ただし中古バイクは、程度も一台一台異なるという点を理解しなければならない。よって、どんなに一目惚れしても購入前にはしっかりしたチェックが必要だろう。
購入後のメンテナンスも考える必要がある。アフターサービスの種類もバイク店ごとで異なるから、バイク店選びも中古バイク選びには重要だ。
ここでは、中古バイクをどうやって選べば良いのか、どこに注意すれば安心して購入できるのか、主に初心者の方に向けて一般的なことを解説する。ぜひ後悔のないバイク選びを実現してほしい。
中古バイクを選ぶ際に覚えておくと便利な知識について
ライダーにとってバイク選びは楽しいものだ。欲しい車種なら、たとえ中古バイクだとしても喉から手が出るほど欲しくなるだろう。しかし、安易に中古バイクに手を出すと痛い目に遭う。そこで、事前に以下の5つの知識を持つことをおすすめする。
- ①第一印象で決めると意外に良い中古バイクに出会える
- ②走行距離は短すぎても長すぎても要注意
- ③同一のバイクで価格が安いと必ず理由がある
- ④バイクショップごとでサービスは異なる場合が多い
- ⑤必ず自分の目でエンジンやサスペンションなどを確認すべし
①第一印象で決めると意外に良い中古バイクに出会える
中古バイクを実店舗で物色中に、「ビビッ」と感じるバイクに出会うこともある。つまりバイクへの一目惚れだ。なかには、一目見ただけで購入する中古バイクは危険という方もいる。しかし重要なのは中古バイクが一点物という点であり、意外に良質なことが多いことだ。
もちろん、「これだ!」と感じたバイクでも、どんな状態かチェックすることは必要だが、気になるバイクを購入しようか迷っているうちに売れてしまい、ガッカリしてしまうことも少なくない。
バイクは体の一部と表現する方もいるが、意外に第一印象で何かを感じた中古バイクは、程度だけでなく相性が良いことも多いことは見逃せないだろう。ただしインターネットで見つけたバイクは要注意だ。ビビッと感じても一度踏みとどまった方がいい場合も多い。
中古バイクは同じ車種でも全く同じ条件のバイクはない
中古バイクは新車と異なり、同じ価格でも全く同じバイクは存在しない。走行距離はもちろん、バイクの手入れの状態、そしてカスタム状態も異なる。
一目惚れするバイクは、まさしく自分のイメージにぴったりのバイクのはずだ。同じメーカーの車種で、年式もほぼ同じであっても、一目ぼれしたバイクは何かが違う雰囲気を感じる。
また、一目惚れして購入した中古バイクなら、たとえトラブルに見舞われてもバイクへの愛は冷めないだろう。
もちろん、一目惚れした中古バイクがかなり古くレアな代物の場合、仲間から「やめておけ」と言われるかもしれない。しかし何度も言うが、中古バイクは同じ個体は2つとない。
そして重要なのは、中古バイク選びで「壊れたら大変」「維持費がかかる」といった意見に心を惑わされないことだ。つまり、バイクを所有した後の満足度は、オーナーの世界観だけに存在するからだ。
自分が好きになった中古バイクであれば、いつまでも楽しく過ごせるはずなので、一目惚れは中古バイク選びで重要なファクターと言えるだろう。
②走行距離は短すぎても長すぎても要注意
中古バイク選びの指標の一つが走行距離だろう。走行距離が長すぎると敬遠する方は多いが、短い場合は受け入れてしまう方もいる。しかし中古バイクの走行距離は、年式から計算して長すぎても短すぎても選ぶのは危険だ。
中古バイクは、走行距離が多いほど安く、少ないほど高い傾向にある。しかし、少ない走行距離だから程度が良いとは言えない。バイクは機械の集合体だから、ある程度動かしていたほうが調子良いケースさえある。
バイクの平均的走行距離は、年間1,000kmから5,000kmと言われている。つまり、5年前のバイクなら、5,000kmから25,000kmの範囲内であれば妥当だ。
走りすぎていると、当然各部が劣化しているので調子が悪い可能性が高い。そして走行距離が短いバイクは一件掘り出し物のように感じるが、放置していた可能性もあり、エンジンの調子が悪いことのほうが多い。
③同一のバイクで価格が安いと必ず理由がある
中古バイクを物色していると、同じ型のバイクなのに価格が妙に安い個体もある。しかし、安いということは何らかの問題を抱えていることを理解したほうが良い。
中古バイクの価格は、バイクショップ次第なのは忘れてはいけない。もちろん相場もあるが、それだけでは語れない部分がある。
バイク店は、仕入れ価格に販売利益を乗せて中古バイクを売るわけだが、販売前にどれだけメンテナンスをしてあるかで中古バイクの価格は異なる。
