったような気がするんですが…現在はそうでもなく、多くのモデルが他の地域でも見られるものになってます。しかし、そんな中でも数少ない台湾ローカルモデルがスズキの「NEX GSR125」。
一瞬ロードスポーツのような車名のこのモデル、結構歴史は古くて2000年代初め頃に登場。前後10インチ径のホイール、ディスクブレーキ、125cc空冷エンジン、コンパクトな車体という、日本でも軽快な走りで根強い人気だった「アドレスV125」系のメカニズムに、もうちょっとスポーティなガワを着せたモデルという感じ。
8耐カラーモデルとか、スーパースポーツ顔負けの派手なグラフィックやボディカラーを採用してるのも特徴で、日本にも並行輸入されたりしてたっけ。でも、ここ最近はカタログから消えてたんですけどね。しかし気がつくと、2022年5月にシレっと復活してました。
コンパクトで扱いやすい基本的な車体の構成は以前のモデルのままだが、スタイリングは細かくリファイン。以前ほどではない、ちょっと落ち着いたボディカラーと合わせて、ヤンチャさを残しつつ今時な雰囲気に変身。
公式リリースによると「GSX-R」シリーズのデザインボキャブラリーを取り入れているそうな、ヘッドライト周りとかに。言われてみれば、LED化されたテールランプとかからは感じられないこともない。あ、ヘッドライトはH4バルブのままですが。
ちなみに公式リリースでは「NEX」というのは日本の新幹線に由来するって書かれてるんだけど、「New Express」の略ってことですか? 日本で「NEX」っていうと、新幹線じゃなくて成田空港行きの特急になっちゃうんだけどねぇ。
メカニズム面での大きな変化は搭載されている125cc空冷単気筒エンジン。力強さに加え、高効率で燃費も環境性能も優れ、騒音も小さい最新スペックのSEPエンジンを採用することで、一気に走りをグレードアップ。
メーターもアナログ速度計と、バーグラフ式回転計をはじめ多彩な表示が可能な液晶パネルを合体させた、スポーティな雰囲気と優れた実用性を兼ね備える多機能メーターとなり。
コンビニフックとフロントポケットの間には、スマートフォンなどに給電可能なUSBポートも標準装備。しっかり防水タイプのフタも付いてます。
容量32Lというシート下スペースとか、ハンドル下にある給油口とか、従来のモデルでも高く評価されていた使い勝手の良い基本的な造りはそのまま受け継がれている、と。
公式イメージカットは、吊り橋のある海辺で「NEX GSR125」にまたがる全身黒づくめの男とか、ベイエリアで「NEX GSR125」のそばにヘルメット片手に佇む謎のお姉さまとか、なんかカッコいいだろ的に狙ってるものが用意されてたんですけど。フツーのカップルが楽しそうにタンデムしてるこの画像が、一番本来の使われ方に近くてしっくり来ると思いません? 日本でもコレ、売ればいいのに。コンパクトで実用的な125ccスクーターを求めてる人もたくさんいると思うんだけど。
文:小松信夫