文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、森 浩輔/モデル:木川田ステラ
ホンダ「フォルツァ」インプレ(太田安治)
走りが一層上質になったビッグスクーターの顔
国内250ccスクーターの「顔」ともいうべきフォルツァが欧州でポピュラーな大径ホイール化されてフルモデルチェンジを受けたのは2018年。それから3年足らずで、2021年に新設計エンジン搭載やフレームの部分的な設計変更などが行われた。
試乗した現行型はキープコンセプトで、完全新設計の「eSP+」エンジンを搭載。ロングストローク化に加え、フリクションロスも低減したという。これによる乗り味の変化はアベレージ速度の低い市街地で実感できる。前モデルよりも発進加速が穏やかで、スロットル開度が小さい低速域での加減速がスムーズ。渋滞路も走りやすく、Uターンも気を使わずに済む。
スロットル全開のフル加速では前モデルより若干高めの6200回転あたりをキープ。動き出しが穏やかなので実感しにくいものの、70km/hまでの加速は前モデルより力強い。高回転域でのパワーの盛り上がり感はないが、動き出しからトップエンドまで分厚いトルク感を保ったまま加速する特性。全回転域に渡って振動が減っているので高速道路クルージングの快適性も上がっている。
新型はフレームの一部が新設計されたが、市街地走行ではハンドリングの変化を感じることはなかった。フロント分担荷重が増えているとのことなので、おそらく高速道路での直進性向上に寄与しているのだろう。
今回の試乗中雨に降られたが、絶大な威力を発揮したのが可動域が40mm増えた電動スクリーン。僕の体格だと少しだけ頭を下げればヘルメットのシールドに水滴が付くこともなく、ジャケットもほとんど濡れなかった。
安全装備、便利な実用装備を満載し、通勤通学からツーリングまでに幅広く対応するフォルツァ。日本が世界に誇るスクーターとしての完成度はさらに高まった。