例えば、20万円で仕入れたバイクがあったとする。それに10万円のメンテナンスをして10万円の利益を乗せると40万円のバイクになる。しかし仕入れが10万円の現状渡し車で、利益を10万円乗せたとすると、前者の半額で販売できる。
つまり、同じ年式で走行距離もほぼ同じ、そんなバイクがあっても価格が大きく異なる場合は、店側の販売方法に大きなカラクリがあるということだ。
ましてバイクの新車価格は年々高騰しており、所得水準もなかなか上がらないとなると、安い中古バイクのほうが売れる。現状渡しであれば、売却後にクレームを受け付けなくて良いと販売店は考えているから、整備なしの激安中古バイクなんてものもある。
しかし現状渡しとは、「全国公正取引協議会連合会」の規約で、整備なしで販売されるものとしている。しかも中古バイクの品質に問題がある場合は、その部分の品質を表示することが義務付けられている。つまり、購入する側にも安い理由がわかるように提示されているので、その点を見極めて中古バイク探しをしなければ、安いだけでは大きなトラブルになる。
④バイクショップごとでサービスは異なる場合が多い
バイク店では、独自のサービスを展開している。一般的なのが、不具合がある消耗品を納車前に交換するサービス「納車前整備」だ。また、バイクの種類に特化したバイク店であれば、様々な情報共有やユーザーの相談相手にもなってくれるだろう。
しかし、中古バイク店の中には安売りだけに特化し、修理などのサービスに力を入れていない店舗もある。そういった店舗で購入してしまうと後が大変だ。
もちろん、大型店や正規ディーラーであれば心配は少ないが、営業担当が入れ替わる可能性も多い。また正規ディーラーだと、車両価格だけでなくメンテナンス費用が高くなる場合もあるだろう。
中古バイクの購入前には、初心者ほど購入後に自分に合ったサービスを提供してもらえるか確認して店舗選びをしたい。
アフターフォローの充実度が中古バイク購入のカギ
中古バイクは、故障すると思ったほうが良い。そこで初心者の方にはとくに中古バイクを購入するなら、アフターフォローの充実度が高いバイク店での購入をおすすめする。
中古バイクの購入では、一般的に保証書が用意される。保証期間中に、保証書に記載されている部分が故障すれば無償で修理してもらえるので、その保証内容にも注目しよう。
また保証が切れてからも、購入した中古バイクのメンテナンスを継続して請け負ってくれるバイク店なら安心だ。特に、周りにバイクに詳しい人がいない場合は購入した店舗が頼りの綱だ。
そこで、頻繁に出入りできるような雰囲気があり、なんでも相談しやすそうな店舗が、中古バイク購入後も安心できると言えるだろう。
⑤自分の目でエンジンやサスペンションなどを確認すべし
中古バイクを品定めするときに、バイクに詳しい人と見に行く場合もあるだろう。しかし、乗るのは自分であることを忘れずに、以下の3つのポイントを自分の目で確認してほしい。
- (1)中古バイクのエンジンチェックポイント
- (2)中古バイクのサスペンションチェックポイント
- (3)中古バイクの外観チェックポイント
(1)中古バイクのエンジンチェックポイント
欲しい中古バイクのエンジンをチェックする場合、エンジンの外観にオイルのにじみや漏れがないかよく観察する。そしてエンジンを始動してみるわけだが、このときエンジンを手で触り冷えているときに始動するようにしたい。
冷えているときにエンジンを始動する理由は、購入後には必ずエンジン始動は冷えている状態だからだ。つまりエンジンが暖かい状態だと、冷間時に問題なく始動できるか確かめられないので、冷えているときに改めて確かめに来ることを告げるようにしたい。
そして、エンジン始動ではセルボタンを押して一発で始動することが当然ながら望ましい。セルが回る時間が長いようなら、お店の人に理由を聞いてみると良いだろう。
エンジンは熱で金属が膨張すると音がしなくなることが多いので、始動後数十秒以内に異音がないか確認する。エンジンが暖まってきたら、アイドリングは安定しているか、オイル漏れがないか、じっくりチェックする。もちろん、マフラーから色の付いた排気ガスが出ているなら論外だ。
次に、暖まったら少しアクセルを開けて見る。この時にエンジン回転にもたつきがないか、一定回転まで吹かしたときに、たどたどしいエンジン回転にならないかを確認する。
(2)中古バイクのサスペンションチェックポイント
