文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
バイクカバー選びのポイントは「保護性能」と「耐久性」
バイクカバーは風雨や日差しのみならず盗難からも愛車を守る
オートバイユーザーにとって駐車環境は切実な問題。場所が確保できたとしても風雨や日光に晒されることで確実にダメージが蓄積され、人目に付く場所なら盗難の心配もある。屋根付きの駐車スペースが用意できないライダーの必須アイテムがバイクカバーだ。
実際に「バイクカバー」で検索すると、1000円そこそこのものから10万円を越えるものまであるが、4万円を超える製品の多くはメーカー純正アクセサリーか車種専用タイプで、汎用品は1万円〜3万円台が中心だ。
カバー選びの第一歩はオートバイの全長、全高、全幅に合うサイズの選定。同じ排気量のロードスポーツ車でもスクリーンの有無で全高が異なり、オフロード車はハンドル幅が広くてバックミラーを含めた全高が高い。また、サイズが「M」や「L」と表記されていても、メーカーによって寸法はかなり異なる。
まずはメジャーなカバーメーカーが公開している車種別の適合表を参考にして、適合表に載っていない旧車などは自車のサイズを実測して適合の可否を判断するといい。
価格の差が出るのは生地素材と構造。カバー表面の撥水加工は使用に伴って効果が低下する。優れた製品は生地素材そのものに防水性があるので、表面の撥水効果が低下しても水を通しにくい。また、廉価な製品は紫外線によって生地が硬化し、1年も持たずに破れてしまうものが少なからずあるが、高級カバーには雨や紫外線を遮る外側の生地、車体に接触する内側の生地を組み合わせた多層構造の製品がある。保護性能と耐久性は間違いなく優秀だが、その分高価になり、全体に重くて嵩張るので持ち運びにくいのも事実。外したカバーの置き場所も考えて選ぼう。
カバーの寿命は使用環境に大きく左右される。常に太陽光を浴び、風雨にさらされるハードな環境なら2〜3年程度。耐候性の高さを謳った高級品で5年程度が目安。カバー内側に泥汚れが附着すると着脱の際に車体に小傷が付くので、早めの交換を推奨したい。
設置場所があるならガレージタイプがおすすめ
一度設置すれば、その後がラクな簡易ガレージ
バイクカバーはどこでも手軽に使えるが、玄関先や庭などに駐車スペースがあるならガレージタイプを検討してみてはどうだろうか。カバーのように車体に触れることがないので、保護性能は間違いなくカバーよりも優れているし、雨や風の強いときでもストレスなく出し入れできることも大きなメリットだ。
より広いスペースがあるならドームテント型ガレージの導入も考えられる。物置タイプの本格的なガレージになると一台収納の小型タイプでも設置工事を含めて40万円以上になるが、テント型なら高級カバーと大差ない価格。自分で組み立てられ、二人居れば持ち上げて移動させることもできる。
大きめの製品なら中で簡単なメンテナンス作業だって行える。ただし表面積が大きいため風の影響は受けやすい。飛ばされないようにウエイトを乗せるか、金具を使って地面に固定する必要がある。設置場所、面積、地面の状態を考え合わせることが重要だ。
ガレージならホイールチョックの併用が便利
ガレージタイプなら、オートバイを真っ直ぐ立てたまま保持できる『ホイールチョック』を併用すると出し入れしやすくなる。基底面積も広くなるため、チョックの保持部分とフロントタイヤの幅がしっかり合っていれば地震にも強い。
地面の湿気対策
土や芝生から発生する湿気はゴムマットで遮断
オートバイの置き場所が舗装されていない状況では湿気がカバーやガレージ内にこもって錆が発生しやすくなり、カバー裾部分の泥汚れ、ガレージフレームの腐食も招く。木や金属の板を敷いてもいいが、手軽なのはゴムマットの利用。今回は幅100cm×長さ200cm×厚さ1cmのゴム板(購入価格 8000円/1枚)を3枚使用して2台分のスペースを作った。
バイクカバー・簡易ガレージの耐久性
雨により撥水性は落ち、紫外線によって退色もする
上の写真は僕の自宅の庭で10年以上使い続けてきたワイズギアのタイプGカバーとクールライドのバイクバーン。ノーメンテナンスのカバーは撥水性がなくなり、青い裾部分は退色。アジャストコードが露出している部分もあり、使用限界を超えている。
バイクバーンは購入してから6年目で小さな破れが出てカバーのみを交換済み。庭の上に置いていたので苔が附着し、スチール製のフレーム表面にも錆が浮いているが、機能的にはまったく問題ない。
バイクカバーの寿命を延ばす方法
撥水スプレーでメンテナンス
カバー表面の撥水加工は徐々に効果が落ちる。雨が生地上で水滴にならなくなったら市販の撥水(防水)スプレーで撥水性を回復させよう。ホコリやカビ、苔の附着防止にも効果的だ。
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文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海