【インプレ】カワサキ「KLX230S」｜55mmローダウンは威力絶大！ 気軽に楽しめる注目トレール

カワサキ「KLX230 S」インプレ（太田安治）

足着き性の向上が絶大な安心感を生む

250ccクラスのオフロードモデルでネックなのが足着き性の悪さ。走破性を高めるために前後に大径タイヤを履かせ、サスペンションストローク量と最低地上高を大きく取るほどシート高は高くなる。実際KLX230のシート高は885mmで、身長160cm台のライダーだと不安になる状況が多かった。

そこで前後サスペンションのストローク量を減らし、シート高を55mmも下げたのがKLX230S。830mmというシート高は足着きの良さが高く評価されているヤマハのセロー250、ホンダのCRF250Lと同じだが、KLX230Sはライダーが跨がったときの沈み込み量が大きめで、実際の足着き性は数値以上に良好。

足場の悪い場所でも安心感が高く、ガレ場や泥濘地の走破時は両足を着きながら進むことができる大きな利点も生んでいる。引き換えに大きなギャップを勢いよく超えるときはサスペンションストロークに余裕がないが、林道ツーリングのペースなら不満のない衝撃吸収力と動きの良さを見せる。

エンジンは排気量232ccで19馬力のパワー。低回転域から力強く加速し、トップエンドまで軽快に伸びていく特性と車重の軽さによって非力さは感じない。どの回転域でもスロットル操作に忠実に反応し、ダートでのパワースライドもやりやすい。

高速走行時はオフ車特有のフラフラ感が少なく、意外なほど高い安定性を見せる。だが120km/hでリミッターが介入し、アップライトなポジションは風圧をダイレクトに受けるので、快適な速度は100km/h以下。細身で硬めのシートも尻の痛みを誘うので、、長時間の高速道路走行はお勧めしない。

ざっくり言えば、足着き性がセロー250と同等でダートでの扱いやすさはCRF250Lと同等といったところ。トータルな悪路走破性の高さがKLX230S最大の魅力だ。