バイクには、走行中のギャップによる衝撃を吸収するサスペンションが装備されている。このサスペンションに問題があると、走行の安定性が悪く気持ちよい走りができないので、じっくりチェックすることだ。
サスペンションは前後のタイヤに取り付けられているので、バイクを押し込み動きの確認をする。押し込んだときに引っかかりがないか、そしてサスペンションの動きに不快な反応がないか確認する。
通常、フロントでもリアでもバイクを素早く押し込んだ力を抜くと、ゆっくり戻ってくる。また、押し込んだときに抵抗感が感じられることも重要なので、じっくり確認すると良い。また、動きの違いがわからないなら、店舗にあるほかのバイクでも試して比べてみよう。
そして、フロントフォークにオイルの滲みがないか確認する。フロントフォークをストロークさせてオイルシール付近にオイルの滲みがある場合は、オイルシールの交換ができるか確認すると良い。
リアサスペンションの場合は、ショックアブソーバーにオイル封入式を使用している場合があるので、ストロークさせてオイルの滲みがあれば交換を依頼すると良いだろう。
(3)中古バイクの外観チェックポイント
中古バイクを選ぶとき、ある程度の外観のキズは目をつぶることだ。理由は、バイクは倒れるものであり、外観にキズが付きやすいからである。
バイクには、転倒歴、事故歴、修復歴といった呼び方がされるが、どれもキズが付くが同じではない。そこで、購入にあたり見極めたいのが走行に問題が起きる修復歴があるかどうかだ。
最初に外観を眺めてキズがあったら、フレームの溶接個所に亀裂がないか確認する。また、フレームが妙にキレイに塗装されている場合は、かなり修復歴を疑ったほうが良い。
このほか、フロント、サイド、リアのそれぞれのカウルで劣化具合が異なっていたら、修理して交換している可能性がある。その場合は、なぜ交換が必要だったのか店員に聞くことだ。
次に事故歴を確認する場合は、ハンドルを見るとわかる。一般的に事故を起こすときはハンドルが左右どちらか一杯に切られて衝突することが多い。そのため、ハンドルストッパーにダメージが及んでいるので、キズや損傷、修復跡があるか確認する。
ハンドルストッパーの位置や形はバイクごとで異なるが、ネットで欲しいバイク名を入れて調べると、どの辺に装着されているかすぐにわかる。それを参考に、ハンドルストッパーに不具合がないか確認すると良いだろう。
また、ゴムパーツやプラスチックパーツは、金属パーツに比べ経年劣化の進行が早い。現時点で不調はなくともホース類などは何十年も使えるパーツではない。古すぎるモデルの場合は、交換パーツが手に入らないことも多々ある。そのため初心者の方に旧車はおすすめできない。
中古バイク選びはお店選びがポイント
中古バイクを販売する店舗は数多くある。しかし、どこの店舗も同じではなく、販売方針がそれぞれ店舗ごとで決められている。そこで、ユーザーが自分に合った店舗を探すためには、以下の4つのポイントを見極めると、良い店舗に巡り合えるだろう。
- ①接客態度の良いお店を選ぶ
- ②中古バイクの契約を急かす店舗は要注意
- ③ユーザーの質問に細かく答えられる店舗を探す
- ④中古バイクにも保証を付けている店舗を選ぶ
①接客態度の良いお店を選ぶ
中古バイク店もサービス業なので、ある程度は接客態度が良い店舗のほうが気持ちよく中古バイクが選べるだろう。
接客態度は、大手バイク店が良いと思っている方も多いが、小さい個人バイク店でもユーザーに親身に対応するといった点では負けていない。つまり、丁寧な言葉遣いということではなく、ユーザーに寄り添う接客ができる店舗を選ぶのがポイントだ。
例えば、店舗に入った途端、工具が散乱して足の踏み場に困るような個人バイク店では、ユーザーに良いアドバイスをしているか疑問と言える。また、店舗内に営業マンが一人もいないようでは、バイクについて質問さえできないので、そのような店舗も避けるべきだろう。
②中古バイクの契約を急かす店舗は要注意
中古バイクの品定めをしている最中、店員に質問することもあるだろう。そのとき店員が契約を急かすようなら、その店舗は要注意かもしれない。
中古バイクの購入で迷っていると、「現金一括払いなら割引する」や「今すぐ購入を決めるなら割引」といったように、購入を急がせる場合がある。この2つの言葉の中で大きな違いは、「現金」というワードだ。
現金にこだわる店舗は、経営の健全性が良くない可能性があるので、購入後の対応が不十分なこともある。その反面、現金にこだわらずに契約を急がせてくるなら、本当にそのバイクはおすすめの可能性がある。
そこで、契約を急かすバイク店に出会ったら、ローンでも割引するのか聞いてみることだ。もし現金のみと言われたら、少し慎重になったほうが得策だろう。
中古バイクは新車と異なり、購入後にどのようなトラブルに遭うかわからない。つまり、目先の値引きに釣られてしまうことなく、多少購入金額が高くてもアフターフォローが充実している店舗のほうが安心ということを覚えておこう。
③ユーザーの質問に細かく答えられる店舗を探す
バイク店の店員は、バイクについての知識が豊富なので、ユーザーの知りたいことを的確に答えられるはずだ。そこで、ベテランライダーからの質問だけでなく、初心者の質問にも快く答えてくれる店舗がおすすめだ。
まず、店舗のホスピタリティを知るために、少し面倒なお客を演じることも有効だ。それには、バイクのことを知っていても初心者を装い、簡単な質問を次々とぶつけて面倒と思わせてみる。
中古バイクは、何度も言っているように故障リスクが高い。それを逆手に取り、店員に面倒にならないよう納車前にしっかり整備するよう仕向けるというわけだ。
④中古バイクにも保証を付けている店舗を選ぶ
新車バイクには新車保証が付いているのが当たり前だが、中古バイクには保証が付いていないことが多い。しかし中古バイクは、前のオーナーの使用方法がわからない「怖さ」があるので、保証が付いた店舗で購入するほうが安心だ。
新車の場合2~3年保証が一般的だ。しかし中古バイクの場合、1カ月もしくは1,000kmのどちらか早く到達するまでといった保証期間が多い。確かに新車よりかなり短い保証期間だが、それは中古バイクという商品特性だからしかたがない。
そこで、この短い保証期間中にできるだけ中古バイクの悪い部分を見つけだし、保証で対応してもらうことだ。そこで、1,000kmの走行距離制限があれば、それに近い走行距離までできるだけ走行する。そうすれば、悪い部分があれば必ず出てくる。
保証があるから大丈夫と、購入後も乗らずに1カ月以上置いておいたら、いざバイクに乗ったときに思わぬトラブルが発生する場合もある。しかし、すでに保証期間が切れているので、本来保証対象のパーツも実費になる。
中古バイクは、店舗によって保障の長さも様々だ。購入するバイクに見合った期間と保証内容なのかも確認して、店舗選びをしよう。
中古バイクで粗悪品を掴まされないために
中古バイクの状態は様々だ。同じ年式の同じ車種でも全く程度は異なる。そこで、中古バイクで粗悪品を掴まされないために、以下の3つに注意したい。
- ①走行距離改ざんのバイクに注意
- ②気に入った中古バイクでもエンジンをかけさせてもらえないなら諦める
- ③乗り出し価格と部品の程度をチェックする
①走行距離改ざんのバイクに注意
バイクには走行距離を示す積算メーターが表示されている。これが本来そのバイクの総走行距離になるはずだが、あまりにも走行距離が多いと商品価値がないため、走行距離を改ざんする業者もゼロではない。
バイクのメーター改ざんはそれほど難しくはない。アナログメーターなら巻き戻し、デジタルなら書き換えでメーター改ざんは簡単にできる。そして、最も簡単なのがメーターごと交換する方法だ。
特に中古バイクは、同じ車種の中古メーターも数多く流通している。その中で、実際の走行距離を示すメーターより少ない中古メーターに付け替えてしまえばわからなくなる。
メーターを変えても法律上は問題ない。何が問題なのかというと、メーターを変えたことを告げずに販売することが問題になる。つまり、メーターが変えてあっても走行不明と言われたり、メーター交換歴有と言われたなら、メーター改ざんにならない。
しかし、メーター改ざんをユーザーに告げていない場合、消費者契約法4条1項に「重要事項について事実と異なることを告げること。当該告げられた内容が事実であるとの誤認」とある。そして4条では、事実と異なることを告げられていた場合は契約の取り消しができるとある。
つまり、メーター改ざんを仮に掴まされても、後からその事実がわかれば契約破棄して返金してもらえるわけだ。しかし、そんな面倒に巻き込まれないために事前に自分でチェックするほうが合理的だ。
極端に走行距離が少ない中古バイクはバイク全体をよく見る
メーターが改ざんされた中古バイクを掴まされないためには、購入を検討している中古バイク全体をよく観察することだ。
中古バイクでよく見て欲しいのが、走行距離に対してバイク全体の劣化度合である。ステップやグリップの摩耗状態が走行距離に比べて明らかに減りが激しいなら、メーター改ざんの恐れがある。
しかし最近の手口は巧妙化し、見た目も走行距離メーターに見合う状態にしている場合もある。そこで、点検記録簿があるならそれを提示してもらうと良い。
点検記録簿には走行距離が記載されており、どんな整備をしてきたかすぐにわかる。つまりバイクの素性もわかるので安心できるだろう。
そして整備記録簿がない場合は、メーター周りを入念にチェックする。メーター周りのネジを外した後がないか、メーター内が他のパーツに比べて異様にキレイになっていないか確認する。また、メーター取り付け周りが他のパーツよりキレイでもメーター交換の可能性が高い。
このような不審な部分があったら、店員に聞いて真意を確かめると良い。もしメーターを取り替えた事実があるなら、実際の走行距離を教えてもらい納得すれば購入に踏み切っても良いだろう。
②気に入った中古バイクでもエンジンをかけさせてもらえないなら諦める
中古バイクを見るときに、エンジンの始動性を確認するのも重要だ。しかし、店舗によってはエンジン始動に難色を示す場合がある。その場合は購入を見送ったほうが良い。
バイク店でエンジン始動について、近隣住民の迷惑になるとか、店舗内なのでエンジンがかけられないといった話は、バイクの不調を隠す言い訳の可能性が高い。本来購入者が希望することは、全て開示する必要があるからだ。
もちろん、いつ売れるかわからない中古バイクは、バッテリーを外し、ガソリンを抜いている場合も多いので、いきなりお店に行ってその場でエンジン始動は難しい場合もある。しかし、後日もう一度来ることを告げれば、そのとき始動できるよう調整してもらえるはずだ。
中古バイクの展示場の殆どは、ガソリンも入っていない状態なので、エンジン始動できないといったことが当たり前になっているが、中古バイクを安心して購入するなら、時間がかかってもエンジン始動ができる店舗で購入するべきである。
③乗り出し価格と部品の程度をチェックする
中古バイクは、必ず消耗部品がある。そこで見積もりを取って納車整備されるのか確認し、整備内容と見積もり金額をよく精査する必要がある。
中古バイクを探しているときに、掘り出し物の安いバイクを見つけた場合は、特に見積金額に注目したい。車両本体価格がどんなに安くても、諸費用で法外な費用を取っている場合があるからだ。そこで整備費用の部品代ではなく工賃に注目する。
バイクの納車整備費用は、1万円から3万円程度が一般的だ。その中には定期交換部品などが含まれているのが普通だが、定期交換部品の工賃を別途計上している場合もある。これは二重に請求している可能性があるので、店員に確認したほうが良い。
このほか、交換部品の程度も確認したい。例えば、見積もりにはスパークプラグ交換やエアクリーナー交換とあるが、どこのメーカーを使用するのかも重要だ。なかには純正同等品すら使用せず、安く済ませて純正品同等の費用を請求する場合もある。
また、調整でも誤魔化せるスパークプラグやクラッチ、ブレーキなども確認したい。調整だけで済んでしまう場合と交換では金額がかなり違うからだ。
中古バイクの選び方でよくある質問
Q.中古バイクは契約したその日に持って帰れますか。
A.中古バイクは、契約しても当日の持ち帰りはできません。納車前に点検整備が必要なほか、登録手続きがあるためで、通常納車まで1週間以上がかかるでしょう。
Q.中古バイクの試乗はできないのですか。
A.展示中の中古バイクは、点検整備が行われていません。またナンバーも付いていないことも多いでしょう。仮にナンバー付きでも、自賠責保険が切れている可能性もあります。つまり、公道を走行する準備が整っていません。また、仮に全ての準備が整っていても、バイクは転倒リスクがあり、ユーザーにも店舗にもリスクが大きいからです。
ただもちろん、試乗可能な中古バイクを用意しているお店もあります。レンタルバイク・サービスを兼業している場合などは乗れることも多いでしょう。
まとめ
中古バイク選びは、遅れてしまうと先を越される心配もあるが、逆に早まると不具合が多くて失敗するだろう。しかし、同じバイクは存在しないことも理解しておくことが必要だ。第一印象が良ければ意外に良い買い物ができることも多いので、その場合はきちんとチェックする必要がある。
中古バイクを購入する場合は、自分の目でよく確認することも重要だが、バイク店選びがポイントになる。バイク店選びが間違っていなければ、良いバイクが購入でき、アフターフォローも安心で楽しいバイクライフを送れるだろう。
文:小泉嘉史